サイエンス

「2分歩くだけ」で座りっぱなしで早死にする危険性が解消できる

By US Air Force

1日の大半を座りっぱなしで過ごすなど、長時間座っていることは健康に悪影響を与えて果ては寿命が短くなってしまうことが報告されています。従ってデスクワーカーは毎日命を削って仕事をしていることになるわけですが、座りっぱなしの生活の中でどの程度運動すれば健康への悪影響を解消できるのかが、最新の研究で明らかになっています。

Light-Intensity Physical Activities and Mortality in the United States General Population and CKD Subpopulation. - PubMed - NCBI
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25931456


A 2-Minute Walk May Counter the Harms of Sitting - NYTimes.com
http://well.blogs.nytimes.com/2015/05/13/a-2-minute-walk-may-counter-the-harms-of-sitting/

ユタ大学医学部ソルトレイクシティソルトレイクシティ退役軍人ヘルスケアシステムらが発表した最新の研究によると、イスに座る時間のうち、毎時間たった数分の軽い運動することで、長時間座ることによる健康への悪影響を減少できるかもしれないとのこと。

長時間座り続けることは糖尿病・心臓病・肥満・腎臓に問題を抱えるリスクがあり、早死にする可能性を高めるなど、健康に害を与えることがこれまでの研究で明らかにされています。これらの健康被害は長時間イスに座る人で運動の習慣を持つ人からも報告されており、単に運動するだけでは問題を解決できるわけではないと考えられています。たとえば、イスに座らないスタンディングデスクや、タイピングしながら歩き続けるトレッドミルマシンなどの効果を実証した研究もありますが、人によってはタイピング速度の低下による生産性の低下や、身体を痛めてしまうことがあり、現実的な解決策ではないそうです。

By sharyn morrow

従って、どれくらい座る時間を減らすことが適正処置なのかを調べるため、ユタ大学などの合同研究チームは、毎年アメリカ人の飲食量・運動量などを調査している全国健康栄養調査(NHANES)のデータを分析しました。近年のNHANESでは一部の対象者に対して行動を記録するウェアラブルデバイスが使われるようになっており、研究チームは加速度計で計測した3626人の成人男女のデータから、それぞれの運動量を分析。

1分あたりに加速度計が活動をカウントした回数から、立ちあがるだけや、計測できないほどの活動量である「100回/分」を「低度運動」、散歩程度の活動量にあたる「100~499回/分」を「軽度運動」、ジョギングのような活動量の「500~2019回/分」を「中度運動」、それ以上の活動量の「2020回以上/分」を「強度運動」と分類しました。

全データから活動量と死亡率の関係を分析したところ、「低度運動」は死亡率に影響を与える効果が確認されなかったものの、「軽度運動」「中度運動」を行っていた人々は死亡率が低下していたとのこと。さらに、もし座る時間を減らして毎時間2分の運動を行った場合、常に座り続けていた人と比べて死亡率は33%も減少することがわかっています。「強度運動」に関してはデータが少なすぎたため、死亡率を低下させているかどうかは測定できなかったとのこと。

By Carl Jones

研究に携わったBeddhu博士は、座る代わりに運動することが死亡率の低下につながる原因として「恐らくエネルギーバランスと関係があります。着席の代わりに散歩することで座る時間が減るため、潜在的な減量や新陳代謝に効果が現れます。その結果、死亡率の低下に影響を及ぼすと考えられます」と説明しています。今後も続けられる観測によって、毎時間2分以上歩くことや、強度運動が効果的なのかが判明していくとのことです。

なお、Apple Watchにはアクティビティという機能の中に振動や音で1時間ごとに立ち上がるように促す「スタンド」という機能がありますが、1時間ごとに立つだけでなく数分かけて歩くようにすると、デスクワーカーでも健康に過ごせるというわけです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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