現代の職場は労働者を軽視しすぎているとの指摘、労働者を使いつぶさない「持続可能な職場」の作り方とは?

会社や仕事についてアウトプット・目標達成・価値創造といった観点で捉える経営者は多い一方、会社を動かすシステムを構成している「人間」について考慮されることはあまり多くありません。そこで、イギリスのレスター大学で労働・組織心理学教授を務めるマリア・カラニカ=マレー氏らが、現代の労働環境の問題点や持続可能な職場の作り方について解説しました。
The workplace wasn’t designed for humans – and it shows
https://theconversation.com/the-workplace-wasnt-designed-for-humans-and-it-shows-269127

多くの経営者は、会社の本質を生産・実行・最適化といった機械的システムのように捉えますが、このシステム維持に必要な人的エネルギー・注意力・回復力についてはほとんど考慮していません。しかし、労働は時間経過とともに従業員へストレス・健康被害・意欲の低下・燃え尽き症候群などをもたらし、結果的に会社にダメージを与えることとなります。
労働者の疲弊や燃え尽き症候群は決してイレギュラーな事象ではありません。コンサルティング企業であるボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調査では、日本を含む8カ国の労働者のうち48%が燃え尽き症候群に苦しんでいると回答しています。また、アメリカでは労働者の約4分の3が、「職場のストレスがメンタルヘルスに影響を与えている」と回答しました。
カラニカ=マレー氏らは「こうした高いレベルのストレス・不健康・燃え尽き症候群は、私たちに内省を促しました。そして、利益の下に天然資源を枯渇させることへの懸念が高まる一方で、経営者は職場の労働者にも同じことをしているのではないか、つまり長期的なコストをほとんど考えず、生産性のために資源を浪費しているのではないかという疑問が沸いてきました」と述べています。
多くの働き方モデルでは、労働者の人的資源は無限であると想定しており、残った労働者の状態よりもアウトプットに重点が置かれます。しかし、実際のところ人的資源は無限などではなく、無理な働き方は人材の消耗や離職、燃え尽き症候群といった問題を引き起こします。

カラニカ=マレー氏らは、経営者は必ずしも成果を上げるために人材を使いつぶす必要はなく、生産性と労働者の幸福が競合するわけでもないと主張。人的資源としての労働者を保護しつつ持続可能な会社運営を可能にする、「circular work(循環型仕事)」という働き方を提案しています。
循環型仕事は労働者の時間・エネルギー・スキルを消費する資源として扱うのではなく、仕事をひとつのサイクルとして捉え、これらの労働資源の回復や習得もサイクルに組み込みます。循環型仕事で目指すのは短期的な利益ではなく、人々が燃え尽きることなく働き続けられる仕事を構築することだとのこと。
循環型仕事は、次の4つのシンプルなアイデアに基づいて構築されています。
1:人間の労働資源はすべてつながっており、エネルギー・スキル・知識・人間関係は互いに影響し合っている。
2:消費した労働資源を回復・再生することは可能であり、休息・サポート・学習は従業員の回復を助ける。
3:仕事は労働資源を増やすことも、減らすこともできる。仕事をどのように設計するのかによって労働者が繁栄するのか、それとも妨害されるのかが決まる。
4:持続可能な仕事は保護され、再生された労働資源から生まれる。幸福と開発への投資は、人々と組織を持続させるのに役立つ。

要求に厳しい今日の労働文化において、労働者のエネルギーとスキルを回復する部分まで会社が担うのは、あまりにも理想的過ぎると思われるかもしれません。こうした意見に対しカラニカ=マレー氏らは、「人は無限ではなく、無限に代替できる存在でもありません。仕事は私たちのエネルギー・注意力・健康を奪い、時にはその回復に何年もかかることもあります。このことが重要でないかのように仕事を設計することは、実際には大きな代償を伴います」と述べています。
仕事量・自律性・回復する時間・評価・サポートに関する意思決定は、仕事が労働者を消耗させるのか、それとも回復と成長を促すのかを決定付けます。また、職場における心理的安全性を向上させ、労働者が非難を恐れずに思ったことを発言し、懸念を表明できるような環境作りも重要です。
循環型仕事を実現するには、管理職のリーダーシップを評価する基準について再考する必要もあります。たとえ短期的に成果が出るマネジメント手法だったとしても、それが労働者の欠勤・生産性低下・離職率などを悪化させるものであれば、厳しい評価を下すべきといえます。逆に労働者の学習・成長・回復を促進し、ウェルビーイングを守るマネジメント手法を高く評価することで、優秀な人材を長期的にとどめておくことが可能となります。
カラニカ=マレー氏らは、「結局のところ、仕事が生産性を最大化する機械のように設計されている限り、燃え尽き症候群は最も予測可能な結果であり続けるでしょう。しかし、持続可能なパフォーマンスを実現することは可能です。それは働く人々を守り、そして再生させる職場を設計することを意味します」と述べました。
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in メモ, Posted by log1h_ik
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