サイエンス

切手サイズのバッテリーをたった12分でフル充電可能になる新構造が登場

By Andy Armstrong

スマートフォンからノートPCまで、あらゆるモバイル機器には充電式の二次電池が搭載されていますが、バッテリーが大きかろうが小さかろうがフル充電するには長い時間がかかるもので、そんな充電待ちの時間というのは非常に煩わしいものです。そんな中、メリーランド大学の研究者はバッテリーの充電時間を一気に短縮する「nanopore(ナノ気孔)」と呼ばれる新構造を発表しました。

A Billion Holes Can Make a Battery | UMD Right Now :: University of Maryland
http://www.umdrightnow.umd.edu/news/billion-holes-can-make-battery


A Billion Holes Can Make a Battery - YouTube


ナノ気孔を考案したのは、メリーランド大学にて材料科学とエンジニアリングの博士号を取得したChanyuan Liuさん。彼女は、ナノ気孔を採用した切手サイズのバッテリーならば、12分でフル充電可能で、数千回の再利用もできる、とコメントしています。


そもそもこのナノ気孔というものがどんなものなのかというと、バッテリーにセラミック製のナノサイズの小さな穴を空け、この中に電解質を入れることでナノチューブの電極間を電荷が移動できるようにする、というもの。


右がナノ気孔の構造を示した画像で、左は実際にナノ気孔を顕微鏡で観察した際の画像。


ナノ気孔は左の女性(Liuさん)が手で示しているように縦に伸びており、この中に電解質を注入します。ナノ気孔の直径は約1000ナノメートルと、非常に小さな穴になっているので、ミニサイズの二次電池にもたくさんナノ気孔を空けまくることが可能です。


なお、既存のデバイスを使った実験では、ナノ気孔を採用したバッテリーでの給電に成功しており、現在は郵便切手サイズ(日本の郵便切手の場合、50円切手が縦22.5mm×幅18.5mm)のバッテリーに10億個のナノ気孔を埋め込むことが可能であるそうです。なお、メリーランド大学の研究チームは、「このナノ気孔は既存の薄型バッテリーにも容易に採用できる」として、ナノ気孔採用バッテリーが成功すると確信している様子です。

ちなみに、現在販売されている小型二次電池の充電時間を見てみると、マクセルから販売されている小型のボタン形二次電池はサイズが直径9.5mmで充電時間は電圧2.4Vで6時間、再利用可能回数は500回となっています。

ボタン形チタン酸カーボンリチウム二次電池「TC」 [法人向け製品] - マクセル

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in サイエンス,   動画, Posted by logu_ii

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