大学生チームが26年ぶりに電気自動車の世界記録を塗り替える

1充電での航続距離1300kmや最高速度600km/hを達成するなど進化を続ける電気自動車(EVカー)で、26年間もの長きにわたって破られていなかった世界記録が、オーストラリアの大学生のチームによって塗り替えられることになりました。
Students successful in electric car world record attempt | UNSW Newsroom
http://newsroom.unsw.edu.au/news/science-technology/students-successful-electric-car-world-record-attempt
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW)の学生チームSunswiftが電気自動車を開発する様子は以下のムービーでまとめられています。
Eve Land Speed Record 2014 - YouTube
Sunswiftが開発するEVカー「Eve」

これは着想時点のEveのモデル。

目標とする最高速度は時速140km。にもかかわらず搭載するリチウムバッテリーは60kgと比較的軽量。

「『Eveは太陽光発電を動力にするソーラーカーを再デザインする』という途方もなく大きな目標を掲げて開発がスタートしました」

世界記録を狙うEVカーは、チャレンジする内容に特化した特別なデザインのものが多い中で、Eveは通常のスポーツカーのような、ある意味「普通の」デザインです。

「チームのみんなで自動車の世界に革命を起こしたいと考えています」

屋根一面にはソーラーパネルが貼り付けられています。

走行試験を繰り返すEve。

狙うのは26年間もの間、破られていないEVカーの世界記録の更新です。

それは、「Fastest Long-range Electric Vehicle」という、1回の充電で500km以上のロングドライブをして平均速度を競うという種目。

この種目は、一般的なロングドライブの最長距離である500kmをいかに速く走破できるかを競うもので、アメリカや欧米などの長距離ドライブが日常的な国でのEVカーの実用性を測るものと言えます。

直線だけでなくコーナリングも入念にテスト。

走っては改良しての繰り返し。

トライに向けて、やることは山積み。

お金もかかります。

昼夜を問わず続けられる作業。

「より良いソーラーカーを作るだけでなく……

より良いチームを作ることが必要なのです」

Sunswiftの挑戦の目的は、若い世代の子どもたちに夢を与えること。

そして、技術の限界を引き上げ、ソーラーカーの新しい基準を確立することです。

世界記録が樹立された様子が分かるムービーがこちら。
Engflick - YouTube
朝霞の中、キャリアからゆっくりと下ろされるEve。

記録更新を狙う舞台はAustralian Automotive Research Centreの1周4.2kmのサーキットトラック。なお、今回はソーラーカーではなくEVカーとして記録に挑戦するため発電機能は使用していません。

最後のチェックに余念がありません。Sunswiftの4分の1にあたる60人のスタッフが今回のチャレンジに参加したとのこと。

ドライバーとも最終チェック。

いよいよトライ。


コクピットの様子はこんな感じ。ドライバー横の消火器が真剣勝負を感じさせます。

一般的な自動車と同様にEveは右端にシートが配置されています。

快調に周回を重ねていくEve。

後方には大きなアンテナを搭載したサポートが追走。

ハンドレーダーは時速100km以上を計測。

Eveは120周を無事、走破。

抱き合うスタッフとドライバー。

世界記録更新を祝ってシャンパンファイト。

Eveは、従来の世界記録であった平均速度73km/hを大幅に上回る平均速度100km/hの新記録を樹立しました。

Eveの記録は国際自動車連盟(FIA)の認証を受けて正式に世界記録として認定される予定です。なお、オーストラリアで自動車の世界記録が実現すれば、これは1984年以来で実に30年ぶりの快挙になるとのことです。
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