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ロボットや人工知能の進化は人間の仕事を2025年までに奪い尽くすのか?

By Jeff Keyzer

ロボットや人工知能(AI)の進化はめざましく、人間の生活をより便利にしてくれることが期待されています。しかし、ロボットが進化して人間の仕事を代替することで、ロボットに取って代わられる労働者が出てくるという不安も次第に主張されるようになっています。ロボットとAIの進化が2025年に人類の生活をどう変化させているのかについて、さまざまな分野の識者1896人に回答を求めた大規模な調査の結果は以下の通りです。

AI, Robotics, and the Future of Jobs | Pew Research Center's Internet & American Life Project
http://www.pewinternet.org/2014/08/06/future-of-jobs/

「2025年までにロボットやAIの進化によって人間は仕事を奪われるか?」という質問への回答は、識者の間でも真っ二つに分かれました。

・No(奪われない)という回答
全体の52%が「ロボットに取って代わられる仕事はあるものの、仕事を奪われるという事態にまではならない」と回答しました。

多くの楽観論者が「技術の進化によって人間が置き換えられる仕事はあるとしても、技術の進化に伴って生み出される新しい産業によって多くの雇用が生まれるので仕事を奪われることはない」と考えています。ヴィントン・サーフ氏は「歴史を振り返ると、技術革新は雇用を創出するものでこそあれ、雇用を破壊するものではありません」と述べ、また、Microsoftのマイケル・ケンデ氏は、「確かに仕事が奪われることもあるでしょうが、失われる雇用以上の雇用が新たに生まれるでしょう」と述べており、ロボットやAIの技術が進化することで新しい仕事が生み出される効果に期待しています。

By Steve Jurvetson

また、「人間にしかできない仕事があるためロボットが完全に取って代わることはできない」という意見も根強く、メディア心理研究センターのパメラ・ラトリッジ氏は、「思考力・想像力・問題解決力など機械にはできない多くのことがあります。ロボットが進化すれば、人間は『人間にしかできないできない分野』によりエネルギーを割くことになるでしょう」と述べています。

もっとも、2025年までの「近い将来」という条件の下では雇用に大きなインパクトを与えることはないとしても、さらに先の将来には多くの雇用が失われる危険を感じているという回答もあります。MITのコンピュータ科学人工知能研究所のデビッド・クラーク氏は、「現代の大きなトレンドは、サービス業の自動化です。この傾向が続くことで、サービス業に携わる人には新しいスキルが求められるようになり、単純労働者にとっては深刻な影響をもたらすことになるかもしれません。ただし、12年という短い期間では自動化はそれほど進まないでしょう」と回答しています。

By Steve Jurvetson

一方で、「ロボットがあらゆる仕事を引き継ぐことに対して懸念があります。私たちは未来永劫までロボットによる労働力の置きかえに同意するべきではないでしょう」と述べているWebbmedia Groupのエイミー・ウェッブCEOのように、雇用への影響を最小限に抑えるために法的な規制を整備するべきであるという意見も出されています。

・Yes(奪われる)という回答
これに対して、全体の48%がホワイトカラーブルーカラーを問わず大部分の仕事がロボットに取って代わられると回答しました。このような悲観論者は、大多数の雇用が失われる結果、所得の格差が今以上に広がること、社会秩序が荒廃することなどを強く懸念する見解を明らかにしています。

戦略系コンサルタントのジェリー・ミチェルスキー氏は「ロボットと人間との競争では人間が負ける」と断言しており、園芸やベビーシッターなど地域の人が関わる仕事や、高度な思考や信頼関係の構築が求められる一部の仕事のみが安全圏で、それ以外の仕事は自動化の荒波に巻き込まれるとの見解を示しています。

By Sandia Labs

また、インターネット法の専門家であるロバート・キャノン氏は、「自動化できそうだと考えられるものはすべて自動化されます。端的に言えば、『人間だからこそ貢献できることは何か?』という問いに積極的に答えられないような仕事が存続する可能性はないということです」と述べています。

さらにロボットやAIの進化は、これまでの技術革新とは異なるという意見もあります。The Economistのトム・スタンデージ氏は、「従来の技術革新に比べて、ロボット技術やAIの進化はより大きな衝撃を与える可能性があります。これまで起こった技術革新はゆっくりとしたものであったため、人は再教育を受けることで違う仕事へ転職することが可能でした。しかし、ロボットとAIの進化の速度は、技術職に就く人さえもあっという間に時代遅れにするほど速いもので、対応はこれまでにないほど難しいでしょう」と答えています。

By Simon Liu

また、ハーバード大学のジャスティン・ライヒ氏は、ロボットやAIがルーチンワークを加速的に奪っていくはずで、職人や法律家・会計士などの複雑な仕事も例外ではないと考えています。そして、ごくわずかに残された一部の高度な仕事に就く人を除けば、現在ある大多数の中産階級はすべて低所得層へと転落する可能性があると指摘しています。

By Jan Truter

・共通認識
悲観論者・楽観論者に共通した意見として、「教育の重要性」が上げられています。ただし、インターネット社会学者のハワード・ラインゴールド氏が「ロボットが人間に残してくれる仕事とは、思考と経験が必要とされるものだけです。言い換えれば、最良の教育を受けた人間だけが機械と競争できるようになるでしょう」と述べた上で、「それにもかかわらず現在の教育は黙って言われたことを記憶するよう教え込むことに終始しており、時代についていけていません」と批判しているとおり、ロボット時代の到来を見据えた教育はまだまだ手探り状態だと言えそうです。

By NASA Goddard Space Flight Center

・新たな価値の誕生
ロボットやAIの進化のせいで「人間が仕事を奪われるか否か」という問いに答える前提問題として、そもそも「仕事」とは何かという定義について考え直す必要性を示唆する回答も寄せられています。

Googleのハル・バリアン氏は、「『仕事』というものが反復する必要のある不快な作業を意味するなら、ロボットやAIの進化によって人間は仕事を奪われるかという質問の答えはイエスです。掃除機や食洗機の登場によって『仕事』が奪われたように、今後もそうなるでしょう。そういう意味で、仕事を奪われるという状況は歓迎すべきことです」と述べ、仕事の時間が減ることで仕事に縛られない余暇が増えるだろうと予想しています。

By hobvias sudoneighm

また、「産業革命以降一貫して効率性が重視され、大規模・大量生産による経済性のみが追求された結果、技術をそれほど必要とされない単純労働に就く人から搾取するという社会構造が生み出された」という事実を指摘した上で、ロボット技術が向上していくことで、安くて均質な使い捨ての商品から、値段は高いがその人に合わせてカスタマイズされたより長期間使える高品質な商品やサービスが生まれる社会構造への変化を予想する意見もあります。

以上のような識者から寄せられたさまざまな意見を見る限り、「2025年に人間はロボットに仕事を奪われるのか?」という質問の正解がどうであれ、ロボットとAIのさらなる進化は確実と言え、2025年には現在とはまったく違った働き方や仕事観が現れていても不思議ではなさそうです。

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