PS4向けゲームのPRで解像度を偽ったとしてSCEAが集団訴訟を起こされる
By Leon Terra
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の子会社ゲリラゲームズが開発し、SCEからPlayStation 4のローンチタイトルとして発売されたゲームが「KILLZONE SHADOW FALL」。オフラインのシングルプレイヤーモードだけでなく、オンラインプレイのマルチプレイヤーモードも1080p(1920×1080)で遊べるということで発売前から期待を集めていましたが、実際にKILLZONE SHADOW FALLを購入したユーザーたちが「マルチプレイヤーモードが宣伝通りの解像度で動作しなかった」としてSony Computer Entertainment America(SCEA)を相手取り集団訴訟を起こしたことが明らかになりました。
Case3:14-cv-03530-JCS Document1
(PDFファイル)http://ia902304.us.archive.org/23/items/gov.uscourts.cand.279671/gov.uscourts.cand.279671.1.0.pdf
SCEAに対する集団訴訟の代表を務めるのは、カリフォルニア州在住のDouglas Ladore氏。SCEAは2013年にPS4の大々的なプロモーションを行い、その性能をアピールするのにローンチタイトルの1つとして選んだのがKILLZONE SHADOW FALLでした。Ladore氏によると、SCEAはKILLZONE SHADOW FALLの発売前に行われたプロモーションで「マルチプレイヤーモードでのネイティブ1080pを実現」というポイントを前面に押し出していたとのこと。
By BagoGames
ゲームサイトのGamingBoltは、2013年2月20日にニューヨークで開催された「PlayStation Meeting 2013」にて、KILLZONE SHADOW FALLの開発者であり、開発元ゲリラゲームズ代表取締役社長のHerman Hulst氏が登壇したときの様子を記事にしています。その中で「KILLZONE SHADOW FALLはネイティブ1080pで動作するPS4の最初のタイトルだと確約された」とHulst社長の発言をまとめました。
また、PlayStationの公式マガジンOfficial PlayStation Magazineに掲載されたKILLZONE SHADOW FALLの開発者インタビューでは、ゲームディレクターのSteven Ter Heide氏が「前作は720pでしたが、今作は1080pで動作します。これが前作との大きな違いです」と発言していました。
さらには、2013年11月2日、SCEAのソーシャルメディアマネージャーであるSid Shuman氏が執筆した公式ブログの記事を確認すると「KILLZONE SHADOW FALLのマルチプレイヤーモードはネイティブ1080p・60fpsで動作する」と記載されています。ブログの最後にマルチプレイヤーモードの解像度について説明が付け加えられていますが、こちらは2014年3月、KILLZONE SHADOW FALLの発売後に追記されたものでした。
そして、KILLZONE SHADOW FALLの発売2週間前にSCEAは同ゲームのマルチプレイヤーモードを収録したムービーを公式ブログにて公開。ブログ内にはムービーをダウンロードできるページへのリンクと共に、「ムービーを見てわかるように、Killzone Shadow Fallのマルチプレイヤーモードはネイティブ1080p・60fpsを実現した」と書かれています。ムービーの公開を受けて、PolygonやVideoGamer、engadgetといったIT関連のインターネットメディアがKillzone Shadow Fallのマルチプレイヤーモードに関する記事を公開。
公式ブログで公開されたKillzone Shadow Fallのマルチプレイヤーモードを収録したムービーは下記から確認できます。
Killzone Shadow Fall: Ultra High Bitrate Multiplayer Footage - YouTube
Ladore氏が指摘しているのは発売前のPRだけにはとどまりません。Ladore氏は裁判所に提出した書類の中でKILLZONE SHADOW FALLのパッケージの背面画像を貼り付けていました。その画像からは、パッケージにゲームの技術明細事項として「1080p HD VIDEO OUTPUT」と記載されているのがはっきりと確認できます。
Ladore氏によると、ゲーム開発者はパッケージ裏の技術明細事項には特に注意していて、ゲームの解像度が常に1080pでない「inFAMOUS Second Son」の場合、下記の画像のように「HD VIDEO OUTPUT 480p・720p・1080i・1080p」と記載されているとのこと。
「こういった一連のPRとパッケージ裏の技術明細事項により、200万人ものユーザーがKILLZONE SHADOW FALLを購入した」とLadore氏は主張しています。
しかしながら、KILLZONE SHADOW FALLの発売後、購入者からマルチプレイヤーモードの解像度に関して多くの苦情がインターネット上に寄せられ、1人のユーザーは「KILLZONE SHADOW FALLのマルチプレイヤーモードには前作と同じようなグラフィックのぼやけを確認できる。最悪ですね」というメッセージを掲示板に投稿しました。
ユーザーからの苦情を受けてKILLZONE SHADOW FALLのプロデューサーPoria Torkan氏が同ゲームのグラフィックに関する記事を公開。Torkan氏は「シングルプレイヤー、マルチプレイヤー共にアップスケールなしの1080p・60fpsで動作しています。ネイティブという言葉はアップスケールなしの画像と定義されることがしばしばあり、その定義に従うとネイティブ1080p・60fpsで動作していることになります。しかしながら、マルチプレイヤーでは時間相関再射影という技術を使用しています。時間相関再射影とは複数の低解像度フレームで分けたものを再構成し、1080pイメージを作成する技術です。もしネイティブという言葉が、全てのパイプラインが1080pであることを意味するのであれば、時間相関再射影はネイティブではありません」と発言。
さらに、「今後は、我々が発信する言葉の正確性に責任を持つことにベストを尽くします」と続け、記事の最後には「時間相関再射影の技術は、ネイティブ1080pによく似た結果をもたらし、開発スピードを短縮してくれました」と書かれていました。
Ladore氏は「ネイティブ1080pと、時間相関再射影によって実現された1080pは、同じではありません。我々はKILLZONE SHADOW FALLのマルチプレイヤーモードが、SCEAがPRしていた1080pと同じであるとは認められません」とし、今回の訴訟に踏み切ったわけです。SCEAが訴訟に対して今後どのような対応を見せるのか、注目が集まります。
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