取材

世界中のメタラーが暴れ狂う地獄フェス「HELLFEST2014」サークルモッシュ最前列&現地の混沌状況レポ


夏と言えば日本ではフジロックフェスティバルSUMMER SONIC、イギリスではグラストンベリーなどが開催される音楽フェスティバルの季節です。そんな中、メタルミュージックに特化したフランス最大級のメタルフェスティバル「HELLFEST Open Air 2014」が2014年6月20日~22日に開催されたため、「地獄の祭典」と名付けられたフェスが一体どれほどカオスな状況になっているのか、実際に確かめに行ってきました。

HELLFEST Open Air 2014 - France
http://www.hellfest.fr/


Rue du Champ Louet, 44190 Clisson, FRANCE


FELLFEST 2014で発生したメタラーが音楽に合わせて猛スピードで走り回る「サークルモッシュ」の激しさは以下のムービーを見るとよくわかります。

HELLFEST 2014のサークルモッシュを超目の前で見るとこんな感じ - YouTube


◆入場から会場まで
10数km以上にわたって路上駐車の列が続きまくる到着間際の会場付近の道路。日本からHELLFESTを訪れるには、飛行機でパリを経由してナントに行き、ナントからは電車またはバスでクリッソンを目指します。今回は車で向かいましたが、HELLFESTのウェブサイトの案内によると、クリッソンから出ているシャトルバスや、カーシェアリングを使うという手があるとのこと。ヒッチハイクをしている人も複数見かけました。


全てのチケットにはオフィシャルキャンプサイトの使用権がついているため、テントを持って行けば宿泊することも可能。


というわけで現地に到着、大きく「HELLFEST」と書かれた通路を通ります。


入り口にはHELLFESTのモニュメントと「CLISSON ROCK CITY」の文字。


巨大なギターのモニュメントもありました。


中に入るには、チケット引換券を持って1日券・または3日通し券のどちらかの列に並びます。


今回は22日(3日目)だけだったので1日券の列へ。


あらかじめ印刷しておいた引換券はリストバンドに交換してもらえます。1日券は紙っぽい素材ですが、3日券だと布のリストバンドになります。


入場すると最初に通るのはいろいろなお店やTVがある「HELLCITY」。


ロックブーツの代表格Dr.Martens(ドクターマーチン)


Dr.Martensのショップにはお絵かき可能なブーツのキャンバスがあったり……


無料でメタルな化粧を施してくれるお姉さんもいました。


さらにメタルファッションやグッズを販売するお店もあります。会場は真っ黒な服装だらけで、通常の音楽フェスティバルでよくあるようなアウトドアな格好の人は1人たりともいないので、ここでアレコレそろえるのもアリです。


HELLCITYを後にして、先ほど通り抜けたゲートの階段を通過。


その先にある「METAL CORNER」という場所に到着。


貴重品を預けられるロッカーや……


アルコールやドリンクが購入できるバーがあります。


HELL BURGERなるものまで販売しています。このあたりは演奏会場に入る前のエリア。


フランスの携帯キャリアSFRによるWi-Fiスポットもありましたが、パスワードが設定されていて使うことはできず。デバイスの充電などはできるようです。


会場を目指してさらに進むと、なんと完全に全裸のルイージたちを発見。以前に日本の音楽フェスティバルであるフジロックで全裸になって警官に連行されていく人を見たことがありますが、周りの人は特に気にしていません。フランスではさほど問題ではないのかも。


ここが会場への入り口。列に並んだ先でセキュリティチェックを行っています。一眼レフにGoProを持っていましたが、バズーカのようなレンズを着けた完全プロ仕様の機材でなければ余裕でスルーしてくれます。チェックしているのは銃などの危険物というわけです。


列には刺激的な服装の女性や……


なぜやらゴジラまで並んでいます。


チェックを通り抜けたすぐのところはフードエリア。


日本のフェスごはんは世界各国の料理が食べられて充実しているイメージですが、HELLFESTではサンドイッチやパニーニ、ハンバーガー、フライドポテトなどが多め。


ほぼ全てのお店でクレジットカードが使えるのは旅行者にとってかなり安心。


さっそくホカホカのクロックムッシュをゲット。


マヨネーズやケチャップはセルフサービス。


価格は1つ5ユーロ(約680円)で、表面にはチーズ、中にはハムが入っています。当日の現地は恐ろしい暑さなのですが、炎天下で食べるアツアツのパンは、口内の水分を残さず奪っていってくれました。


会場の方へ向かうと大きな観覧車が目を引きます。実際に乗ることも可能。


日陰になっているエリアはかなり少ないですが、木々が茂っているゾーンもあります。


当日の猛烈な暑さと、パンを食べてしまったせいで、「このままでは倒れてしまう」というほどに喉が渇きまくっていたのですが、何やら人だかりを発見。


ここは無料で飲み水が出っぱなしになっているところで、コップやペットボトルに水を汲んだり、たまっている水をかぶって涼むこともできる重要なスポット。ただし、テンションが高まったメタラーの善意で水をぶっかけられることがあるので、カメラなどの電子機器を持っている場合は注意が必要です。


というわけで会場の真ん中に到着。物々しい様相のHELLFESTツリーが生えており、この周辺にステージが点在しています。


なお、GoProに一脚を取り付けて会場を撮り歩いた様子は以下のムービーから見ることができます。

HELLFEST 2014、GoPro+一脚で撮影した会場の様子はこんな感じ - YouTube


カメラを向けるとノリノリでポーズしてくれた悪魔のカップル。


◆5つの演奏ステージ
ツリーの近くには、大きなカラスが目印のタイムスケジュール表があります。


裏側は会場のマップになっており、ステージは全部で5つあることがわかります。


まずはひときわ大きなステージへ。


これは大きなステージが2つ並び立つ「メインステージ01/メインステージ02」。交互にどちらかで演奏するステージで、3日目はBlack SabbathMegadethといった大物バンドが演奏しており、1日目にはこのステージで唯一の日本人バンドCrossfaithも演奏。


メインステージの後ろには謎の戦車があります。


ここは屋内型ステージの「THE ALTAR」「THE TEMPLE」。


中はこんな感じ。


もう1つの屋内ステージ「VALLEY」。


日陰になっているので疲れたら後ろの方で休憩するのもアリです。


会場の最も端に位置する「WARZONE」。どのステージも歩いて10分以内に到着できるので、好きなバンドを見逃すことはなさそうな会場です。


メインステージとWARZONEの間には、車椅子の人専用の観客席が用意されています。


なお、会場の地面は芝生や草はほとんど生えておらず、どこもかしこも砂煙がスゴイことになっています。タオルを顔に巻いていましたが、それでも鼻の穴や耳の中まで砂まみれになってしまいました。


靴は以下のように砂まみれになってしまうことは覚悟しましょう。


◆会場のメタラーたち
会場には普通の音楽フェスティバルでは見ることができない個性的なメタラーがあちこちを歩いています。話しかけるのも恐ろしかったのですが、勇気を出して写真を撮らせてもらいました。

悪魔のような真っ赤な化粧を施した2人組。脇にはいけにえなのかなんなのか、犬のぬいぐるみを抱えています。ちなみに、後ほどこのぬいぐるみが地面にうち捨てられているのを発見しました。


通常であればかなりメタルメタルしたカップルですが、この会場ではむしろ「普通」なレベル。


血のりをつけていたりとかなり本格的ないでたちの3人組。会場がカオス過ぎて本当にケガをしている、というわけではありません。


悪魔を信仰していそうな3人組。魔界から参上したようなポーズをとってくれました。非常に分厚いフードを着ているので、中の人は猛烈に汗をかいていると思われます。


ビールを売り歩く人までバッチリとメタラーです。


なぜかハンマーを持ち歩く人や……


ヘヴィメタのリズムに合わせてノリノリで踊るおじいさんまで。


愛しい彼女を片時も離さずに連れ歩く人もいました。


なお、訪れたのは3日目だけだったのですが、3日通し券を持っている人たちによると、1日目が化粧をしている人やスゴイ格好をしている人が最も多いとのことです。

◆HELLFESTトークン
HELLFEST会場ではドリンクを現金やクレジットカードで購入することができないため、何か飲むためには1トークン=1ユーロ(約137円)で換金できる現地通貨の「ドリンクトークン」をゲットする必要があります。

換金所の1つは大きなドクロが見える場所の傍らにあり……


「BANQUE JETONS TOKENS BANK」と書かれたところに並んで換金します。クレジットカードでも決済可能ですが、現金はほとんど並ばないので、10ユーロ札をそのまま渡せば10トークンをゲットできます。


というわけで10枚のドリンクトークンをゲット。トークンは半分に割ることができ、これを持ってバーに行けば飲み物が買えるというわけです。初回のみコップのチャージとして1トークン余分に支払う必要があります。


ビールは1番小さな30デシリットル(300ml)で3.5トークン。この容器は使い捨てではなく、次回に飲み物を買う時に返却する必要があります。常にコップを持っていることになりますが、無料の水を飲むためにも使えます。最後にバーに返却すれば、1ユーロ(約137円)の返金を受け取ることが可能。記念に持って帰ってもOKで、他にもピッチャーサイズのビールや150mlのワインなどいろいろなサイズのコップがあります。バーではペリエレッドブルなどのノンアルコールドリンクも販売しています。


また、そこら中にビール売りの人が歩いており、持っているコップに入れてもらうこともできます。全てのコップには目盛がついているので必要な分量だけ購入することができます。


◆メインステージの様子
メインアクトが演奏しまくることもあり、熱気あふれるメインステージに向かってみると……


熱気どころかステージから火が噴いており、この後に火のついたマイクで歌うというパフォーマンスを目の当たりに。


何やら前の方で砂煙が上がりまくっていたので、グイグイと前まで行ってみると、メタラーたちが猛スピードで走り回る超危険なサークルモッシュに激突。「巻き込まれたらおしまいだ」と思わせるほどの暴れようです。


謎の肉屋の親父も棍棒を持って大興奮。


ビッグネームのアーティストは演奏時間が遅い時間に設定されているため、時間が経つごとにメインステージにはどんどん人が集まってきます。「こんなに人が来ていたのか!」と驚かされるほどの19~20時ごろのメインステージ周辺の様子は以下のムービーから見ることができます。

HELLFEST 2014、夕方のメインステージにはこれだけの人が集まる - YouTube


観覧車がライトアップされ、お昼時は人がまばらだったカラスのマップ周辺まで人だかりが伸びています。


バーは点火でライトアップされています。もはやバーの列なのか観客なのか判別不能。


メインステージ前の人口密度もどんどん高まっていきます。


そしてヘッドライナーのBlack Sabbathの演奏タイムには人口密度と熱気がマックスに。暗くなったメインステージの様子は以下のムービーから見ることができます。

HELLFEST 2014、夜のメインステージの様子 - YouTube


23時~0時近くになるとようやく空が暗くなってきます。お昼~夕方ごろまではグイグイ行けば前まで進めたのですが、この時間になると人と人の間にすき間がなく、身動きのとれないほど人が集まります。


観覧車のライトアップがキレイに映し出され、この時間になると最後の思い出のためか、観覧車に乗るための行列もできていました。


そんなこんなで全てのバンドの演奏が終了。演奏後の帰り道でも何か出し物がありました。


最後に乾杯するためかバーは大盛況。


多くの人が帰っていきます。


出口はこんな感じ。キャンプをしている人や車で来ている人は一晩泊まってから朝に帰るのが多いようです。


というわけでHELLFEST 2014が終了。会場では1人だけ日本人の方を発見しましたが、アジア人すらほとんどいない様子でした。「どこから来たの?」とよく話しかけられ、「日本から来た」と伝えると、「毎年来てるけど日本人に会ったのは初めてだ!」と驚かれるほど。日本からフランスの内陸部にあるHELLFESTに行くのは大変ですが、HELLFESTに行きたい人や気になっている人の参考になれば幸いです。


なお、HELLFEST 2014の3日通し券は185ユーロ(約2万5500円)、1日券は79ユーロ(約1万円)となっており、オフィシャルサイトからクレジットカードで購入可能で、購入後にプリンターから引換券を印刷する必要があります。もし行けなくなった時のためにプラス7ユーロ(約900円)で、チケット代金の払い戻し保険をつけることも可能です。

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in 取材,   動画, Posted by darkhorse_log

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