ハードウェア

約50円で自作できる超激安「使い捨てペーパークラフト顕微鏡」が開発される


スタンフォード大学の生物物理学者マヌー・プラカシュ博士は、設計図を印刷して自作する、わずか50セント(約51.4円)の使い捨て顕微鏡「Foldscope」を開発しました。伝染病が蔓延する地域で病原体を簡単に検出できる手段として注目されています。

Stanford bioengineer develops a 50-cent paper microscope | Scope Blog
http://scopeblog.stanford.edu/2014/03/10/stanford-bioengineer-develops-a-50-cent-paper-microscope/

50セント(約51.4円)の使い捨て顕微鏡「Foldscope」がどのような顕微鏡なのかは、以下のムービーを見ることでわかります。

Print your own 50-cent microscope - YouTube


「マラリア、アフリカ睡眠病住血吸虫症およびシャーガス病のような血液によって感染する病気が蔓延する地域で、誰でも簡単に検出できる『超低コストの顕微鏡』を作ることは私の夢でした」と話す、マヌー・プラカシュ博士。


そんな思いから作られたのが使い捨てできるペーパークラフト顕微鏡の「Foldscope」。機械仕掛けの可動パーツを使用しておらず、紙製でしおりサイズのフラットな形状。原価は1つ50セント(約51.4円)で、伝染病を検査した後の生体サンプルは燃やして処分することが可能です。


数分で組み立て可能な紙製の顕微鏡の作り方は、まず印刷したものを切り取って印刷した設計図からパーツを切り離します。


パーツについている折り目に沿って組み立てていきます。折り紙をモデルにしているとのこと。


バッテリーの設置ははんだ付けが必要です。


対物レンズをピンセットで設置。


上からカバーを取り付けて……


焦点や拡大倍率を調節するスライドストリップを組み合わせたら完成です。


拡大画像は暗い部屋の壁などに投影することができます。


Foldscopeは非常に頑丈な作りとなっており、落としたり、靴で踏んづけたりしても壊れません。


ビーカーに満たした水の中に沈めても……


この通り、問題なく使用を続けられます。


「私は最良の方法としてほとんど無料の疫病検知道具を提供したいと考えていました」と話すプラカシュ博士の思いが形になった、紙製の「使い捨て顕微鏡」。わずかに設計図を修正すれば、明視野顕微鏡・蛍光顕微鏡・顕微鏡投影にも応用できるとのこと。従来の顕微鏡に使用される精密なカーブガラスレンズではなく、1枚17セント(約17.5円)の費用のかからない球面レンズを使用しています。

実際に使用するには、Foldscopeのスライドにサンプルを載せてマウントして固定します。親指と人差し指でストリップをつまんで位置を合わせたら、まつ毛が触れるくらいまで目をレンズまで近づけます。指で紙のパーツをスライドさせることで目標との焦点を調節可能。


サンプルは最大2000倍まで拡大することが可能で、以下はFoldscopeを通して撮影された「ランブル鞭毛虫(A)」と「ドノバン・リーシュマニア(B)」の拡大図。


また、Foldscopeは腕時計のバッテリーで動作するさまざまな組み合わせの有色LEDを加えたり、染色サンプルや蛍光フィルタを加えることで特定の生物検出のためのカスタマイズも可能な設計になっています。

プラカシュ博士は安価な疫病検知の手段として以外にも、科学者を目指す子どもたちが顕微鏡に手軽に触れられる教育道具としての使用も考慮しており、大量生産を目指して情熱を傾けているとのことです。


なお、プラカシュ博士がTEDでFoldscopeを発表している様子を収めたムービーも公開されています。

Stanford microscope inventor featured on TED Talk | Scope Blog

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in ハードウェア,   サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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