メモ

FBIに逮捕された「インターネットで最も嫌われた男」ハンター・ムーアとは?


2014年1月23日、FBIは「インターネットで最も嫌われた男」ことハンター・ムーア(Hunter Moore)容疑者を逮捕しました。その主な容疑は、多くのコンピューターをハッキングして侵入し、保護されたメールアカウントに保存されていた裸体が写された写真を含む個人情報を取得したというものですが、その奥にはさらに深刻な被害が生まれているという現実が横たわっています。

Feds arrest “most hated man on the Internet” in revenge porn hacking case | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2014/01/feds-arrest-most-hated-man-on-the-internet-in-revenge-porn-hacking-case/


Hunter Moore: IsAnyoneUp Founder Could Be the Most Hated Man on the Internet | Culture News | Rolling Stone
http://www.rollingstone.com/culture/news/the-most-hated-man-on-the-internet-20121113

Rolling Stone(ローリングストーン)紙が「インターネットで最も嫌われる男」と名付けたムーア容疑者は、かつては多くのヌード写真を掲載するポルノサイト「Is Anyone Up?」を運営していましたが、現在は閉鎖されています。一見すると、多くのヌード写真を掲載しただけのポルノサイトのように見えた「Is Anyone Up?」ですが、問題となっていたのはその写真の出どころです。このサイトに寄せられた写真の多くは、過去交際関係にあり破局したことを恨んでいる男女が、相手のヌード画像や動画を勝手に投稿していたという、いわゆるリベンジポルノと呼ばれるものだったのです。

連邦裁判所に提出された起訴状によるとムーア容疑者は、違法にメールアカウントにアクセスして取得されたものと知りながら、週あたり200ドル(約2万300円)を支払って画像を入手していたとされています。取引を偽装するためには偽名で作成されたPayPalのアカウントが用いられており、共犯者としてチャールズ・エバンス容疑者が逮捕されています。

2人は7件の不正アクセス、そして7件の悪質な「なりすまし」を共謀した罪で告訴されており、有罪判決が下された場合には両方の罪で最長5年の懲役刑を受けることになると見られています。二人の間では「金銭を渡してハッキングを依頼する」という取引が継続的に行われており、2011年12月8日には6名の男性と6名の女性の裸体が撮影された写真と引き替えに250ドル(当時のレートで約2万5000円)を授受、さらに2012年1月16日にはムーア容疑者からエバンス容疑者に「もっと写真を送れ」という内容のメールが送信されたとして、具体的な取引の実態が存在していたことが明らかにされています。

By HUS0

ムーア容疑者が立ち上げたサイト「Is Anyone Up?」は2012年に閉鎖されていますが、ピーク時には一か月で30万ページビューのアクセスがあり、サイト内に表示していた広告から1万ドル(当時のレートで約80万円)以上の収入を得ていました。サイトには別れた元交際相手のヌード写真が多く掲載されていただけではなく、相手のフルネームや職業、ソーシャルメディア上のプロフィールや住所などの個人情報が含まれていたケースもあり、後にPayPalは容疑者のアカウントをブロックし、Facebookはこのサイトへのリンクを禁止していました。

ある日、サイトにヌード写真を掲載されていた女性は父親とともにムーア容疑者の元を訪れました。父親が写真を削除するように説得するものの、うまくいかなかったため女性はムーア容疑者の肩めがけてボールペンを突き刺すという攻撃にでました。このボールペンを除去するためにムーア容疑者は病院に駆け込み、彼の肩には傷跡が残ることになりましたが、その時にムーア容疑者の頭をよぎったのは「すげえ、これは最高の(書き込みの)ネタになるぜ」というものだったというのだから驚きです。その後も命を脅かされる危険に遭遇した彼は携帯電話の番号を毎月変更することを強いられ、時には祖母の家に隠れて暮らすこともあったといいます。

By publik16

その他にも、ヌード写真を公開される被害に遭った女性の父親に対して「おたくの娘が『サイバーレイプ』されたことはすまなく思ってるけど、これであの娘はテクノロジーのことをよく理解したんじゃないか?」と発言するなどの奇行が伝えられています。

ムーア容疑者が逮捕され、サイトは閉鎖されましたが、このような「リベンジポルノ」による被害は日本でも広がりが見られていることから、政治レベルでもこのような被害を食い止めるための法整備を進める動きが始まっています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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