小型モジュールをどんどん連結し誰でもすぐ演奏しまくれるアナログシンセ「little Bits Synth Kit」レビュー

楽器メーカーであるKORGは、「あなたのなかに眠ってるロック・スターを呼び醒ます。」というキャッチフレーズで、小さなモジュールを連結してさまざまな音色を作り出すアナログシンセサイザーの「little Bits Synth Kit」を販売します。今回、事前に実機を借りることができたので、実際にどのように演奏できるのか試してみました。
littleBits(リトルビッツ)
http://jp.littlebits.com/
little Bits Synth Kitで実際に演奏してみたムービーは以下から確認できます。
「little Bits Synth Kit」を使って演奏してみました - YouTube
little Bitsが段ボールに入って到着

中から「little Bits」シリーズの4Kitが登場!

金色の箱に入った「little Bits Synth Kit」

白い箱には「little Bits Base Kit」

そして「little Bits Premium Kit」と……

さらに大きな箱に入った「little Bits Deluxe Kit」と豪華な顔ぶれ。

さっそくlittle Bits Synth Kitを開封してみます。

キャッチコピーの書かれた説明書とご対面。

中には連結して使用するシンセサイザーのモジュールを発見。見た感じはカラフルなプラスチックのついた基盤にしか見えません。

説明書を見てみると、「LITTLE BITS入門」と書かれたページから始まっており、順番に読んでいくと演奏できる手順が記載されています。

シンセサイザーを触ったことがない人でもわかるように、基本となる音のピッチや周波数についてなどが書かれています。

◆各モジュールの機能編
各モジュールはアナログシンセサイザーをバラバラにしたようなもの。それぞれがどのような機能を持っているかは、説明書に個別に記載されています。
これは全ての組み合わせに必要な、電源モジュールである「パワー」。

シグナル・ジェネレーターモジュールは2つで、左がSynth Kitの大元となる音を作り出す「オシレーター」。右は信号をランダムに変換したり、ホワイトノイズを出力できる「ランダム」

コントローラーモジュールも2つ用意されており、1オクターブ分にあたる13個のスイッチを持つ「キーボード」と4つのノブで一定のリズムを作り出す「マイクロシーケンサー」。

「エンベロープ」は音量変化を加えて音量や音色を変化させるモジュレーター。

「フィルター」は音の高低に変化を加え、「ディレイ」は入力信号を遅らせて音色をリピート、分岐させた信号をまとめて音量調節する「ミックス」の3つのモディファイアーモジュール。

信号を分岐させたり、単に延長コードとしても使用できる「スプリット」、演奏した音を出力する「スピーカー」はアウトプットジャックも搭載。届いたらすぐに演奏できる9Vのロゴ入り「バッテリー」と「ケーブル」。

全てのモジュールを並べてみました。こじんまりとしておもちゃのようです。

裏側はこんな感じ。

演奏を始めるにはモジュールを連結していく必要がありますが、モジュールの両端には磁石がついているため、2つのモジュールを軽くひっつけるだけで……

お互いが「カチッ」と引っつきます。間違った方向に取り付けようとしても、磁石が反発するので間違って連結してしまう心配もありません。

動力となるバッテリーは、接続用ケーブルに書かれている「+、-」の位置に端子を合わせてはめ込みます。

次にケーブルの先をパワーモジュールに接続。これで演奏の準備は完了。

◆簡単な組み合わせ編
それぞれのモジュールの簡単な組み合わせがイラスト付きで説明書に記載されており、以下のムービーのように簡単な組み合わせを1つ1つ試していくことで、初心者でもシンセサイザーの演奏方法がわかるようになっています。
「little Bits Synth Kit」の簡単な組み合わせを鳴らしてみた - YouTube
基本となるオシレーターの組み合わせの「ピッチ・スイープ」。

オシレーターにバッテリーとスピーカーをつなぐだけのシンプルな組み合わせに連結。

左から右へ電源スイッチを入れるとランプが点灯し、これだけで「キュイイイイ」という電子的な音が鳴り始めました!

真ん中の「pitch」のノブを時計回りに回すと高音に、逆に回すと低音に音色が変化。

さらにノブ左側の「tune」で音程を変えたり、右側の小さなスイッチを上に切り替えると「square」になり、下に切り替えると「saw」と音の波形を変化させます。

スピーカーの音量は左側の「volume」を回して調節し、「headphone」の端子からはイヤホンに接続したり、外部機器へ出力することも可能。

なお、スピーカーはボコボコした素材が貼付けられているため、状況に応じて取り外したり固定できます。

TVの砂嵐のような音色の組み合わせである「ホワイト・ノイズ」

ザーザーとなり始めるノイズ。このようにそれぞれのモジュールを覚えていけるようになっているので初心者でも演奏できるというわけ。

次はキーボードモジュールの使い方がわかる「KEY PLAYER」。

キーボードの音色はオシレーターのノブを回して変化させます。

キーボードの左側にある「key mode」のスイッチを上下に切り替えることでピアノのような演奏と押すだけで鳴りっぱなしにすることが可能。

「シーケンサー・コントロール」の組み合わせは、もう1つのコントローラーモジュールであるマイクロシーケンサーの使い方がわかります。

電源を入れると、マイクロシーケンサーの4つのノブの下のランプが、左から右へ順番に点灯。ランプに合わせて一定のリズムで音が鳴っています。

オシレーターで決めたマイクロシーケンサーでいじってテンポやリズムを変更。

音の基本となるオシレーターを2つ連結する「フリーケンシー・モジュレーション」。

単体では聞き取れないほどの低音をもう1つのオシレーターに出力してさらに違った音色を出すことができます。

エンベロープの仕組みがわかる組み合わせの「SHAPE YOUR SOUNDS」

キーボードのスイッチを「hold」に切り替えてキーボードの音色を鳴らしっぱなしにしながら、エンベロープで音色をギターのように短く鳴らしたり、バイオリンのように尾を引く音色に変化できます。

ランダムとシーケンサーを組み合わせる「ランダム・ボルテージ」はどんな音色が鳴るのか予測できない組み合わせ。

ランダムが信号を不規則に出力するので、シーケンサーとオシレーターをグリグリいじれば、それだけでテクノミュージックを演奏できます。

KORG MS-20後期型と同じ作りであるフィルターの効果がわかる「ノイズフィルタリング」

フィルターの「cutoff」のノブを回した値から上の周波数をカットし、「peak」を回すとcutoffで指定した値の周波数を強調。ちょうど人が「あ~お」へと母音の発音を変えていくような効果をかけることができます。

「エコーとディレイ」は、音色をリピートさせるディレイの使い方がわかる組み合わせ。

「time」のノブを回すと音色のリピート時間を変更し、「feedback」で繰り返しの回数を調節。

◆複数の組み合わせ編
全てのモジュールを一通り試したところで、複数のモジュールを組み合わせて、シンセサイザーとしての真価を発揮します。
まずは、「チューニング」で出力の元となるコントローラーの音程を調節。

出力するモジュールの音程を合わせることで、出力先の全てのモジュールを整えることができます。

正しく音程を合わせたら「プレイ・ソング」で曲を演奏。

簡単に演奏できる「きらきら星」の楽譜もついています。

3つのモジュールで不思議な音を出してみる「スプーキー・サウンド」

ノイズの音を元にディレイやフィルターをかけると幅のある電子的な音に変化させることができます。

馬の走る音や水滴の垂れる音を作る「パーカッション・パーティー」。

スプリットも使って少し複雑な組み合わせ。filterのpeakのノブを最大にすると打楽器のような音でシーケンスを作成。

さらにシーケンサーを甲高い金属音で演奏する「メタル・ミュージック」。

2つのオシレーターにエンベロープをかますことで変わった音のシーケンサーに。

キーボードとシーケンサーを組み合わせて、1人でリズムから演奏までこなせる「シンセ・バンド」。

スプリットで分岐した2つのコントローラーの出力は、最後にミックスでまとめることで2種類の音を一度に出力可能。

ほぼ全てのモジュールを組み合わせた「モンスター・シンセ」。

キーボードの上下にオシレーターをかましているため、2列の鍵盤で和音を出すことが可能に。さらに6つのノブをグリグリいじれば広がりのある音で演奏できます。

説明書には以上の組み合わせが記載されていますが、これ以外の組み合わせはアイデア次第で何百通りにものぼります。
◆製作編
気に入った組み合わせが決まってくると、ショルダー・キーボードなどの手作り楽器を作って固定することでさらに演奏が楽しくなります。

手作りターンテーブルの「シンセ・スピン・テーブル」に必要なものは、ホットメルト・はさみ・テープ・ペン・プラ/紙カップ・ストロー・コーンフレークの箱・紙皿、というユニークな材料。

コーンフレークの箱に回路を固定したら、ノブにストローを取り付け、紙皿をターンテーブルに見立てて製作していくと……

カラフルなストローでデコレーションすれば、Synth Kitを使った手作りターンテーブルの完成。物作りが得意な人なら、アクリルや木など素材を変えてしっかりした手作り楽器を作ることも可能。

little Bits Synth Kitは、以下のKORGのウェブサイトで予約を受付中で、Synth Kit1つの価格は1万6000円。2013年12月6日(金)に出荷開始予定となっています。
Synth Kit 製品情報 - littleBits
http://jp.littlebits.com/synth/

Synth Kit以外のKitは、連結するだけで動作するモーターモジュールや、ライトケーブルモジュールなどの工作キットとなっています。次は3Kitまとめてレビュー予定なのでお楽しみに。
・関連記事
Googleロゴのモーグ・シンセサイザーでドラゴンクエストの序曲を弾いたムービー - GIGAZINE
レゴブロックのようにスピーカーやアンプなどをくっつけて音を作るシンセ音源「Molecule Synth」 - GIGAZINE
楽譜が真っ黒になるほど音を詰め込んだ「Black MIDI」で奏でる東方の「Bad Apple!!」 - GIGAZINE
音を生み出すプロが語る「アニメ効果音の現場とこれからの音響効果」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in レビュー, ハードウェア, 動画, Posted by darkhorse_log
You can read the machine translated English article Analog synth "little Bits Synth Kit" tha….