Googleがスマートウォッチ市場を制覇するために買収した「WIMM」とは？

次世代の情報端末として有力視されているのが腕時計型ガジェット「スマートウォッチ」です。スマートウォッチについては、サムスンやAppleなどさまざまな企業が開発中と噂されていますが、Googleがスマートウォッチを開発していた企業WIMM研究所を昨年買収していたことが判明、Googleのスマートウォッチ市場への本格参入が明らかになりました。Googleが買収したWIMMとは一体どのような会社なのでしょうか。

Scoop: Google acquired WIMM Labs to bolster its own smartwatch plans — Tech News and Analysis
http://gigaom.com/2013/08/30/google-wimm-labs-smartwatch-acquisition/

Googleには先進的な開発や実験を行う「X Lab」という部署が存在し、ここではGoogle Glassなどの開発が進められています。Googleがスマートウォッチを開発しているという噂はこれまでにもあり、スマートウォッチはX Labで開発されていると考えられていました。しかし、Googleは自社開発路線とは別に、昨年、カリフォルニアのWIMM研究所というスマートウォッチ開発企業を買収していたことが先週判明しました。

WIMMは、5年ほど前にRambus社の前CEOデイブ・モリング氏(後にWIMMのCEOに就任)率いる投資会社Pillar Venturesによって設立されました。

WIMMは、設立後すぐに、身につけられるディスプレイのAndroid用開発者向けプラットフォームを開発し、この技術をベースに2011年11月には、Androidベースのスマートウォッチ「WIMM One」を発売します。

こちらがWIMM Oneのムービーです。

WIMM One Smart Watch Review: Hardware - YouTube

WIMMはWIMM Oneの発表と同時に、20を超えるWIMM One用のアプリを公開します。この中には、Androidスマートフォンを遠隔操作して電話をかけたり音楽プレイヤーを起動したり電話の着信音を消したりできるアプリや、To-Doリストアプリ、スタバでコーヒーの支払いをするアプリなどが含まれていました。またWIMMは「micro app」という開発者用SDKも公開し、サードパーティ企業がWIMM One用のアプリを開発できるよう環境も整備。高機能のスマートウォッチ開発とアプリストア開設などの周辺整備をいち早く終えたWIMMはスマートウォッチ市場をリードするかに見えましたが、2012年、突如としてWIMM Oneの発売を中止し、Twitterアカウントも閉鎖し活動を停止してしまいます。当時、同社のウェブサイトには「弊社技術に関して独占的で秘密の提携を行うことになった」という意味深なコメントが示されていました。

By Dave Heuts

当時、AppleがiWatch開発のためWIMMを買収したのではとの憶測が飛び交いましたが、WIMMの提携相手がGoogleであったことがここにきてようやく判明。Googleは、自社でスマートウォッチを開発しつつも秘密裡にWIMM買収に動いていたのです。

情報筋によるとWIMMの上級スタッフのほとんどがGoogleとの合流に同意し、現在、Androidチームと協働しているようです。Googleはまだ立ち上がっていないスマートウォッチ市場で、サムスンやAppleなどの競合企業からリードを奪うためのロケットスタートを切るべくWIMMの持つスマートウォッチ技術を今後より発展させていくと見られています。

By Tiago Pereira

スマートウォッチでは、単にスマートフォンと同じ機能を詰め込むのではなく、一目で見て、手首をフリックするだけで価値ある情報を提供できることが求められています。またサードパーティ開発者を支援することがスマートウォッチアプリの発展に必要なことは明らか。WIMMの取り込みに成功したGoogleはこの両方の翼を得たも同然で有り、スマートウォッチ市場をこれまでリードしていると見られていたサムスンやAppleに追いつき、一気に追い抜いたのかもしれません。