Windows95の「ペイント」で絵を描く97歳のおじいちゃん

Windowsに最初から付属している「ペイント」を使ったとは思えない完成度のイラストを描くアーティストが世界には存在し、中には500時間かけて描いた風景画もありますが、2013年で98歳を迎えるHAL LASKOさんもその1人で、80代でキャリアをスタートさせてから点描や抽象画などを今も描いているのですが、そんなLASKOさんの様子を追ったドキュメンタリー・ムービーが公開されています。
The Pixel Painter - Digital Artist, Digital Paintings
https://thepixelpainter.com/
LASKOさんの作品は以下のムービーから見ることができます。
The Pixel Painter on Vimeo
こちらがHAL LASKOさん。通称グランパ(おじいちゃん)。1915年の7月28日にオハイオで生まれたもうすぐ98歳になるアーティストです。

LASKOさんが絵を描く時に使うツールはWindows 95に付属するとソフト「ペイント」

真剣なまなざしで画面に向かいます。

LASKOさんが描く絵は点描画から抽象画までさまざま。

こちらの抽象画もよく見るとドット感がしっかり残っています。

雪の中のおうち。

花。

以下は「スリラー」というタイトル。

よく見ると人が行列を作っている様子がわかります。

スペース・ハイウェイ

丘の上の家

発光する魚

エイボンの木々

見上げると……

風

紅葉する木々も繊細に表現します。

LASKOさんは第二次世界大戦を経験し、GeneralTireやGoodyear Tiresでタイポグラファーとして生計を立てていました。

こんな感じで広告に使用する文字をデザインし、1970年代に退職するまで働きました。仕事では芸術的な面を出さなかったLASKOさんですが、家では夜遅くまでペインティングに取り組み、さまざまなものを描いたそうです。

LASKOさんは退職して初めて芸術への渇望に時間をささげることができたと語ります。

そして90年代の終わり、孫のRYANさんがスプレーペイントといった機能のあるMicrosoft Paintを彼に見せたところ、LASKOさんはMicrosoft Paintに魅了され、彼の才能は開花することになります。絵のほとんどをMicrosoft Paintで描くようになったLASKOさんですが、2005年に黄斑変性で彼が視覚のいくらかを失うまで、彼にとってこのソフトウェアがどれだけ重要なものになるか、家族の誰も気づかなかったとのこと。

LASKOさんが見ているのは初期に描いた絵の1つ。

視力を失った彼には描いているもののパーツが見えなくなったそうです。さらにその時以来LASKOさんは聴力も悪くしたとのこと。

しかし、これらの妨害にもかかわらず、彼は今でも毎朝起きて、創作に対しインスパイアされ続けています。以下はどこかに出かけたLASKOさんの様子。

一体何をしているのか?というと、お店に行って絵をプリントアウトしてもらっていました。店員さんとも名前で呼び合う仲です。

個展も開催。

ピクセルで描かれた繊細な絵に来客は目を奪われます。

97歳の誕生日を家族に祝ってもらうLASKOさん。

「自分ではたくさんの絵を描いていると思う?」という質問に「それしかしていないよ」と笑って答えたLASKOさん。2年前に妻を亡くしたそうですが、息子であるRONさんによればLASKOさんはその時妻について語らず、一度も老いや加齢への不満を漏らしたことがないそうです。彼のアーティストとしてのキャリアは80歳という遅めのスタートを切りましたが、今もなお精力的に創作を続けています。

なお、絵は実際にウェブサイトで販売もされています。

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