取材

コスタリカで戦争が起きないのは「国立劇場を壊したくないから」


コスタリカといえば軍隊(常備軍)を持たない国として有名で、「コスタリカで戦争(革命)が起きないのは人々が国立劇場を壊したくないからだ」という話があるくらい国民は国立劇場を愛しています。

こんにちは!世界新聞特命記者の清谷啓仁です。世界一周中のわたくし、現在、コスタリカの首都サン・ホセにいます。ようやく中米も終わりが見えてきて、今月中には南米入りできそうです。

サン・ホセはこの辺り

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サン・ホセはもともとは小さな村でしたが、1824年にスペインの植民都市だったカルタゴから政庁が移ってきて急成長しました。他のラテンアメリカの国々の首都は、多くがスペインの植民都市らしい雰囲気を持っていますが、こういった経緯から、サン・ホセには植民都市的な雰囲気はありません。

サン・ホセの町並み


市民の憩いの場、中央広場


こちらはメインストリート


中米に入って初めて本屋を目にしました。コスタリカでは憲法で教育予算に国民総生産(GNP)の6%以上を充てることが義務付けられていて、国公立では初等から高等教育に至るまで無料だそうです。


1897年に完成した国立劇場はヨーロッパの一流技師が参加し、パリのオペラ座を模倣して造られました。ルネサンス調の美しい造りです。


確かに立派ではあるけど、戦争や革命を食い止めるほどのものには見えないのですが……


入り口の脇にはベートーヴェンの像


常時、コンサートや演劇を開演していて、なんと法律で「国立劇場は最高レベルの芸術作品を上演し、舞台芸術を推進すること」と定められているのだとか。


一歩踏み入れると、そこには別世界が広がっていました。


見上げると美しい装飾


チケット売り場も華やか


約700円(外国人価格)で入場チケットを買います


奥に進むと……


「ここ、中米だよね!?」と確認したくなるほど。


しかし、壁にパッションフルーツの絵を見つけて中米であることを確認します。


天井のキャンバスに大きく描かれたコーヒーを摘み取る風景。イタリア人の画家が想像して描いたもので、現地の人いわく「コーヒー畑は海の側にはないし、背丈もこんなに低くない」だそうで。


現在は流通していませんが、紙幣の裏に描かれていたことも。「世界で一番美しい紙幣」と呼ばれているようですが、確かにフルカラーの紙幣は見たことがありません。コインは今でも流通しているもの。


中米各国は美味しいコーヒーで有名ですが、中米で最も早くコーヒー栽培が開始されたのがコスタリカ。1890年にはコーヒーが輸出の80%を占め、そこで得た税金によって国立劇場が建設されたようです。

豪華なロビー。コスタリカには大統領公邸がないので、国賓訪問の際には国立劇場が使われることもあるそうです。


ふと目をやると奇妙なオブジェクトが。


ドラゴンのシャチホコ?


顔はドラゴン、身体は女性、翼があって、足は一本。意味がわからん……。


気を取り直して舞台へ行ってみます。


おお!


と思ったら設置中……。


それでも、素敵なシャンデリア!


舞台を円形に囲むように客席があります。


舞台正面にはVIP席。大統領も年に数回来るようです。


最後に併設したカフェへ。でも、お高いんでしょう?


お客さんからはどことなく気品が。


絵になりますねぇ。


僕もコスタリカコーヒーを頂きましょう。お値段はたったの150円。


ブルジョアな気分でホテルに戻った僕には、辛い現実が待っていました……。


入る前は不安こそよぎりましたが、国立劇場がコスタリカ人に愛され、誇りとされている理由が分かりました。ブルジョアな気分を胸にしまい、僕は再び旅へと戻っていきます。

文・取材:清谷啓仁 @t_kiyotani
監修:世界新聞
http://sekaishinbun.blog89.fc2.com

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in 取材, Posted by logc_nt

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