「うちの車どこ?」駐車場で車を止めた位置を忘れた時のお助けシステム
自信満々で自分の車を目指して歩いていったものの近づいてみると別の車で恥ずかしい思いをしたり、迷路のような地下駐車場で車をとめた区画のブロック名はおろか階数すら忘れてしまい、ぐるぐる歩き回った経験があるという人も多いのではないでしょうか。
そんな時に便利な「車探しシステム」がカリフォルニア州サンタモニカのショッピングモールで導入されました。24時間稼働の監視カメラ網を駆使したシステムは、便利な反面プライバシー面での懸念もあるようですが、これまでのところ利用者には好評とのこと。
詳細は以下から。Finding lost cars in Santa Monica: Shopping mall installs camera-based 'Find Your Car' system - latimes.com
サンタモニカのショッピングモール「Santa Monica Place」の2000台収容の駐車場に導入されたのは、監視カメラ網とナンバープレート読取り技術を組合せ、駐車位置を忘れた顧客が店内に設置されたタッチパネル式の端末に自分の車のナンバーを入力すると、車の写真と止めてある位置が表示されるというシステム。電光掲示板で「満車」表示をしたり、入って来た車を空きスペースへ誘導するために車の出入庫を監視するカメラ網を、「車探し」にも利用しようというものです。ニューヨークのPark Assist社により開発されました。
イギリスで行われたアンケート調査によると、ドライバーの44%が「駐車位置を忘れた」経験があるとのことで、広大な駐車場を持つ巨大モールなどでは、買い物前の「空きスペース探し」と買い物後の「車探し」は、買い物をおっくうに感じる大きな理由の一つとなり得ます。Park Assist社によると、駐車サポートシステムの導入は通常3~5%の顧客増加につながるとのこと。サンタモニカで実際に使ってみた人にはおおむね好評で、警備員が運転する電動カートに駐車位置を忘れた買い物客を乗せて駐車場中を探し回る「ダイレクト・アシスト」の件数も実際に減っているそうです。
ただし、便利なシステムにも欠点はあるようです。止められた車のナンバーが読み取れないエリアがあったという技術的エラーが導入後に発覚したほか、駐車位置を忘れた女性が運転していたのが購入したばかりでまだナンバープレートが付いていない新車だったというケースもあったとのこと。Chatsworth在住のHolly DiFonzoさん(30歳)は、このシステムを「かなりすごい」と感じたものの、「もし居場所を知られたくない元彼がいたりしたら、心配だと思うわ」と語り、例えばスマートフォン用の「車探し」アプリといった代替策もあるのではと述べています。
サンペドロ在住のAndrea Minnichさんは、「有名人なわけでもないので、プライバシーについては気にしていない」とのことですが、タッチパネル端末で車を探そうとしたところで自分の車のナンバーを覚えていないことに気付いたそうです。
Park Assist社の駐車場管理システムはこれまでにオーストラリアのショッピングセンターやブリスベン空港などで導入されているほか、ヨーロッパではオランダを手始めにIKEAの各店舗で導入される予定があるそうです。また、アメリカでのPark Assist製品を独占販売するミネアポリスのAmano McGann社と共同で、店舗に設置された端末に駐車券を挿入すると駐車位置がわかり車のナンバーが不要なシステムも開発していて、この新システムはサンタモニカから数マイルに位置する別のショッピングモールで数カ月後に導入予定とのこと。
また、Santa Monica Placeと同じMacerich社が経営するサクラメントのモールArden Fair Mallでは警察と共同で、駐車場内を巡回する警備車両にナンバープレート読み取り装置を搭載したそうです。このプロジェクトでは、司法省の「ブラックリスト」に載ったナンバーと一致する車両があった場合には警備員が監視カメラの映像によりドライバーを特定し警察に通報することにより、これまでに盗難車44台を発見、38名を逮捕することができました。
監視カメラとナンバープレート読み取り技術を組み合わせたシステムは、政府関係の建物や空港などでのセキュリティ対策としても有効だろうとのことですが、ショッピングモールの駐車場で「知らないうちに車のナンバーをチェックされている」というのは、特にやましいことがなくともドライバーにとって気持ちの良いものではないかもしれません。
アメリカの法律では「公共の場所」で撮影された映像は撮影者が所有し、自由に使用・公開することができるとされていますが、警察は映像の公開を要求することができるそうです。Santa Monica Placeでは監視カメラによる映像およびナンバープレート等の情報は「社外秘であるが警察の要請を受ければ共有する」としていますが、例えば「借金取りが車を探しにやってくる」などといった「意図しない使われ方」によってプライバシーが侵害される可能性もあるのでは、と懸念する声も出ています。
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