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2011年に起きるであろうインターネットとメディアの7つの革新的変化


2010年はいろいろとネットやITにとって波瀾万丈な1年でしたが、来年2011年は一体どうなるのでしょうか?

というわけで、テレビ・ラジオ・インターネット・新聞などのメディア業界で15年間働き続けているDaniel Anstandig氏の考える「2011年に起きるであろうデジタルメディアの7つのトレンド」を見てみましょう。

詳細は以下から。
Seven Digital Media Trends of 2011 | Social Media Today

◆その1:新聞や雑誌はタブレットデバイスに移行する

By Veronica Belmont

紙に印刷するメディアがインターネットの流れに乗り遅れているのは周知の事実ですが、伊達に今までメディアの最前線の一角を担っていたわけではなく、これまでもさまざまな試みをしてきています。その中でも2011年になったおそらく決定的となるとしているのが、新聞などの印刷メディアがタブレットデバイスへ移行する、というもの。既にアメリカではAppleと米メディア大手のNews Corporationが協力してiPad専用の日刊新聞「The Daily」を2011年に発表するとウワサされており、各方面の著名な編集者や記者100人からなる編集部を組織し、Appleの技術者も交えて開発中とのこと。

この流れのポイントは、今までのインターネット上に存在する「ウェブサイト」ではなく、かといって今までのような「印刷物」でもないという点。iPad上に存在するアプリとして提供され、1週間の購読料は0.99ドル(約82円)となります。1ヶ月4週間で計算すると410円なので、日本の新聞で例えば朝日新聞の場合、月額購読料が税込3925円なので、かなり安いということがわかります。

また、既にAmazonは先月、Kindle上でリリースされる雑誌や新聞について出版社・新聞社に対する印税を条件付きで70%にまで引き上げており、今後この印刷物をタブレット型デバイスに移行させるという流れは海外ではますます加速すると思われます。なお、日本ではあまり期待できませんというか、このような大型の輪転機を所有していたり、とてつもなく大規模なシステムを既に所有しており、なおかつ世界で最も売れている新聞トップ10のうち7つは日本の新聞社で、トップ3は読売・朝日・毎日となっており、欧米と比べるとなんだかんだ言いながらもまだ余裕が多少はあるというのが、動きの鈍い原因となっているようです。

◆その2:オンライン上でデビューする才能の増加


YouTubeやiTunesあるいはそれらに類するような各種オンデマンド系のサイト(Ustreamやニコニコ動画などなど)の出現によって、これまではまだ発展途上でいくつかの例外的な成功パターンが存在するだけだったオンライン上での才能の発露という現象がより一般的になり、レコード会社のロビーをウロウロしたり、スカウトが声をかけてくれるのを路上ライブをしながら待つであるとか、デモテープを送りつけるであるとか、そういうのは存在しなくなります。そういうことをしなくても、自分の力だけでオンライン上へ発信することができるようになっており、その才能がホンモノかどうかは、ページビューの数、再生数、ファンの数などではっきりとわかるようになります。

この流れは日本ではまだいまいちな感じで、「オンラインでデビューなんてものは例外的かつ少数であり、マーケットもまだ小さいし、今後成長するとは思えない」という印象を抱きがちですが、アメリカでは既にYouTubeからの収入で年間10万ドル以上を叩き出した、タレントでもなければ歌手でもなくどこにも所属していない独立したユーザーが10人も存在しています。


YouTubeだけで年収約2600万円を稼ぎ出したユーザーなど、YouTubeで儲けた一般人トップ10 - GIGAZINE

全体的な傾向として、現時点では、

・すべてが英語圏のみ
・再生の総合計回数が1億回を超えている
・コメディや風刺系がやたら多い

というのが特徴です。また、トップのレベルの収益は結局のところ、今のトップアーティストなどに比べると雀の涙程度かもしれませんが、頂点が低くなった分だけ実はその他の人、つまり収益が数百万円レベルであればもっとごろごろとたくさん多数存在しているということであり、これまでのような一部の超有名人と一般人、という図式から、そこそこ食べられる程度の人がたくさん出てくる、という図式になっていくことがうかがえます。つまり、各個人に与えられるチャンスは今後、さらに拡大していくのではないか?ということです。

◆その3:より安く、より便利、よりお得なお買い物

By David Blackwell.

Amazonなどのリアル店舗よりも安く品揃えの良いオンライン店舗、さらにはグルーポンに代表されるローカルな店舗を対象とした格安クーポン、ヤフーオークションやイーベイのようなネットオークションなど、「ちょっとでも安く有利でお得な取引をしたい」という人にとってはまさに革命的な動きがさらに進展すると予想されます。

この怒濤のようなオンラインショッピング事業者の特徴としては、これまで以上に幅広く全世界的な展開をしているケースが多いということ。これまでのような地方の一部のユーザーのみをターゲットとしたリアル店舗はより一層駆逐されていく運命なのかもしれません。

◆その4:モバイルメディアのさらなる普及


かつてのラジオを見ればわかるように、モバイルメディアは即時性があり、なおかつ持ち歩くことができる携帯性にも優れています。そしてさらにもう一つの特性がモバイルメディアにはあります。「パーソナライズド」、つまり各個人の趣味嗜好に最適化したコンテンツを提供できる、という点です。

モバイルによって人々が娯楽とニュースを消費する方法を革新したと言うことは時期尚早かもしれませんが、モバイルによって私たちの通信する方法が変わったことは事実です。そして2011年はこのようなモバイルデバイスをターゲットとしたモバイルメディアはさらなる革新の時を迎えます。そのとき、既存のラジオ局などの対応が後手に回れば、大きなチャンスを逃すことになるでしょう。

日本ではradiko.jpのように、追い詰められたラジオ事業者ががんばっており、すんでのところでなんとか踏みとどまっており、ついに今までよりももっと積極的にオンライン上で、そしてモバイルメディアとして踏み出そうとしていますが、ここからさらにどれだけ食い込めるのか、その運命が2011年に決まると言っても過言ではありません。

◆その5:ソーシャルネットワークが適切な情報を流し始める


海外ではアクティブユーザー5億人を抱えるSNSのトップ「Facebook」、そして日本でも普及している「Twitter」、これらはかつての伝統的なメディアであるテレビや新聞、雑誌などと力を合わせると意外に力を発揮することがわかっています。既に多くの広告代理店が広告主により幅広く、あるいはローカルな顧客にリーチするためにこれらのソーシャルネットワークを駆使することを推進しています。

特にテレビ局にとってソーシャルネットワークは視聴者をサポートして視聴者数を増やすために重要なツールと海外では成長しつつあります。2011年にはより賢い戦略を選ぶ放送局は、これらのソーシャルネットワークをより駆使し始めるはずです。

ただ、これはテレビ番組とソーシャルネットワークを連動させるという意味ではなく、テレビ番組などがメインで、あくまでもそれらのサポート役としてソーシャルネットワークが有効に利用できる、ということです。番組の限られた時間内で放送できなかった内容もネットであれば補足情報を出すこともできますし、次回放送までにその内容をつぶやいたり、あるいは番組のメイキング・舞台裏などを流すと言ったことも可能です。こういう地道な活動によって、興味を持ってくれる視聴者数が増加していくという流れになるわけですが、問題はテレビ局の一体誰がこのソーシャルネットワークの戦略を立て、費用を計算し、そして更新していくのか?という点です。

◆その6:人々のチカラ


視聴者や観客が番組の行く末を決定したり、あるいはネット上で多数のコメントを書いたり、Twitterで会話したり、SNSでしゃべったり、ブログに感想を書いたり、そういう多くの人々の雑多な意見の集合体が、これまで人々の意見や感想が反映されることの無かったありとあらゆるものに影響を与え始めています。

例えばテレビ番組であれば放送中にTwitterなどで実況中継して感想を書き込んでいる人たちの意見を集めることで、人々にうまくヒットしているのかどうか、どこをどう改善すればいいのか、といったフィードバックがこれまで以上に得やすくなっています。

これらの意見はこれまでであれば「ネット上のごく一部の声の大きい人たちの意見」に過ぎなかったわけですが、それぞれのコミュニティの特性を把握し、なおかつ利用者が増えれば増えるほどその意見を集約して分析した内容の精度は高まっていきます。

◆その7:ターゲットを特定するチカラ


広告主にとって、より広告を出す相手を特定していく技術というのは重要になっていきます。

住んでいる場所・人口統計・心理学などによってターゲットの精度はますます上昇し、ますます価値は上がります。ユーザーの正確なトラッキングとデータベース化を可能にする第一歩はもう既に始まっています。

例えば、Googleの広告であるAdWordsは検索結果に連動するか、あるいは見ているコンテンツの内容にマッチする広告を表示します。ところが、世界最大のSNSであるFacebookの広告は、Facebookにユーザーが登録している性別・年齢・住所・興味のあること・友人関係などなどから生成されるため、精度が桁違いに違ってきます。しかもこの広告がFacebookの中だけであればともかくとして、FacebookはFacebookにログインしたままの状態であれば、その個別プロフィールに従って各サイトに表示される広告をもコントロールするというようなシステムも構築しつつあり、まさにGoogleの最大のライバルとしてこの「ターゲットを特定するチカラ」を使っている、というわけです。

ほかにもいろいろあると思いますが、2011年には一体何が起きるのでしょうか……。

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in メモ, Posted by darkhorse

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