取材

GIGAZINE10周年記念書籍「未来への暴言」、本日より発売開始


というわけで、本日より10周年記念書籍が発売されます。内容としてはまさにそのタイトルの通り、「未来への提言」ならぬ「未来への暴言」とも呼べる内容になっており、GIGAZINEというニュースサイトに10年間かかわり続けているからこそわかってきたこと、GIGAZINEという「窓」からのぞいた場合に見えてくる世界の形、今後どのような変化がネットを中心にして巻き起こるのか、さらにその先にあるべき個人とネットと社会と世界の未来の姿とはどのようなものなのか、そのあたりを重点的に書いてみたつもりです。

新聞・雑誌・テレビといった旧来から存在するメディアの全盛期とともに育ってきた現役世代だけでなく、インターネットが最初から存在する世界に生まれ育った若い世代、さらにまだ見ぬ新しい世代がたどることになる可能性の一つがここにあります。

詳細は以下から。
そもそも今回の企画は以下のようなタイムラインで進んでいきました。

○2010年5月12日
朝日新聞出版のビジネス編集部から書籍を出しませんか、という打診がGIGAZINE編集部宛に来る。

○6月6日
当時は多忙の極みだったので返信したのは1ヶ月近く後のこの日。ここからメールでやりとりを繰り返すことに。

○6月22日
GIGAZINE編集部で実際に会って打ち合わせ。

○6月29日
今回の表紙デザイン案やざっくりとした中身の方針を決定。

○7月14日
目次案を出し、ここからあとはひたすら書き書きする日々。

○10月25日
締切日。予定通りに初稿を提出。さらに以下の項目を連日連夜、細かく決めていくことに。原稿を書き上げるよりも下記の作業の方が個人的には大変でした。

・リード


本文執筆時点の第一段落、つまり書き出し部分をそのまま基本的には利用。

・脚注


知らない人にとっては難解かも知れない用語やイベント名などが多数あるため。当初は本文下部に収まると思ったが、書いているとそれ自体がミニエピソード化したので別個にコラム化して分けることに。

長いものは章の後ろに、短いものは文中に、さらに短いものは欄外にという割り振り。


・本文組デザイン
今回は紙の書籍だが、将来的に電子書籍化することなどを前提にし、教科書も基本的に国語以外は横書きが多いので、横書きにしてみました。また、ネット上のHTMLは基本的に横書きなのでそれにも合わせた感じ。本文のフォントもGIGAZINE自体が明朝体系フォントではないので、ゴシック体系統でそろえています。

・ノンブル
ページ番号の位置について、右下や左下に振られているのが結構多いのですが、今回はページ下部に脚注を入れるという考えがあったため、ページの右上や左上に変更。左上に各章のタイトルとページ番号、右上には「layer01」というように章番号とページ番号、というようにして検索性を高めました。

左上、章タイトルとページ数


右上、章番号とページ数


最初は手で持ったときに右下や左下だと手で隠れてしまうため、「右下・右上・左下・左上の4箇所にページ番号を入れる」という変態的なことを考えていましたが「ノンブルを目立たせたい、手に隠れないようにしたい、というのであれば、上にのみ入れる、という事でどうでしょうか?」という提案を受け、今の形に。

・表紙用のGIGAZINEロゴデータ
Illustrator形式のものをアウトライン化して納入。が、開けないということなので調べてみると案の定、バージョン違い。

・表紙のカラー指定


できるだけ似せるために、実際の画面上でのカラーを印刷のカラーに落とし込むという気の遠くなる作業。ちなみにこの各部のカラーがどういう基準で決まっているかというのは、2010年4月の10周年記念講演で話しました。

・各章の頭に付ける名前


最初は「#gigazinebook-01」というようにTwitterのハッシュタグっぽくしていたのですが、目次としてデザインを組んでみると異様に長かったので収まりが悪く、layer01というように変更。

・章扉デザイン
最初のデザイン案だと「?」という感じだったのであれこれといじくりまくって変更を再三繰り返した結果、最後の最後になってようやく決定。この部分がかなりイレギュラーで、各方面に多大な迷惑をかけまくることに……すいません。

章扉デザインは本文の内容が割と攻撃的なので、それに合わせて三角形をモチーフに構成して構図を配置。後半に行けば行くほど難しい凝ったレイアウトに。文字についてもデザイン上の都合で「、」を抜かしたり、歪めたり、適宜変更しています。


ちなみに上記の各やりとりに関しては朝日新聞出版の編集部が間に入って調整を行い、「リードはどうするのか?」「脚注はどれに付けるのか?」「本文組デザインはどうするのか?」「ノンブルの位置はどうするか?」「表紙デザイン案を作るためにロゴデータが欲しい」「目次のデザインはこうなったがどうか?」「章の扉のデザインを全面的にやり直すためにデザイン事務所とイレギュラー交渉」などなどを行っています。

「編集ってのは筆者の原稿を受け取るだけだよね!」と思い込みやすいのですが、実際にはこのようなもろもろの雑用をすべてこなす、すなわち縁の下の力持ち的なことをする仕事なのだ、ということです。既に掲載したこの記事でも明らかなように、表紙カラーのチェックや帯のチェックも行い、さらにはどこに広告を出すか、献本はどうするか、部数はどうするか、価格はどうするか、などなどの部分も決めていきました。

○11月17日
初版部数と定価を決定

○11月19日
Amazonでの予約開始日を決定

通常はあまり表に出ることのない編集の仕事ですが、本当に山ほど細かいことを決めていきます。

例えばこれは紙の色や材質を決めているところ。


カラーのサンプル帳からふさわしいイメージのものを選ぶわけです。


今回はこんな組み合わせ。


表紙をめくった裏の部分はこのような色でアクセントを付けています。


表紙をめくるとこのような黄色が出現。


本文は通常はクリーム色っぽいのを選ぶことが多いのですが、今回はオペラホワイトウルトラを選択


さらに紙の分厚さによって最終的な書籍自体の幅が決まってくるのでここも重要なポイント。ぶ厚すぎず、それでいて薄すぎず、というようなところを基準に予算と相談して選んでいきます。


色見本自体も山のようにあり、この中から選ぶというわけ。


当然ながら変わった色や材質、加工を施していればいるほど書籍の価格に跳ね返ります。


どういう雰囲気になるかというのもこうやって印刷して確認


これは帯の部分


さらにデザイナーと編集者で細かい点を詰めていきます


「マンガ本だと表紙をめくると何かオマケマンガがあったりするので、同じように何か書いておきたい」ということで、メッセージをびっしりと黄色地に黒字という組み合わせに。横書きなので文頭はどこから始めるかというのも重要。


紙の質によって分厚さが決まるので、背表紙にどのようにしてタイトルを入れるのかも決めていきます。縦置き・横置き、いずれの置き方をされても読めるようにしてあります。


ページを開いたときの感じや手触りも確認。


非常に細かい部分のこだわりだと、例えばこの区切り線の部分、章の始めではこのようにページの端に届いておらず「ここから始まるよ」という意味合いで線が右へ引かれ始めるイメージとなっています。


途中だと続くようになっており、側面から見るとこうなります。印刷技術がもっと高ければ一直線に見えるかも。


とまぁこのようにして、あーでもないこーでもないと検討を繰り返しまくるわけです。ここには書いていませんが、目に見えない部分にも今回は趣向を凝らしました。いつか誰かが気づくことを祈って……。


さらにスケジュールは以下のように続きました。

○11月26日
表紙カバーの印刷を取材

○11月29日
GIGAZINE上で書籍発売日と価格を告知

○12月2日
大日本印刷の製本所を取材、さらに朝日新聞も取材

○12月6日
GIGAZINE上でサイトデザインを書籍表紙と24時間限定で同じにする、要するにサイトジャックすることを予告、同時に記事中で表紙カバー印刷の取材内容を掲載。

○12月7日
GIGAZINE10周年記念書籍「未来への暴言」が本日より発売開始という件を掲載して告知(この記事)

これらを見ると、あと掲載されていない記事として「大日本印刷の製本所」と「朝日新聞」がありますが、いずれも近日中に掲載予定です。電子書籍ならぬリアル書籍が一体どのように作られているのかという舞台裏をかなり垣間見ることができるので、「リアル書籍をさっさと電子書籍化しろと言うは易く、行うは難し」なのだということがいろいろと理解できるはずです。


もちろん、「未来への暴言」の中では電子書籍についてもページを割いており、目次は以下のようになっています。

◆layer01:「Knowledge Is Our Power」知識は我らの力なり
◆layer02:専門バカvsオタクの構図「専門バカになるな、オタクになれ」
◆layer03:「理性・知性・感性」のバランス
◆layer04:インターネットは「悪魔の道具」か「天使の羽根」か
◆layer05:YouTubeのみが真の「破壊的ビジネスモデル」
◆layer06:「個人の力の最大化」=「インターネット」
◆layer07:「フリー」のその先、無料戦略の次
◆layer08:ファンがパトロンになる「パトロンモデル」成立への道
◆layer09:しかるべき場所にしかるべき人を、職業選択の最適化
◆layer10:入試の時にパソコン持ち込み可・インターネット可であれば大学の教授はどういう問題を作るのか?
◆layer11:「文明社会でのサバイバル」を教えるのが学校
◆layer12:好きなことをしてメシを食う時代の到来
◆layer13:10人中9人に嫌われてもいいから残りの1人に興味を持ってもらう
◆layer14:著作権という概念の崩壊、ファイル共有ソフトは最終局面に
◆layer15:量から質が生まれる、大量にならなければ高品質にはならない
◆layer16:超少額決済システムを握ったところが最終的な勝利者に
◆layer17:インターネットの規則を考えるというのは世界の規則、世界のルールを考えるのと同じ
◆layer18:みんなのルールを決めるのは「政治家」ではなく「サイレントガーディアン」に
◆layer19:旧世代と新世代のかつて無いレベルの「激突」
◆layer20:インターネット上に出現する国家のカタチ、領域・人民・権力
◆layer21:結論:「無料であるものに対価を払う」という時代

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in 取材,   お知らせ,   コラム, Posted by darkhorse

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