「キンケリ」はなぜ腹部まで痛くなるのか
身長が低く脚力が弱い女性でも、簡単に男性を一時的戦闘不能にしてしまうことができる「金的蹴り」、いわゆる「玉攻め」「キンケリ」は、護身術として有効な一方、受けた男性にとってのダメージがあまりに大きいため格闘技では禁じ手とされる場合も多い、非常に危険な技です。
しかし、格闘技では禁じ手になっていても、子どものけんかからスポーツ中の不慮の事故まで、これまでの人生で一度は経験したことがあるという男性も多いのではないでしょうか?「なぜ蹴られた場所だけでなくおなかまでこんなに痛いんだろう……」と泣きながら疑問に思ったこともあるかもしれません。
なぜ腹部まで痛むのかを含め、意外と知られていない「キンケリ」の秘密について紹介します。Why Getting Kicked in the Balls Causes Pain in the Abdomen
精巣は胎児の腹腔内、腎臓の近くで発達しますが、ヒトの精子は体温より低い34~35度でないとうまく作れません。おなかの中では精子作りには温かすぎるので、精巣は胎児期の終わりごろに鼠径管(そけいかん)を通って陰嚢の中へと降りていき、体外にぶら下がるわけです。精巣が下降しても、血管や神経は腹部とつながったままなので、「キンケリ」を受けると痛みは精巣動脈神経叢を通じて腹部へ伝わり、直接けられた部分だけでなく下腹全体が痛むことになります。
また、「キンケリ」を受けると多くの男性は腹部の痛みに加え、ひどい吐き気を経験します。これは、交感神経系が急激に活性化するためと考えられていて、この急な反応に身体が耐えられない場合、気分が悪くなるだけでなく実際に吐いてしまう男性もいます。
つまり「キンケリ」は、けられた場所のみならず腹部全体まで激しい痛みにおそわれ、気分が悪くなり、時には強烈な吐き気までもよおすという、実に恐ろしい技なのです。男性不妊症の原因となる場合もあり、損傷がひどい場合は精巣摘出を必要とすることもあります。このため、正当防衛以外の「キンケリ」は国によっては男性への性的暴力とされています。
コンタクトスポーツの際には不慮の事故もありえるので、サポーターなどによる万全の対策が望まれます。
ちなみに世界で最も精巣が大きい動物はセミクジラで、片側約500kg、合わせて1トンもあるそうです。
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