いい人なだけではダメ、よきリーダーには「暗黒面」が必要
by myrrh.ahn
積極的で優れた能力を持ち、落ち着いていて、決定力がある……こんな人物像は、組織のリーダーになるためには最高のものと言えます。しかしこのような人間として優れた面だけではなく、人間の「暗黒面」とも言うべき短所も少し持ち合わせていることが大切だという研究結果が明らかになりました。
「最良の上司」は必ずしもカンペキな「いい人」ではなく、器が小さかったり、横柄だったり、頭が固いというような、何らかの「暗黒面」を持っているものかもしれません。
研究の結果は以下から。Good leaders should use their 'dark side' - Telegraph
ネブラスカ大学による研究で、適度な「暗黒面」、いわゆる個人の性格の悪い部分が、命令する能力を強化することが分かりました。研究者たちは3年の期間にわたって900人の陸軍士官学校生のリーダーとしての成長を研究し、そこから結論を導き出したということです。
それ以前に行われていたリーダーの資質に関する研究は、実行およびリーダーの成長の両方に社交性や穏やかさ、実直さなど、明らかにポジティブな個性を持つことが、リーダーとして上に立つ場合有用だとしていました。しかしながら、リーダーの性格の「暗黒面」、つまりネガティブな部分についてはほとんど関心が寄せられていませんでした。
そこで、いわゆる「暗黒面」とも言える特性、要するに性格の悪い部分について調査することが決まりました。これまで研究してきたにもかかわらず、それらがどの程度仕事の効率や発展に影響するのかほぼ全く分かっていなかったからです。
「自分の性格の『暗黒面』が、仕事のある局面において有益だったと感じたことはありますか?」という問いに対して、いくつか「イエス」という反応が返ってきたようです。
例えば、過度に懐疑的であることは、仕事に悪影響を及ぼすことが研究で判明しました。しかし、非常に用心深く、何事も石橋を叩いて渡る性質を持っていることは、増加した仕事の進行とリーダーとしての資質の向上に関係していました。立ち居振る舞いが芝居がかっていたり、他者に批判的だったり、規則に準ずるのに執着したりする……などといった、ナルシシズムに関連した12の「暗黒面」のいくつかは、新米リーダーの統率力を強化する効果を現しました。
「これらの特性の1つはわずかな効果しか見られませんでしたが、それらが集められた時、陸軍士官学校生がリーダーシップを身につける際に本質的な役割を果たしました」とPeter Harms教授は語ります。「『暗黒面』の特性がどのように仕事の実行とリーダーシップの発展に影響するかについて行った仮定は誤りでした。否定的な性格さえ、特別な状況や仕事の役割においては適応性がありうるような結果が導き出されたのです」
ただ、気をつけなくてはいけないのは、当然ながら「暗黒面」に落ちて染まりきることが、人を偉大なリーダーにするということではありません。Jarms教授によると、「暗黒面」的な特性を表に出すのはある程度までは許容されると考えられ、同僚や部下は適度な「暗黒面」であれば、「あの人、変わってるよなあ」という一言で片付けることができます。しかし、非常に高いレベルで「暗黒面」的特性を露見させてしまうとそれらは病的なまでにエスカレートし、リーダーを外される要因になることもあり得ます。
ついついリーダーとはかくあるべしという理想に縛られてしまいがちですが、会社や学校などで組織のリーダーとなった時は、「いい人であろう」とがむしゃらに努力するのではなく、自分の持つ「暗黒面」とも言える特性も考慮に入れるべきなのかもしれません。
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