本格ミステリアニメ「心霊探偵八雲」試写会&記者会見に小野大輔が登場
2010年10月から放送が始まるアニメ「心霊探偵八雲」の記者会見がNHK放送センターで行われ、第1話の試写会があるとのことだったので、いったいどんな感じなのか一足先に見てきました。
「心霊探偵八雲」は神永学さんによる小説が原作で、これまでにテレビドラマ化、コミック化、舞台化、ドラマCD化が行われており、アニメ化がまだだったのが不思議なくらいメディアミックスが進められています。
今回の記者会見&試写会では黒川智之監督と、主役の斉藤八雲を演じる小野大輔さんが登場し、作品の魅力を語ってくれました。
詳細は以下から。
NHKアニメワールド 心霊探偵八雲
渋谷にあるNHKにやって来ました。
台風が接近していたため、天候は最悪。
まず挨拶に立ったのは、NHK編成局ソフト開発センターの斎藤チーフプロデューサー。
「心霊探偵八雲」が放送されるのはBS-2の日曜23時枠。ここは若者向けにプレミア感のあるエンタテインメントアニメを提供すべく、2009年に新設されたアニメゾーンで、これまでに異世界ファンタジーやスポーツものなど様々なジャンルを放送してきましたが、今回のような本格ミステリー小説原作は初めての試みだそうで、NHKとしても非常に期待しているとのこと。
原作小説の文庫本は累計250万部、テレビドラマ化、CDドラマ化、コミック化、海外出版、舞台化と様々に展開しており、10代後半から20代を中心に支持を得ています。
斎藤チーフプロデューサーは「アニメも非常に完成度が高く、主人公とヒロインを中心にキャラクターたちがストーリーを引っ張るミステリーアニメになり、秋の夜長にはピッタリの番組に仕上がっていると自負している」と語りました。
続いては、黒川監督。これまでに「ツバサ・クロニクル」や「Phantom~Requiem for the Phantom~」などのビィートレイン作品で、絵コンテや演出を手がけてきました。
監督は原作小説を読んだとき、タイトルからオカルトホラーかと思ったそうですが、実際に読み進めるとそんなことはなく濃密な人間ドラマが描かれている作品だという印象を受けたそうです。そして是非この作品に監督として携わりたいと思い、結果、監督して関わることができているとのこと。本作は映像の現場も音の現場もスペシャリストが集まって、魂を込め、思いを込めて作った作品なので、それが一人でも多くの人に伝わるといいなと思っているそうです。
そして、斉藤八雲を演じた小野大輔さん。
この日は前述の通り台風のために天候が非常に悪かったのですが、小野さんは大事なことがある日に雨を降らせることで有名な雨男だそうで、「今日もその(自分が雨男な)せいだと思います、すみません」と謝るところからスタートしました。
第1話を見た小野さんの感想は「とても重い作品だな」「30分弱がとても長いな」というもの。これはマイナスな意味ではなく、まるで1本の劇場作品を見たような満足感といい意味での疲労感を感じたからだそうです。
「心霊探偵八雲」というタイトルが表すように、主人公である斉藤八雲が“霊が見える目”を持っているというところからストーリーが動くわけですが、霊が見えることで単純に霊現象を追っていき巻き起こる事件を解決する……というのがゴールではなく、その闇の先にある光を、一人ではなく周りの人々と共に見ていくという作品だなと思っています、と小野さん。
ちなみに、オープニングテーマ曲「Key」はJungled catというアーティスト名で小野さんが担当。オープニング映像に曲がついたものは本人も見るのが初めてだったそうで、「スタイリッシュで格好良くて、僕じゃないみたいですね(笑)」とコメント。「Jungled Cat(イライラした猫)」というのは八雲の一部分みたいなものを表現した名前だそうで、「ずっと八雲が自分の中に溜めていた闇の部分と、そこから先に行こうとした姿が音楽の中にも盛り込まれていると思うんです」と小野さん。歌も八雲の成長を表現しており、3話ごとにエフェクトが変化していくそうで、そこが見所の一つになっているとのこと。
そして、記者会見は質疑応答へ。
Q:
ホラーもので人間関係を描くのは難しいのではないかと思うが、気を遣ったところは?
監督:
キャラクターの数が、たぶん多くのテレビアニメに比べると少し多く、13本のなかでどれだけキャラクターの魅力を描いていくか難しいと思いましたが、原作にもそれぞれのキャラクターの魅力は散りばめられているので、うまく群像劇的に事件に関わっていく中で「あのキャラクターにはこういう顔があったんだ」というのが伝わればと思います。
Q:
CDドラマでも演じられていたと思うが、そのときと違いなどはあるか?また、怪奇ものを作っているわけだが怪奇現象などには遭遇したか?
小野:
CDドラマのときとテレビアニメでは差はないですね、そのまま演じています。
怪奇現象は……うーん、なんというのか。収録に入る前にみんなで神社に行ってお祓いをしていて、その時点から八雲チームの絆は作られていたんだななんて思います。ちょっと答えとはズレますけど(笑)
Q:
3話ごとにオープニングが変わるという構成を考えた理由は?
監督:
提案は音楽プロデューサーからのものでした。13本という話の中で八雲をこう作っていきたいという話をしている中で、オープニングやエンディングをどうしようかという話をしていて、「オープニングは最初は誰だかわからないエフェクトをかけ、段階を経てやってみたい」という提案を受けて、こちらもノリノリでOKしたという形です。最初はもっと変更回数を増やそうというアイデアもあったのですが、3パターンに落ち着きました。うまく作品の中身に符合する演出になって、テレビシリーズではおざなりになりがちなオープニングとエンディングまで合わせてすべて「心霊探偵八雲」です、という感じです。
Q:
第1話の試写を見て、小説のストーリーとちょっと変わっているような部分があるように感じました。また、2話も予告を見た感じオリジナルがあるように感じましたが?また、エンディングに登場する写真は登場するキャラのものというわけではなかったようですが?
監督:
原作はどうしても凄惨な事件が出てくるのですが、文庫本の巻末に添付ファイルという短い単発エピソードがあったりするので、そういうテイストの話数があってもいいんじゃないのかと。大きな事件の合間合間に気分転換としてライトな心温まる話をやろうかということで、何本かオリジナルを挟んでいます。原作のボリュームは相当あって情報量も多いので、13本の中でどこまで使い、どう展開させていくのかというところで、どうしてもかいつまんでしまったエピソードや展開もあります。ただ、話の中でエピソードの幹はしっかり守っていこうという方針を持って作りました。
エンディングに関しては、お察しの通り、あの写真は登場キャラクターの誰であるというものではないです。これもまた、エンディング曲のデモを聴いたときに音楽プロデューサーから提案があったんです。どういうエンディングの映像にしようかと考えたとき、最初は「登場人物は誰も出ていなくてもいいかな」と考えたんです。しかし、主役2人が出ないというのはいかがなものか、ということで今の形になりました。
コンセプトは「名もなき人々の小さな幸せ」で、アニメ独特のポイントだと思うんですが、見ている人が自分を重ね合わせて、ほんわかした気分になってくれればと思っています。自分がエンディングを聞いたときにそういう気分になったというのはあるんですが、温かみのあるエンディングを自分の中でイメージして作ってみたという感じです。
小野:
(シリーズ構成を担当した)川崎(ヒロユキ)さんが来ている中で言うのは何ですが、構成が見事です。あれだけボリュームのある原作を、この短い分数の中に収めるのは大変だったと思います。原作の1ファンである僕は、これは不可能じゃないかとすら思っていたんですが、それを巧みに、大事な部分は崩さないように、アニメならではの展開や演出がなされていたり、オリジナルの話が入っていたり、暖かい話があったり……そのことでさらに八雲という作品の本質が見えているのではないかなと思います。そこを、アニメを見る上で感じていただければと思います。
エンディングは、初めて見たんですが、「うわぁ卑怯だな、これは何だ泣かす気か」と思いました。出てくる写真に、一人で映っている写真は一枚もなくて、誰しも人は一人で生きてないんだ、人は人との絆で生きているんだなって改めて感じさせられて。
一番最後はフォトセッション。
ポスターの八雲と同じポーズを、というリクエストに応える小野さん。
アニメ「心霊探偵八雲」は2010年10月3日(日)23時からBS-2にて放送開始。NHKもかなり力を入れている本格ミステリアニメとのことで、第1話を見た感じでは小野大輔ファンは必見の演技だと感じました。気になる方はぜひ見てみてください。
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