デザイン

目立ちまくりつつも敵の目をくらませるド派手な軍艦カモフラージュ塗装


第一次世界大戦中、ドイツのUボートに対抗するため英国海軍将校でアーティストのNorman Wilkinson卿が編み出したユニークな軍艦のカモフラージュ法「Dazzle Camouflage」を紹介します。

奇想天外にも思えるこの塗装、海上では目立ってしまって逆効果なのではないかと思われますが、船の大きさや進行方向をわかりにくくする効果があり、ソナーやレーダー技術が発達する前の海戦では非常に効果的で、広く使われていたとのことです。


詳細は以下から。You are the Fleet Admiral of the Navy in WWI what do you do? | TwistedSifter

「Dazzle Camoflauge」の生みの親、画家であり英国海軍将校でもあるNorman Wilkinson卿。


モダンアートのようにも見える奇抜な塗装の背景には、当時の魚雷はスピードが遅く、攻撃する側は船舶に向けて直接魚雷を発射するのではなく、ターゲットの位置と進行方向・速度から魚雷が到達するころの船の位置を予測して発射していたことがあります。つまり、Uボートからの攻撃を避けるにはイギリスの軍艦は「現在地を知られない」ことより、「どこへ向かっているかを知られない」ことの方が重要だったのです。

また、軍艦を「見えなく」するようなカモフラージュは天候によって周囲の色が刻々と変わる海上では効果がなく、「地味にしていても見つかるのだからどうせなら派手にして目をくらませよう」という発想もありました。

ゼブラ柄のような塗装。紹介する写真の多くは白黒ですが、実際にはオレンジや紫、黄色など鮮やかな色と黒のコントラストが強いカラフルなものでした。


配色の例。


スケッチ(上)と白黒写真(中)とスケッチの色を元にした彩色写真(下)。


エミリオ・プッチ風の意匠。


模様は実にバリエーション豊かです。第一次世界大戦中に徴用された「HMT モーリタニア」は市松模様風。


イギリス海軍グローリアス級航空母艦の「フューリアス」、1918年撮影。


こちらも「フューリアス」を別の角度から。同じく1918年撮影。


カナダの旅客船「RMS Empress of Russia」も第一次世界大戦中徴用され、カモフラージュ塗装を施されました。


星条旗を掲げた船。イギリス生まれの「目くらまし塗装」は第一次世界大戦末期の1918年にアメリカ海軍でも採用されました。


リヴァイアサン」はもともとはドイツ船籍のオーシャン・ライナーだったのですが、1917年に米軍に奪取され塗装をほどこされ、米軍の輸送船として活躍しました。


キュビズム風に塗装されたアレン・M・サムナー級駆逐艦チャールズ・S・スペリー」、1944年5月16日にニューヨーク港で撮影されたもの。よく見ると背景に自由の女神が写っています。


ソナーやレーダーの発達により衰退した「Dazzle Camouflage」ですが、オーストリアでは自動速度違反取締装置のレーダーの向きをドライバーにわかりにくくするため同様の「目くらまし塗装」が使われているとのこと。

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in デザイン, Posted by darkhorse_log

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