ピアノの音だけなのに本当に人が話しているように聞こえる、驚異的なしゃべるピアノのムービー
しゃべるピアノといってもスピーカーから声が出るわけでも、人間の会話の音階だけを再現したわけでもなく、コンピューター制御により演奏されるアコースティックピアノの複雑な分散和音が本当に人間の声のように聞こえるという驚異的なムービーです。
これはオーストリアの文化団体Wien Modernと作曲家Peter Ablinger氏によるプロジェクトで、10月2日からベネチアで開催されたWorld Venice Forum 2009でピアノが「Proclamation of the European Environmental Criminal Court(ヨーロッパ環境犯罪撲滅宣言)」を読み上げました。
詳細は以下から。YouTube - Speaking Piano - Now with (somewhat decent) captions!
ナレーションはドイツ語ですが、ピアノがしゃべるのは英語です。動画には英語で字幕が入っています。
字幕なしでは最初は何と言っているかわからないかもしれません。何というか、SF映画で宇宙人が「ワレワレは……」と言っているような感じです。
しかし字幕を見るとちゃんとしゃべっているように聞こえてきます。ピアノにかぶせて人が読み上げているわけではなく、ピアノの音のみです。
ちなみに「We declare that we are all responsible: educators, politicians, social organisations...(教育者・政治家・社会組織……我々は皆責任があると言明する)」「For saving and protecting our mother Earth(母なる地球を救い、守るために)」と言っています。
Wien Modernはドゥカーレ宮殿で開催されたWorld Venice Forum 2009へ芸術面での貢献を依頼された文化団体の一つで、単純な手法(歌など)ではなく音楽的な手段で聴衆にメッセージを伝達するという野心的な目標を見事に達成しました。
Wien ModernのディレクターBerno Polzer氏。「明らかに普通の音楽ではないが言語でもない音を聞いていると、時に『橋渡し』が起こります。個人的にはテキストなしでもひとつひとつの単語は聞き取れると思いますが、字幕を見た時に『ユリイカ!(アルキメデスが風呂につかった際、自分の体積の分だけ水位が上昇することに気付いた瞬間に叫んだと言われる「見つけた!」を意味するギリシャ語)』の瞬間が訪れ、不意に会話として聞こえるようになるのです」と語っています。
ピアノ演奏のもととなる朗読を担当したのはベルリンの小学生Miro Markus君。
朗読の周波数スペクトルからピアノ用の「楽譜」が作成されました。
作曲家のPeter Ablinger氏。「このフォノグラフィーを解析、つまり録音した何かを---今回の場合は音声ですが---(画像に置き換えて説明するなら)個々のピクセルにまで分解します。もし、かなりの高解像度(高分解度)でそれをレンダリング(演奏)することが---この解像度が得られるのは自動ピアノだけなのですが---できれば、ひと続き滑らかに再現することができます。これにより、慣れれば、または字幕の助けを借りれば、わたしたちはピアノの音の中に人間の声を聞くことができるのです」とのことです。
声明の最後は「And we proclaim that another world is possible(新しい世界は可能だと、我々は宣言する)」と締めくくられています。
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