SSDのモニタリング・寿命予測が可能なフリーソフト「JSMonitor」
SSDを購入する上で気になるのがその寿命。SSDのNANDフラッシュは現時点で、SLC NANDフラッシュ(SLC:Single Level Cell)とMLC NANDフラッシュ(MLC:Multi Level Cell)の2種類があり、書き換え可能回数はSLCが10万回、MLCはたった1万回となっています。書き換え回数上限を超えるとデータが破損する場合があるため、デフラグなどを行うとこの上限値に到達しやすくなり、危険きわまりないというわけ。
で、このフリーソフト「JSMonitor」を使うと、ブロックごとの最大消去回数(Max Erase Count)と平均消去回数(Average Erase Count)の増加の様子をグラフで表示し、寿命を予測することができるわけです。
寿命予測をする仕組みの詳細とダウンロードは以下から。
JMF602搭載SSD用モニタリング・寿命予測ソフト"JSMonitor"公開 - 博士課程大学院生の現実逃避日記
ダウンロードは上記ページから可能で、JMicron社製JMF602コントローラを搭載したSSDに対応。上記ページに動作を確認したSSDの一覧と起動できたWindowsのバージョンなどの情報が寄せられています。
起動画面はこんな感じ。
「Average Erase Count」と「Max Erase Count」が上限値に近づいてきたらやばいよ、というわけ。
ほかにも、S.M.A.R.T.から何秒おきにデータを取得するか、System Block Countが変化した場合(ブロックの破損が起こった場合)に警告を出すなどのお役立ちな機能も搭載しています。
なお、同梱の「Readme.txt」によると「寿命推定の原理」はこんな感じ。絶対に正しいとは言い切れないのは当然なので、そのあたりを踏まえた上であくまでも目安として使いましょう。
4.寿命推定の原理
よく知られているとおり、NANDフラッシュには書き換え回数に制限があり、それを越えた回数の書き換えを行うとNANDフラッシュが破損することがあります。現在のSSDに採用されているNANDフラッシュの書き換え制限回数はSLCタイプで10万回、MLCタイプで1万回程度です。
本ソフトの寿命推定は、SSD内で最も書き換え回数が多いブロックが書き換え制限回数に到達する日付を予測することで行います。
「ブロック」とは、フラッシュメモリ内のデータ単位で、SSDの場合概ね1MB~8MBの大きさを持っています。NANDフラッシュは、書き込み(任意のビットを0から1に立ち上げる)と読み込みはより小さな「ページ」単位で行います。一方、1に立ち上がったビットを0に戻す(消去)ためには、1ブロックに属する全てのメモリセルを0に立ち下げる必要があります。そのため、フラッシュメモリの書き換え回数(=消去回数)は、ブロック単位で管理されています。本ソフトは、S.M.A.R.T.を利用し、ブロックごとの最大消去回数を取得しています。
なお、SSDではウェアレベリングという仕組みが働いており、各ブロックの書き換え回数はなるべく等しくなるように管理されます。しかし、作者の環境では使えば使うほど最大消去回数と平均消去回数の差が開いてきています。そのため、平均消去回数ではなく最大消去回数を用いて寿命を推定するようにしています。
本ソフトは、最大消去回数が増加した際に、その時刻と最大消去回数を記録します。ある程度データが集まった後に、最小二乗法という手法を用いて一日あたりの最大消去回数の増加量を求めます。そして、その増加量が未来永劫保たれると仮定し、最大消去回数が制限値を越える日付を計算します。
本ソフトの寿命推定は、二つの仮定をおいています。一つめの仮定は、一日ごとの書き換え回数が(ほぼ)一定であること、二つめ仮定は、フラッシュメモリの書き換え制限回数をSLCの場合10万回、MLCの場合1万回としていることです。
すなわち、一日ごとの使用量が一定しない場合には推定結果の信頼性は下がります。また、実際に書き換え制限回数に到達した場合、どの程度の確率でNANDフラッシュが破損するのかというデータはありません。これらのことに留意しつつ、推定結果には過度の期待をしないようお願いします。
また、寿命推定の結果が初期状態で「unavailable」なのは、「寿命推定は3回以上最大消去回数が増加した際にはじめて計算されます」ということになっているため。これはなぜかというと、SSDではウェアレベリングという仕組みが働いているため、最大消去回数を「1」増加させるためには、ほぼドライブの容量と同容量の書き込みを行う必要があるため。例えば、64GBのSSDであれば約192GBの書き込みが行われないと寿命推定は行われない仕組みになっているというわけです。
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