北京オリンピック開会式の花火による「巨人の足跡」は本当にCGだったのかどうかを検証してみた
共同通信の報道によると、北京オリンピック開会式で非常に印象的だった花火で描いた巨人の足形が、国家体育場(通称:鳥の巣)まで近づいていく演出は生放送ではなく、「「鳥の巣」上空で最後に打ち上げられた花火を除き、残りは特殊映像」だったとのこと。
というわけで、本当にCGだったのかどうかを検証してみました。検証結果は以下から。
まず、共同通信がソースにしたのがイギリスの一般紙サイズの新聞「デイリー・テレグラフ」。以下がその記事です。
Beijing Olympic 2008 opening ceremony giant firework footprints 'faked' - Telegraph
この記事によると、さらに元ソースとなっているのは中国のローカル紙「Beijing Times」。共同通信の方の記事を読むと最後に打ち上げられた花火以外はすべてCGということですが、デイリー・テレグラフによると「花火は実際に打ち上げられていた」とのこと。ただ、29の足跡すべてをヘリコプターから撮影するのは不可能であったため、最後の花火だけ実際に「鳥の巣」から撮影して生放送した、ということだそうです。
そのため、YouTubeには実際に現地で打ち上げられていた巨人の足跡花火の様子を地上から撮影したムービーがアップロードされて公開されています。
YouTube - Olympic footprints
あと問題となるのはNHKの開会式生中継。生中継中には右上に「LIVE」と表示されるわけですが、生中継ではないのに「LIVE」と表示していたのか?ということになります。
そこで、GIGAZINE編集部で開会式を全部録画していたので、録画していたムービーを検証してみました。以下が検証用に切り出したシーンで、すべてNHKで当時、生放送されていたものです。
これらのシーンでは右上に「LIVE」とある。
しかしこれらのシーンでは「LIVE」の表示がない!
「鳥の巣」に戻った際には再び「LIVE」表示が復活しています。
以下が検証用のムービーです。39秒あたりで一度「LIVE」表示が消えており、58秒あたりの「鳥の巣」からの映像になると再び「LIVE」表示が戻ってきています。
しかし、デイリー・テレグラフによると、開会式の映像を作成するVFXチームのトップであるGao Xiaolong氏は1年間かけて55秒のシーケンスを作成したとのことなので、上記NHKのムービーの大部分が実際には「LIVE」ではない可能性の方が高いと思われます。
なお、このムービーは北京の大気状態を考慮して少しかすんだ空気感にし、さらにヘリコプターからの撮影らしく見せるためにカメラのぶれまで再現したとのこと。CGで作成した理由は2つあり、1つはすべての足跡をちゃんとヘリコプターから撮影するのが難しすぎるということ、そしてもう1つがヘリコプターのパイロットが危険(花火が激突する可能性がある)だということ、だそうです。
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