世界で最も価値の低い通貨トップ5
内戦や政情不安などにより経済が不安定な国では、通貨価値の変動が大きくなります。これはアメリカの評論誌Foreign Policyのネット版が発表した、世界で最も価値の低い通貨のトップ5です。事情を考えると納得の選定です。
Foreign Policy: The List: The World’s Worst Currencies
◆ソマリアシリング:ソマリア
by Kiklub DK
ソマリアは1991年に勃発したソマリア内戦以降、中央政府が存在しない状態が続いているため、経済は完全に崩壊状態。「モガディシュの戦闘」が映画「ブラックホーク・ダウン」で描かれたように、国連による介入が失敗に終わったのは非常に有名です。内戦は終わりが見えず、2007年に暫定政府軍がソマリアのほぼ全土を制圧しています。通貨はソマリアシリング(SOS)。大量の偽札流通などで価値が急落、ソマリア国内でもドルやユーロ、サウジアラビア・リヤルの方が流通しており、ソマリアから独立を宣言したソマリランドの通貨、ソマリランド・シリングの方が安定している状態。為替レートは1ドル=1387.77ソマリアシリング、1ソマリアシリング=約0.09円。
◆イラク新ディナール:イラク
by Charlie Chalk
イラクは石油産出国であることから、石油輸出で経済のほとんどをまかなっています。しかし、イラン・イラク戦争や湾岸戦争、イラク戦争によってパイプラインや産油施設が破壊されるなどしたため、大打撃を受けています。2006年のインフレ率はセキュリティのコストやガソリン不足、さらに業者がガソリンをヤミ価格で販売するため、平均で50%ほど。最大では66%にも達しました。通貨はイラク新ディナール(IQD)で、レートは1ドル=1260新ディナール、1新ディナール=約0.1円ぐらい。
◆北朝鮮ウォン:北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)
by hungry_i
北朝鮮では2002年に政府が市場改革を実験的に開始したところ物価の急上昇が発生、米価は550%も上昇したそうです。通貨は北朝鮮ウォン(KPW)で、公式レートは1ドル=141ウォン(1ウォン=約0.87円)……とされていますが、ヤミ市場では1ドル2500ウォン以上(1ウォン=約0.05円以下)で取引されています。以前は最高指導者・金正日の誕生日(2月16日)と同じ1ドル=2.16ウォンに固定されていたこともあったとか。
◆ボリバル:ベネズエラ
by Miguel Herrera
大規模な公共支出によるインフレや、チャベス大統領による国有化路線による資本流出によって不景気が続くベネズエラ。チャベス大統領は「12.5セント硬貨」を再導入することで「ベネズエラの通貨不安を終わらせることができる」と言っているそうです。ボリバル(VEB)の為替レートは1ドル=2150ボリバル(1ボリバル=約0.06円)ですが、ここもヤミレートがあり、1ドル=4110ボリバル、1ボリバル=約0.03円だそうです。
◆ジンバブエ・ドル:ジンバブエ
by novemberjuliet
周辺のアフリカ諸国が繁栄しているのにジンバブエが伸びない理由は大統領のムガベにあるそうです。ムガベ大統領の経済的な失策として代表的なものは、2000年から始まった農地改革。白人の所有する大農場を強制的に収用する政策を実行したところ、それまで白人農家が持っていたノウハウが消滅してしまい、農作物収量が激減。さらに干ばつによる食糧不足の深刻化もあり、2003年末に600%のインフレ、2006年4月に1000%以上という第二次世界大戦後ワーストのインフレ率を記録したそうです。通貨はジンバブエ・ドル(ZWD)で1ドル=250ジンバブエ・ドル、1ジンバブエ・ドル=約0.5円、やはりヤミレートがあって1ドル=750ジンバブエ・ドル、1ジンバブエ・ドル=約0.16円ぐらい。
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