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Facebookが独禁法違反で起訴される、InstagramやWhatsAppの売却要求も


アメリカの連邦取引委員会(FTC)が2020年12月9日に、Facebookを独占禁止法違反の疑いで提訴したと発表しました。FTCは、FacebookによるInstagramやWhatsAppの買収が反競争的だとして、これらのサービスの売却を求めています。またFTCに続き、合計で48の州と準州の司法長官も同様の理由でFacebookを訴えました。

FTC Sues Facebook for Illegal Monopolization | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2020/12/ftc-sues-facebook-illegal-monopolization

Lawsuits Filed by the FTC and the State Attorneys General Are Revisionist History - About Facebook
https://about.fb.com/news/2020/12/lawsuits-filed-by-the-ftc-and-state-attorneys-general-are-revisionist-history/

The FTC is suing Facebook to unwind its acquisitions of Instagram and WhatsApp - The Verge
https://www.theverge.com/2020/12/9/22158483/facebook-antitrust-lawsuit-anti-competition-behavior-attorneys-general

FTCは12月9日に「Facebookを独占禁止法違反で提訴した」と発表しました。発表声明の中でFTCは、「Facebookは2012年に新進気鋭のライバル企業であるInstagramを、2014年にメッセージアプリのWhatsAppを買収したほか、ソフトウェア開発者に反競争的な条件を課すなど、市場を独占する上での脅威を排除するために組織的な戦略を駆使してきました。このような行為は競争を害し、消費者に選択肢を与えず、広告主からも競争の恩恵を奪うものです」と非難しました。


アメリカでは、大手IT企業が市場を独占し健全な競争を妨げているとの見方が強まっており、2020年7月にはアメリカ下院司法委員会の反トラスト小委員会が公聴会を開いて、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOを喚問しています。また、この時行われた質疑応答により、FacebookによるInstagram買収が「競争相手の無力化」を目的としたものだったことを示す内部文書の存在が明かされ、物議を醸しました。

FacebookのInstagram買収は「競争相手の無力化」が目的だったことを示す文書が暴露される - GIGAZINE

by Alessio Jacona

またFTCは、FacebookがTwitterのショートムービー共有サービス・Vineに対しFacebookのAPIへのアクセスを遮断したことを取り上げて、Facebookは長年にわたりソフトウェア開発者に反競争的な条件を強いてきたと非難しています。

こうした独占禁止法違反の状態を是正する方法として、FTCはFacebookに対し「InstagramやWhatsAppをはじめとする資産の売却」「ソフトウェア開発者に反競争的な条件を課すことの禁止」「将来的な合併や買収についてFTCに事前通告し承認を求めること」などを要求しました。

FTC競争局のイアン・コナー局長は訴訟に際して、「ソーシャルネットワークの個人的な使用は、多くのアメリカ人にとって生活の中心となっています。従って、Facebookが独占状態を維持するための行いは、消費者が競争の恩恵を受けることを否定するものと言えます。私たちの目標は、こうしたFacebookの反競争的な行為を正して競争を回復させ、イノベーションと自由競争が盛んになるようにすることです」とコメントしました。

またFTCとは別に、ニューヨーク州をはじめとする46州とコロンビア特別区及びグアムの2準州の司法長官合わせて48人が、同日にFTCと同じ理由でFacebookを(PDFファイル)提訴しています。ニューヨーク州のレティシア・ジェイムズ司法長官は、記者会見で「Facebookは10年近くにわたり、その優位性と独占力を利用して小規模なライバル企業を粉砕し、競争をもみ消してきました」と述べました。


こうした動きに対し、Facebookの副社長兼法務顧問であるジェニファー・ニューステッド氏は公式ブログで、「InstagramとWhatsAppの買収は、いずれも規制当局の審査を経ています。FTCは2012年に、Instagram買収についての細かい『第2次要求』による情報開示を求めた上で、全会一致で取引を承認しました。また、欧州員会は2014年にWhatsAppに関する取引を審査し、いかなる潜在的な市場でも競争が阻害されるリスクがないと判断しています」と指摘して反論しました。

その上でニューステッド氏は「当社は、激しい競争環境の下でビジネスを展開してきましたし、今後もこれを継続していきます。当社による他企業の買収は、競争の観点から見ても、また広告主や人々にとっても良いものでした。従って私は、Facebook・Instagram・WhatsAppが一丸となって、素晴らしいサービスで市場での競争を展開しているという証拠が裁判で示されると確信しているので、法廷に出向くのを楽しみにしています」と述べて、対抗姿勢を明確に打ち出しました。

今回の訴訟について、IT系ニュースサイトのThe Vergeは「検索及びオンライン広告市場を違法に独占したとして、2020年10月に司法省がGoogleを提訴したことに続き、アメリカ政府がビッグ・テックを抑止するために行っている2番目の大規模な取り組みです」と評価しました。

1974年のAT&T訴訟や1998年のMicrosoft訴訟以来、約20年ぶりの大型訴訟と位置づけられているアメリカ司法省のGoogle訴訟については、以下の記事に詳しく書かれています。

Googleが「独占禁止法違反」で司法省から提訴される - GIGAZINE

by Thomas Hawk

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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