Amazonが倉庫ロボット1万5000台を導入し最大1000億円の人件費削減へ


労働者にとって非常に過酷な労働環境にあると指摘されるAmazonの物流(配送)センターは、そこで働く数多くの人の人件費のことも含めて、Amazonにとって解決すべき問題点の1つ。その解決策としてなのか、Amazonは配送センターにロボットを配備することを考えて2012年にKiva systemを買収。そこから2年間で配備されたロボットの数が1万5000台を越え、およそ500億円から最大で1000億円の人件費が削減できる見込みであることが明らかになりました。

Amazon's new robot army is ready to ship
http://bigstory.ap.org/article/440d755555d74964a11c3700710758f3/amazons-new-robot-army-ready-ship


Amazon Reveals the Robots at the Heart of Its Epic Cyber Monday Operation | WIRED
http://www.wired.com/2014/12/amazon-reveals-robots-heart-epic-cyber-monday-operation/


Amazonの配送センターといえば10か条の鉄の掟があって、センターの中を1日に約24km歩くこともあると言われる、厳しい職場です。広大な敷地面積を持ち、日常的に1000人以上が働いて注文を処理していますが、それでも人手が足りず、繁忙期になると8万人以上のアルバイトがここに加わります。

たとえば、感謝祭開けの月曜日は多くの人がネットで注文した内容を処理して莫大な黒字が出ることから「サイバーマンデー」と呼ばれていますが、2013年のサイバーマンデーに取り扱った注文の数は3680万件で、2014年はさらに増加すると考えられています。そうなると、さらなる人出が必要になり、人件費がかかってくることになります。

そこでAmazonが導入を進めているのが、Kiva systemsの開発した倉庫ロボット(以降、Kiva)です。AmazonがKiva systemsを買収したのは2012年のこと。その後、物流センターへの配備が進められ、2014年5月の株主総会の中で配備するKivaの数を1万台に増やすとジェフ・ベゾスCEOが明らかにしていました。

現在、Amazonは世界中に109の配送センターを置いていますが、Kivaが導入されたのはそのうち10か所で、その数はベゾスCEOが語っていたものよりも多い合計1万5000台。敷地面積11万平方メートルで1500人が働くカリフォルニア州トレーシーの配送センターにも、3000台のKivaが導入されました。

Amazonの配送センターというと巨大な図書館のように棚が並べられていて、入荷した商品は1つずつコードを読み取って棚の空いているところに入れていき(ストーイング)、出荷するときにはこれとは逆にポータブル端末を使って、必要な商品がどの棚のどの位置にあるのか最適経路で取りに行く(ピッキング)、という姿が標準でした。

しかし、Kivaはコントロールセンターから指令を受けると目的の商品を入れるべき棚、あるいは目的の商品が入っている棚のところへ移動して、棚自体を持ち上げて担当者の所まで運んできます。パッケージングは人の手で行う必要がありますが、遠い棚の所まで歩いて行く必要がなくなるので、作業効率が従来の2倍~3倍に向上している、と担当者は語っています。

これまでは人が棚の間を移動するために通路を作る必要がありましたが、Kivaは棚の下に潜り込んで棚自体を動かすため通路の幅は必要最小限でOK。そのため、より多くの棚を設置することができ、商品の取扱量を増やすことができる、という利点があります。

BetaBostonの記事では、働くKivaの姿をムービーで見ることができます。

Amazon’s Cyber Monday strategy? Robots. Lots of robots. | BetaBoston
http://betaboston.com/news/2014/12/01/amazons-cyber-monday-strategy-robots-lots-of-robots/


Amazonの配送センター


ずらっと並んだKivaたち


棚の下に潜り込み、次々と動かしていきます。


縦横無尽に走り回るKiva


担当者は同じ位置から動くことなく、Kivaの運んでくる棚の中から商品を取りだしていきます。


荷物の上げ下げはロボットアームが担当


よく知られているAmazonの配送センターとはちょっと違った姿です


アイテムは1つずつスキャン


ケースに1つずつ入れられて運ばれていきます


最後の梱包作業だけは手作業


こうしてみんなの家に向けて配達されていく……という流れです。


Kivaはコストの面でも優秀で、配送センターでかかるコストを20%削減することができるとのこと。Amazon全体だと4億5000万ドル(約532億円)から9億ドル(約1065億円)の人件費が削減できる見通しです。

Amazonがこうした取り組みを行っているのには、GoogleやeBay、さらに他の小売業者もオンラインサービスを拡充してきていて、うかうかしていられないという理由があります。2013年の年末年始には、アメリカ中西部で吹雪のためにUPS・FedEXといった配送業者の配達遅れが発生してお客さんから不満の声が上がっているので、少しでも満足度を高めたい、という狙いがあるようです。

ちなみに、ジェフ・ベゾスCEOはドローンによる配達サービス「Amazon Prime Air」を強く推進していて「意外に早く始まるかもしれない」という報道があったものの、Kiva導入時に比べると苦戦中。


しかし、2年前に買収されたKiva systemsのロボットが今やこんなに役立つ存在になっているという現実があることを考えると、2~3年も経つとAmazonとGoogleがドローンでの荷物配達を巡って激しいバトルをしていたりするのかもしれません。

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in ハードウェア,  動画, Posted by logc_nt