サイエンス

山火事による大気汚染とPM2.5発生は人為的な大気汚染の減少幅を相殺するほどひどく胎児に悪影響


人為的な大気汚染が様々な努力によって抑え込まれる一方で、山火事の増加により、結果的に抑制した分の大気汚染が行われていることが指摘されています。特に、出生前の胎児は早産や後年の疾患などのリスクが高まるとのことです。

Frontiers | Wildfire contributions to prenatal PM2.5 exposure in the contiguous United States, 2003–2019
https://www.frontiersin.org/journals/environmental-health/articles/10.3389/fenvh.2026.1838836/full

Wildfire Smoke Is Now a Bigger Prenatal Threat Than Human Sources of Air Pollution - Inside Climate News
https://insideclimatenews.org/news/07082026/wildfire-smoke-pollution-prenatal-threat/

アメリカでは1970年、ニクソン大統領政権下で「大気浄化法」が改正されて自動車の排ガス規制が厳しくなったことで、2020年までに主要汚染物質の排出量が78%減少したと報告されています。

Air Pollution Trends Continue to Link Clean Air and Strong Economy | US EPA
https://www.epa.gov/newsreleases/air-pollution-trends-continue-link-clean-air-and-strong-economy

しかし、この努力を打ち消すかのように、山火事によって発生した煙が大気の質を悪化させていると、メリーランド大学カレッジパーク校の研究者らは指摘。特に低所得層や農村部、先住民族、胎児などが悪影響を受けていると述べました。


研究チームは、アメリカ本土全体で人為的な大気汚染と山火事による大気汚染がどのように変化したか、環境保護庁の大気汚染データを調査。また、出生記録と照らし合わせて、胎児への影響を調べました。

分析によると、2003年から2019年の間に、出生前の胎児の平均的な1日の大気汚染曝露量は37%減少していましたが、山火事の汚染寄与量が2倍に増加していて、減少分を相殺していたとのこと。


今回の研究では「母親はN95マスクを着用していたか?」「自宅に空気清浄機などのシステムはあったか?」「母親は大気汚染にさらされる屋外にどれぐらいいたか?」といった点が考慮されておらず、上席著者のミシェル・ブードロー氏もその点については研究の限界を認めています。一方で、山火事の煙を追跡するデータソースから、人々の家の中からPM2.5のような形で汚染が検出されていると指摘しています。

ブードロー氏によると、人生の早い段階で山火事の煙に曝露されることは生涯にわたる健康上の問題につながる可能性が高いとのこと。

また、ブードロー氏は、胎児を危険にさらすような急性かつ大規模な大気汚染の発生する日が増えていることへの懸念を示し、いかに人々が「山火事の煙への曝露」を管理できるように支援していくかが次に目指す領域だと述べました。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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