サイエンス

4億3000万年前の「歴史上最も古い山火事」の痕跡が発見される、当時の生態系も明らかに


イギリス南西部のウェールズとポーランドにある2つの炭鉱には、これまで検出された中で最も古い「4億3000万年前の山火事の痕跡」が存在すると地質学者たちが発表しました。時代としては古生代に属するシルル紀に含まれ、山火事の痕跡からは当時の地球上の生命がどのようなものだったかについてのヒントも得ることができます。

Silurian wildfire proxies and atmospheric oxygen | Geology | GeoScienceWorld
https://pubs.geoscienceworld.org/gsa/geology/article/doi/10.1130/G50193.1/614348/Silurian-wildfire-proxies-and-atmospheric-oxygen

Scientists Have Found The Oldest Wildfires on Record, Dating Back 430 Million Years
https://www.sciencealert.com/430-million-year-old-wildfires-are-the-oldest-ever-found-and-have-lots-to-teach-us

約4億4370万年前から約4億1600万年前をさす「シルル紀」では、植物の繁殖は水場に大きく依存しており、一年を通して乾燥した地域には植物が群生しなかったと考えられます。Geologyに掲載された論文によると、古代の自然は主に樹木ではなくプロトタキシーテスという8~9メートルほどまで成長する大型の菌類で覆われていたと研究者たちは考えています。ウェールズの地質調査で発見されたのは4億3000万年前の「焦げたプロトタキシーテス」であり、そこには木炭に関連して見られる鉱物も含まれていたとのこと。同様の時代に該当する山火事の痕跡はポーランドでも発見されており、シルル紀の中期・後期の大気状態や植生について地域ごとの類似点を見ることができます。


コルビー大学の古植物学者であるイアン・グラスプール氏は、「今回発見された山火事は、植生としては非常に短いもの、つまり樹木ではなくプロトタキシーテスを焼き尽くしたと考えられます。この山火事の証拠は、陸上植物の化石が示す当時の植生の証拠と密接に一致していると分析できます」と山火事の痕跡が示す意義を語っています。

グラスプール氏は加えて、「山火事は地球というシステムを成り立たせるのに不可欠なプロセスであるにもかかわらず、長らくその役割はほぼ確実に強調されていませんでした」と山火事の記録の重要さを繰り返しています。論文の共著者であるコルビー大学の古生物学者のロバート・ガスダルド氏も、「シルル紀の風景には、山火事が広がって痕跡を残すだけの植生が必要だったはずです。山火事の痕跡から、当時の植生と成長の過程を特定できます」と述べています。

また論文では、山火事の痕跡として木炭が残っていることから、地球の大気中の酸素レベルが少なくとも16%はあったことが主張されています。現代の大気中の酸素は21%ほどですが、4億3000万年前の大気中の酸素レベルがそれ以上だった可能性も考えられており、その場合には生命がどのように進化したか、あるいは大量絶滅したかについての洞察を与えてくれると期待されています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
火山の噴火で失われたはずの「世界八番目の不思議」ピンクテラス&ホワイトテラスは火山灰に埋没して残っているかもしれない - GIGAZINE

8億3000万年前の「まだ生きている可能性のある生物」を塩の結晶で発見 - GIGAZINE

25億年前のルビーから生命の痕跡が発見される - GIGAZINE

2050年前に作られた墓から「ローマ時代のコンクリートの驚異的な耐久性」の謎に迫るヒントが見つかる - GIGAZINE

10億年前から現代までの大陸の移動を可視化したムービー - GIGAZINE

in サイエンス,   生き物, Posted by log1e_dh

You can read the machine translated English article here.