中国のAI開発は「中国語の訓練データ不足」という新たなボトルネックに直面している

高度なAIモデルの性能を伸ばすには大量の質の高い訓練データが必要です。中国のAI開発を阻む問題としてはアメリカによる先端AIチップの輸出規制が注目されてきましたが、中国のAI専門家は中国語の訓練データ不足が次の大きなボトルネックになりうると警告しています。
China faces new AI bottleneck as it runs out of Chinese-language training data | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/tech-trends/article/3363318/china-faces-new-ai-bottleneck-it-runs-out-chinese-language-training-data

AIの訓練データ不足は中国だけの問題ではなく、AIの進歩が高品質なデータの不足で鈍化する可能性は以前から指摘されています。AI研究機関のEpoch AIは人間が作成して公開した文章について、品質や同じデータを繰り返し学習できる効果を考慮した実質的な量を約300兆トークンと推計し、現在の傾向が続けば言語モデルは2026年から2032年の間にこの文章データを利用し尽くす可能性があると記しています。
中国で問題が特に深刻だとみられる理由の1つが、インターネット上で中国語を使うウェブサイトの少なさです。ウェブ技術調査サービスのW3Techsによると、2026年8月10日時点で、使用言語を判定できたウェブサイトのうち中国語を使うサイトは1.3%でした。なお、英語は49.5%、日本語は5.0%です。
清華大学の孫茂松教授と孔存良氏は光明日報への寄稿で、中国ではAIモデルの訓練や評価に使う文章データを大量に集めた「コーパス」の整備が、大規模言語モデル時代に対応するにはまだ初期段階にあると指摘しています。大規模なウェブアーカイブ「Common Crawl」に含まれる中国語のデータは約4.8%にとどまり、中国語の百科事典・科学書・学術誌・辞書といった知識密度の高い資料も既存の中国語のコーパスには非常に少ないとのこと。
孫氏らは中国語のデータを増やす方法として、出版物・古典籍・地方誌・歴史資料などのデジタル化を進め、辞書・映像・方言・少数民族言語もコーパスへ取り込むよう提案しています。また、著作権者から使用許可を得る仕組みも必要だと孫氏らは指摘し、実際に中国の華夏出版社は書籍のAI訓練への使用を禁じています。

中国政府も、中国語に限らないAI向けデータ全般の整備を進めています。中国国家データ局は2026年6月8日、2028年末までに科学研究・工業製造・医療衛生などの分野で、実際の用途による検証を経た高品質なデータセットを構築する計画を発表しました。収集が難しいデータはシミュレーションや合成技術で補う方針です。
中国情報通信研究院の余暁暉院長は、国家データ局のウェブサイトに掲載された寄稿で、「AI時代の競争はモデルと計算能力だけでなく、高品質なデータ供給システムの競争でもあります」と述べた上で、データの生成・管理・流通・利用・価値の創出までを一体化した仕組みを最初に整えた国が次のAI開発競争で主導権を握ると主張しています。
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in AI, Posted by log1b_ok
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