「自己修復するコンタクトレンズ」を韓国の研究チームが開発、紫外線を照射して傷を修復可能

一般的に普及しているソフトコンタクトレンズは、日常的に付け外ししたり洗浄したりする際に微小な傷がつきやすい傾向にあり、小さな傷は目を傷付けて視力に悪影響を及ぼす可能性があります。韓国の檀国大学の研究チームは、一般的な紫外線照射だけで1時間後には修復できる「傷が回復するコンタクトレンズ」を開発しました。
Room-Temperature UV-Induced Self-Healing Hydrogels with Antifouling and Antiscratch Surfaces for Soft Contact Lenses | ACS Applied Polymer Materials
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsapm.5c04803
Scientists Just Made Contact Lenses That Fix Their Own Scratches – Without Needing Replacing : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/new-self-healing-contact-lenses-can-repair-themselves-in-uv-light
檀国大学のチェ・ジョンヒョン氏とチョ・ビョンギ氏は、自己修復能力を持つコンタクトレンズの素材として「自己修復性ハイドロゲル(DS-ハイドロゲル)」を作製しました。DS-ハイドロゲルは高温および紫外線照射下において、最大90%を回復できることが発見されています。さらに特筆すべき点として、室温での単純な紫外線照射でも表面の傷が効果的に修復されたことが報告されました。過去にも同様の自己修復性ヒドロゲルの研究はありましたが、いずれも高温を必要としていたため、関連する技術の注目すべき進歩とされています。
DS-ハイドロゲルの中核をなすのは「ジスルフィド架橋剤」と呼ばれるもので、硫黄原子同士の結合(ジスルフィド結合)を持つ小さな分子です。その特徴として、一度切断された後でも新たな結合を形成できます。ジスルフィド架橋剤はメタクリル酸ポリマー(アクリル樹脂)と結合されて長い分子鎖を形成し、傷がつくとこれらのポリマー間の物理的な結合が切断されますが、紫外線を当てると再結合することができるため、傷が修復されるという仕組みです。

研究者らは「本研究では、このジスルフィド架橋ハイドロゲルシステムの合成、機械的特性評価、および機能評価を詳細に説明し、ヒドロゲル試料から実用的な成形コンタクトレンズ形式への応用を実証しました」と説明しています。
今回開発された新素材は、自己修復機能に加えて既存のソフトレンズと同等の保水性と優れた耐傷性も備えています。また研究では、今回用いられた硫黄を利用した化学的手法が自己修復性と保護性を備えたプラスチックを製造する方法として有効であることを示しており、市販されている標準的な紫外線洗浄機を洗浄だけでなく修復にも使用できる可能性があることを示唆しています。
研究者らは「自己修復能力、耐久性のある防汚性、そして強化された耐擦傷性を兼ね備えたこのジスルフィド架橋ハイドロゲルプラットフォームは、次世代の機能性コンタクトレンズとして大きな可能性を秘めています。総じて、今回提示された材料設計戦略は、耐久性、弾力性、高性能を備えたハイドロゲルベースの眼科用医療機器を実現するための有望な道筋を示すものとなります」と語りました。
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