新型AI「Apple Foundation Models」は何がスゴいのか?iPhone上で200億パラメーターのマルチモーダルモデル「AFM 3 Core Advanced」を動作させる画期的な仕組み

AppleはGoogleと協力し、次世代Apple Intelligenceのベースとなるモデル「Apple Foundation Models」を開発しました。このモデルがどのような設計になっているのかについて、Appleが詳しく解説しています。
Introducing the Third Generation of Apple’s Foundation Models - Apple Machine Learning Research
https://machinelearning.apple.com/research/introducing-third-generation-of-apple-foundation-models
Recap the WWDC26 Platforms State of the Union - YouTube

Appleが2026年6月の年次開発者会議「WWDC26」で発表した次世代Apple Intelligenceの中核には、Googleとの協力により独自に構築した5つの基盤モデルからなるApple Foundation Modelsがあります。今回登場したApple Foundation Modelsは「第3世代」になります。

Appleは「Apple Foundation Modelsは、まったく新しいSiriや、日常的なアプリをより賢く便利にするインテリジェントツールなど、ユーザーに幅広く役立つ体験を提供するために設計されています」と述べています。
5つあるApple Foundation Modelsのうち2つはデバイス内蔵型モデルです。
・AFM 3 Core:30億パラメーターを持つ高密度モデルです。
・AFM 3 Core Advanced:Appleが提供する最も強力なオンデバイスモデルで、ネイティブでマルチモーダルに対応しており、表現力豊かな音声や高精度な音声入力などの便利な機能を実現します。
残りの3つはサーバーベースモデルです。
・AFM 3 Cloud:サーバー側の主力モデルであり、速度、効率、性能に最適化されています。
・ADM 3 Cloud (Image):画像生成および編集向けモデルで、高度な写真編集ツール、まったく新しいImage Playgroundなどを実現します。
・AFM 3 Cloud Pro:Appleが提供する最も高性能なサーバーベースモデルで、エージェント型ツール利用や複雑な推論といった最も高度な用途を支えます。
AFM 3 Core、AFM 3 Core Advanced、AFM 3 Cloud、およびADM 3 Cloudは、いずれもAppleシリコン向けに専用設計されています。
AFM 3 Cloud Proについては、GoogleおよびNVIDIAと協力し、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、高い性能を維持しているとのことです。
Appleのプライバシー重視AIサーバーはNVIDIAのGPUで動いている - GIGAZINE

それぞれを詳しく見ていきます。
デバイス内蔵型モデルのうち最も高性能なAFM 3 Core Advancedは、Instruction-Following Pruning(IFP)という技術を基盤とする「スパース活性アーキテクチャ」を導入しているのが特徴です。ニューラルネットワークアーキテクチャには、モデルの全パラメーターを使う「Dense(密) Model」と、一部のみを使う「Sparse(疎) Model」がありますが、いずれにせよすべての重みをアクティブメモリ(DRAM)上に保持する必要があり、その巨大なメモリ使用量が一般消費者向けハードウェアにおける拡張性の制約となっていたとのこと。
この課題を解決するのが「スパース活性アーキテクチャ」で、モデル全体をDRAMへ格納する代わりに、完全なモデルをフラッシュメモリ(NAND)に保存して随時呼び出すような動作を行います。NANDからDRAMへの帯域幅は標準的なMoEモデルが必要とするトークン単位での重み入れ替えには遅すぎるため、AFM 3 Core Advancedはプロンプトに基づいてどのパラメータを活性化するかを決定し、それを固定してDRAMにロードします。これは、200億パラメーターのモデルを実質的に10億~40億パラメーターを持つ密なモデルに変換していることになります。Appleは「従来のDRAM制約を大きく超えるモデル規模を実現しながら、遅延を最小限に抑えます」と述べました。
サーバー側モデルであるAFM 3 Cloudは、Appleのプライバシーを保護するクラウドシステム「Private Cloud Compute」によって支えられたマルチモーダル推論能力において大幅な進化を実現しており、トレーニングの安定性が向上し、複雑なサーバー側クエリに対してコンテキストウィンドウ内の情報を推論し、正確に想起する能力が改善されているとのこと。
画像モデルであるADM 3 Cloudは、高品質な画像生成、編集、そしてGenmojiを実現するため、高い制御性とパラメーター効率を実現するよう開発されました。このモデルは異なるアスペクト比や解像度に対応し、Apple Foundation Modelファミリー全体を活用して生成と編集の両方を行えます。
以下はADM 3 Cloudによるネイティブ画像生成の例。

これらのモデルとGeminiとの具体的な関連性は不明ですが、テクノロジー系メディアのMacStoriesは、「行間を読む限りでは、AFM CloudはGemini 3.1 Flash-Lite、AFM Cloud ProはGemini 3.5 Flash、そしてADM CloudはNano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)をベースにしているのではないかと推測しています」と指摘し、さらなる情報公開を求めています。
Apple Foundation Modelsのフレームワークも公開されたため、開発者はさまざまな機能を利用してアプリを作成することができます。GoogleはGeminiモデルをApple Foundation Modelsフレームワークに統合し、デバイス上のAppleモデルとクラウドホスト型のGeminiモデルを共通のAPIインターフェースを介して動作させるようにしました。これにより、ユースケースに合わせてローカル推論とクラウド推論を簡単に切り替えることができます。
また、Appleの開発環境「Xcode」でGeminiを呼び出し、開発を支援してもらうことも可能です。
Gemini models for Apple developers
https://blog.google/innovation-and-ai/technology/developers-tools/bringing-gemini-models-to-apple-developers/
macOSでは、Python用Foundation Models SDKを使用してPythonエコシステムでよく使われるツールや評価パッケージと統合できます。
Build AI-powered scripts with the fm CLI and Python SDK - WWDC26 - Videos - Apple Developer
https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2026/334/
このほか、アプリ内でデバイス上のモデルを実行するための最適な方法として設計されたフレームワーク「Core AI」も公開されています。Core AIはOSに組み込まれており、Appleシリコンの性能を最大限に発揮するとのことです。
Core AI | Apple Developer Documentation
https://developer.apple.com/documentation/coreai/
Appleシリコン上でローカルAIのプロファイラ「Ziraph」を開発中のMarco Abis氏は、「Core AIのプロファイリングツールはタイミング情報は公開するものの、製品化の可否を左右する指標となるエネルギー、メモリ帯域幅、熱については公開していないため、デバイスのパフォーマンスの大部分を左右するこれらの指標を考えると大きな欠落だ」と指摘しました。
6/ What you can see: timing.
— Marco Abis (@capotribu) June 9, 2026
Core AI's instrument profiles latency + which compute unit ran your model - in Xcode, for your own app. Energy, memory bandwidth, thermal? Not in the docs.
A notable gap, given those decide most of on-device performance.
これらのモデルの学習には、公開情報のほか第三者からライセンス取得または購入したデータ、オープンソースデータ、専用調査によって取得したデータ、そして合成データを組み合わせて使用しているとのことで、Appleは「ユーザーの個人的なプライベートデータやユーザーとのやり取りを基盤モデルの学習に使用することはありません。また、Webパブリッシャーが基盤モデル学習を拒否する権利も尊重しています」とプライバシー重視の姿勢をアピールしています。
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