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OSセットアップ時の年齢確認を求める法律にわざと違反している「Ageless Linux」とは?


アメリカのカリフォルニア州では、インターネット上の未成年者を保護するためにOSのアカウント設定時にユーザーの年齢を確認する法案「デジタル年齢保証法(AB 1043)」が、2027年1月から施行される予定です。この法律にわざと違反してユーザーの年齢確認を行わないOS「Ageless Linux」が登場しました。

Ageless Linux — Software for Humans of Indeterminate Age
https://agelesslinux.org/


GitHub - agelesslinux/agelesslinux.org: public static site content · GitHub
https://github.com/agelesslinux/agelesslinux.org

カリフォルニア州のデジタル年齢保証法は、子どもがアクセスする可能性のあるオンラインサービスや製品を提供する企業に、ユーザーが子どもであるかどうか合理的に判断することや、子どもを基準とした高い水準のプライバシー保護をすべての消費者に適用することなどを義務付けています。


その中には、OSプロバイダーがユーザーの年齢情報を収集して「13歳未満」「13歳以上16歳未満」「16歳以上18歳未満」「18歳以上」の4つに分類し、OS上でアプリがダウンロードまたは起動された際に、アプリ開発者にユーザーの分類について知らせるという義務も含まれます。

OSのセットアップ時にユーザーの年齢確認が必須になる法律をカリフォルニア州が導入、LinuxとSteamOSも対象 - GIGAZINE


このデジタル年齢保証法にわざと違反し、ユーザーの年齢情報収集を行わないOSがAgeless Linuxです。Ageless LinuxはLinuxディストリビューションのDebianをベースにしたOSであり、インストールする際はまずDebianをインストールした後に、特定のスクリプトを実行してAgeless Linuxに変換する必要があるとのこと。

DebianとAgeless Linuxの実質的な違いは、Linuxディストリビューションの種類を判別する「/etc/os-release」ファイルの名称がDebianではなく、「Ageless Linux」と表示されるという点のみ。つまり、Ageless Linuxは実質的にOSの名称を変更するだけのスクリプトだと開発者のジョン・マッカードル氏は認めています。

Ageless LinuxにはDebianとほとんど違いがないことから、「Ageless Linuxは実在するOSなのか?」「これは単に名前が違うだけのDebianではないか?」という疑問も生じるかもしれません。これに対しマッカードル氏は、デジタル年齢保証法では最低限の技術的要件が定義されておらず、Linuxディストリビューションのエコシステムでは既存のシステムを変更・再配布すると新しいディストリビューションとなり、デジタル年齢保証法の下では独立したOSだと認定されると主張しています。

Ageless Linuxの目的は、意図的にデジタル年齢保証法に準拠しないOSを配布することで、法律そのものへの問題提起を促すことです。マッカードル氏は、OSに年齢確認システムを実装するリソースがあるのは大企業のみであり、デジタル年齢保証法は小規模な開発者に打撃を与えるものだと指摘。Debianのようなボランティアや趣味で運営されている多数のLinuxディストリビューションも、年齢確認システムを実装する資金がないとのこと。

デジタル年齢保証法に意図的に違反した場合、影響を受けた子ども1人あたり最大7500ドル(約120万円)の罰金が科されるとされています。しかし、Ageless Linuxではそもそもユーザーの年齢を収集しないため、ユーザーに子どもが含まれているのかどうかを厳密に特定することは不可能だとマッカードル氏は主張。「私たちは抜け穴を主張しているわけではありません。私たちは法律を順序通りに解釈しているのです」と述べました。

Ageless Linuxについては、ソーシャルメディアのHacker Newsでも話題になっています。あるユーザーは、アメリカ・イギリス・EUでほぼ同時に年齢確認を巡る議論が浮上したことは、国境を越えたロビー団体とその利害関係を示唆するものだとコメントしました。

Ageless Linux – Software for humans of indeterminate age | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=47381791

なお、子どもを守るためのオンライン年齢確認ツールが成人の監視にも利用されているとの指摘や、年齢確認を義務化する法律には十分な効果がなく、無駄な負担ばかりが増えるとの分析結果も報告されています。

年齢確認を義務化する法律には十分な効果がなく無駄な負担ばかり増えているという分析結果 - GIGAZINE

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in ソフトウェア, Posted by log1h_ik

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