子どものおままごとのようにボノボもおままごとができることが最新の論文で明らかに

おままごとは子どもの遊びの定番ですが、おままごとをするのは長らく人間のみと思われてきました。しかし、学術誌のScienceに掲載された最新の論文で、カンジという名前のボノボが「おままごと」をすることが明らかになっています。
Evidence for representation of pretend objects by Kanzi, a language-trained bonobo | Science
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adz0743

Watch Kanzi the bonobo pretend to have a tea party - Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2026/02/watch-kanzi-the-bonobo-pretend-to-have-a-tea-party/
ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが、類人猿のボノボも人間の幼児と同じように想像力を働かせる能力があることを明らかにしました。
研究チームのひとりであるクリストファー・クルペニエ氏によると、人間の子どもは2歳までにお茶会のような想像上の状況を理解し、ティーカップとカップが実際には空であっても、本物のお茶があるかのように振る舞うことができるようになるそうです。認知的に言えば、これは二次表象の一例で、カップの中に実際のお茶があるかのように振る舞う「想像上または模擬的な状態」と、カップが空であるという「現実」を切り離すことを伴います。
科学者は長年、他の動物、特に霊長類にもそのような精神的能力があるかどうかについて考え続けてきました。これを裏付ける逸話的な証拠もいくつかあります。例えば、過去には若いチンパンジーが本物の積み木を床に引きずるのと同じように、想像上の積み木を床に引きずっている様子が観察されました。野生のメスのチンパンジーの中には、棒を持って幼児のように扱う個体も確認されています。これは人形遊びの原始的な形です。
また、2006年の研究では人間の文化に触れたチンパンジーとボノボが、言葉による指示に応じ、人形の口にボウルを当てて餌を与えるといった、ごっこ遊びをできることが観察されています。

しかし、こうした研究結果を「動物が想像力を働かせる能力の証拠」とする解釈は、懐疑的な見方に直面してきました。例えば、動物は視線の方向といった行動の合図に反応して、こうした課題を解決している可能性があるためです。
そこで、研究チームは絶滅危惧種であるボノボの研究と保護に特化した世界唯一の研究センターであるApe Initiativeに生息する43歳のボノボであるカンジを被験体として、調査を行っています。カンジは指さしや300以上の記号からなる語彙(ごい)を用いて、言語による指示に応答することが可能です。研究チームはカンジを用いて、18回の試行セッションを含む3つの異なる実験を行いました。
カンジが受けた3つの実験の様子は以下の動画でチェックできます。
Apes Share Human Ability to Imagine - YouTube

最初の実験では科学者が「カンジ、ゲームをしよう!ジュースを探そう!」と口頭で促します。次に、空の透明なカップ2つをテーブルの上に置き、空の透明なピッチャーからジュースを入れるふりをします。そして、「カンジ、見て!」などと口頭で別の行動を促します。科学者は片方のカップの中のジュースをピッチャーに戻すふりをして、ピッチャーをテーブルの下に置きます。そして、「カンジ、ジュースはどこ?」と尋ね、ボノボが最初にどのカップを指さしたかを記録しました。
もしもカンジが現実のみを追跡しているとしたら、2つの選択肢(カップ)のうちどちらかを偶然選ぶはずです。一方、カンジの選択が刺激強化によって導かれていたとしたら、偶然よりも「空になった」(誤った)カップを選ぶはずです。対照的に、もしもカンジが空想のジュースをイメージできるとしたら、カンジは偶然よりも「想像上のジュースが入ったカップ」、つまりはピッチャーに戻されていない方のカップを選ぶはずです。この実験でカンジは50回中34回(68%)も正しいカップ(想像上のジュースが入ったカップ)を選んだそうです。

カンジが空のカップに本物のジュースが入っていると単純に信じていた可能性を排除するため、研究チームは同様の手順で2回目の実験を実施しました。ただし、カップの1つには本物のジュースが入っていました。そして、カンジにどちらが欲しいか選ばせたところ、カンジは78%の確率(18回中14回)で本物のジュースの入ったカップを選ぶことに成功しています。これは、カンジが本物のジュースと空想上のジュースの違いを見分けることができることの証拠です。

最後に、研究チームは3つ目の実験を行いました。実験者は空の透明なプラスチック容器からブドウを1本採取するふりをして、そのブドウを2つの透明な瓶の1つに入れました。瓶の1つを空にするふりをした後、カンジに「ブドウはどこ?」と尋ねました。カンジは69%(45回中31回)の確率で空想上のブドウが入っている方の瓶を選択することに成功しています。

カンジは想像上の課題で完璧な成績を収めることができたわけではありませんが、研究チームのひとりであるセント・アンドリュース大学のアマリア・バストス氏は、「カンジは、想像上の物体を思い浮かべながら、同時にそれが現実ではないことも理解しています」と言及。
クルペニエ氏は「想像力は長らく人間であることの重要な要素と考えられてきましたが、それが人間に限ったことではないかもしれないという考えは、真に変革をもたらすものです。ジェーン・グドールはチンパンジーが道具を作ることを発見し、それが人間であることの定義に変化をもたらしました。そしてこれもまた、私たちを特別な存在にしているものは何なのか、そして他の生き物たちの精神生活にはどのようなものがあるのかを、改めて考え直すきっかけを与えてくれます」と語りました。
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in 動画, サイエンス, Posted by logu_ii
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