サイエンス

自分の尿を飲んでサバイバルできるのか?


砂漠で迷子になったり海の上を漂流したりするような極限状況で、特に苦労するのが水分の摂取です。真水を入手しづらい環境でどうしても喉が渇いた時、最終手段の1つとして「自分の尿を飲む」という方法がありますが、サバイバル術として自分の尿を飲むことは果たして正解なのかについて、グリフィス大学看護学部上級講師のマシュー・バートン氏とボンド大学医学部のミハエル・トドロヴィッチ准教授が解説しています。

If you get lost in the bush, can you really survive by drinking your own pee?
https://theconversation.com/if-you-get-lost-in-the-bush-can-you-really-survive-by-drinking-your-own-pee-269086

ドキュメンタリー専門チャンネルのディスカバリーチャンネルでサバイバル番組に出演する冒険家のベア・グリルス氏は番組内で、ゾウの糞から水分を絞り出したり、ラクダの腸の内容物をすすったり、ヤクの目玉汁を飲み干したりと、「極限状況で水分を補給する方法」を実践しています。


そんなグリルス氏は実際に、自分の尿を飲んだことで知られています。グリルス氏は「地面に排尿するのは体液を無駄にすることです。自分の尿を飲むのは安全です」といい尿を飲み、「温かくて塩辛い」といって顔をしかめます。

Bear Grylls drinks his own urine (Kimberlies, Australia) - YouTube


体液は体重の約60%を占めています。体内環境における物質の適切なバランスを維持するために、腎臓は毎日約180リットルの血漿(けっしょう)を絶えず濾過しています。ただし、私たちの腎臓はろ過した尿の約99%を再吸収するため、180リットルもの尿を排出することはありません。

尿の内容は、水分補給状態や代謝活動、食事など、いくつかの要因によって変わりますが、約95%が水で、残りは尿素やクレアチニン、塩分とタンパク質で構成されています。


通常であれば、尿でもある程度の水分補給が可能ですが、グリルス氏のような極限状況では体内の水分量が減ってしまいます。たとえば、皮膚の発汗で1日に約450ml、呼気中の水蒸気で1日に約300mlの水分を失います。高温多湿の環境であれば、これらの水分量は大幅に増加します。

その結果、腎臓は貴重な水分を保持し、老廃物がさらに濃縮されるので、最終的に尿は非常に有毒なものになります。したがって、サバイバル環境で尿を飲むと、体が明確に排除しようとしている尿素などの老廃物を高濃度で摂取することになります。

老廃物濃度の高い尿を飲む、あるいは腎臓機能が低下している場合、尿素やその他の代謝老廃物が体内に蓄積し、特に神経系の細胞に毒性を及ぼす可能性があり、嘔吐、筋肉のけいれん、かゆみ、意識障害などの症状が現れる可能性があるとのこと。


また、衛生的な問題もあります。腎臓から排出される尿は無菌である可能性が高いですが、膀胱と尿道はそうではありません。私たちの体には、健康を維持し、日常的な機能を支えてくれる常在菌が豊富に存在しています。尿を飲むと、これらの細菌が本来生息すべきではない体の部分、主に消化管に再び侵入してしまうことになります。

健康な状態であれば、胃酸によってこれらの細菌の多くは死滅します。しかし、脱水、熱中症、栄養不足などによって腸壁が損傷するサバイバル状況では、これらの細菌が血流に入り込むリスクが高まります。

つまり、極限状況でも自分の尿を飲むことは勧められるものではなく、かえって生命を脅かす可能性もあるというわけです。バートン氏とトドロヴィッチ氏は「藪の中で迷子になった場合、自分の尿を飲むことに頼らないでください。ゴミ箱の尿を飲むのと同じようなものなので」と述べています。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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