1977年に観測された謎の信号「Wow!シグナル」の再調査が行われてやはり地球外に起源を持っている可能性が高いと判明

「Wow!シグナル」は1977年、アメリカ・オハイオ州立大学のビッグイヤー電波望遠鏡が観測した正体不明の信号です。「地球外生命体が発信したシグナル」という説もあるWow!シグナルについて再調査した新たな研究により、信号がこれまでの推定以上に強力だったことや、やはり地球外の発信源から飛来した可能性が高いことなどが示されました。
[2508.10657] Arecibo Wow! II: Revised Properties of the Wow! Signal from Archival Ohio SETI Data
https://arxiv.org/abs/2508.10657

The "Wow!" Signal Gets An Update - It Was Even Strong Than We Thought - Universe Today
https://www.universetoday.com/articles/the-wow-signal-gets-an-update-it-was-even-strong-than-we-thought
The "Wow!" Signal Likely Was From An Extraterrestrial Source, And More Powerful Than We Thought | IFLScience
https://www.iflscience.com/the-wow-signal-was-likely-from-an-extraterrestrial-source-and-more-powerful-than-we-thought-80561
Wow!シグナルは1977年8月15日、地球外生命探査を行っていたオハイオ州立大学のジェリー・エーマン氏が、ビッグイヤー電波望遠鏡で受信した正体不明の信号です。この電波は狭い周波数帯に集中して72秒間も続き、エーマン氏がプリントアウトした信号の余白に「Wow!」と書き記したことからその名称が付けられました。
これ以前にも以降にもWow!シグナルと同様の信号は検出されておらず、研究者らはその正体について議論を続けています。信号の周波数が、バックグラウンドノイズが少ないため恒星間通信に使われると予想された水素線(21cm線)に近いことから、「地球外生命体が他の文明と交信するために発信した電波ではないか?」という説もあります。
一部の研究者らは、ビッグイヤー電波望遠鏡が観測していた領域を通過する彗星(すいせい)がWow!シグナルの発生源ではないかと主張しました。しかし、ビッグイヤー電波望遠鏡の観測範囲内に該当する彗星はなく、実際に受信されたごく短時間で消失する信号も彗星が発する信号とは矛盾するため、彗星が起源という説は否定されています。
新たに、プエルトリコ大学アレシボ校の惑星居住可能性研究所で所長を務めるアベル・メンデス氏らの研究チームは、1998年に天文台が閉鎖された後も保管されていたWow!シグナルのデータを再調査する研究を行いました。ボランティアを含む研究チームは、未発表だったものも含む数十年分のデータを、人間による視覚補助も含む光学文字認識ルーチンで処理し、最新の信号解析技術を用いて再解析したとのこと。

新たな解析により、Wow!シグナルが電波望遠鏡の干渉であったり、地球上の物体から放出されたものだったりする可能性は非常に低いことが示されました。また、信号が無線周波数干渉によるものでないことを示す強力な統計的証拠も見つかったとのこと。
他に信号の発生源として考えられるものとしては人工衛星が挙げられますが、当時存在した人工衛星のほとんどは、Wow!シグナルが発信されたと思われる空の領域を周回していませんでした。また、軌道から外れた人工衛星が発信源であるという説もありますが、これらの人工衛星は電波望遠鏡の前をすぐに通り過ぎてしまい、72秒間もとどまることがないため、やはり可能性は非常に低いと報告されています。研究チームは、「このパターンを再現するには、月を越えた軌道を周回する衛星からの連続信号が必要になるでしょう」と述べています。
Wow!シグナルに関する最も新しいアップデートとみられるのが、電波強度の新たな推定値です。これまで、Wow!シグナルの電波強度(電磁波束)は54~212ジャンスキーと推定されていましたが、今回の解析では250ジャンスキーとはるかに強度が高いことがわかりました。
メンデス氏は、「私たちの研究結果は、Wow!シグナルの謎を解くものではありません。しかしこの研究結果は、それが何であったのか、そしてどこから来たのかをこれまで以上に明確に示しています。この新たな詳細情報により、今後の観測をこれまで以上に効果的に行うことができるようになります」と述べました。

研究チームによると、ビッグイヤー電波望遠鏡は1977年と1978年にも、Wow!シグナルと類似しているものの強度が弱い信号を受信していたとのこと。これらの信号は、中性水素原子で恒星間に構成される中性水素ガス雲(HI雲)から発信されたものとみられています。これらの点から、研究チームはWow!シグナルを「小さくて冷たいHI雲からメーザーのようなフレアを発生させた超放射現象」によって生じた信号ではないかと推測しました。
なお、研究チームが発表した論文はプレプリントサーバーのarXivに投稿されており、記事作成時点では査読を通過していません。
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in サイエンス, Posted by log1h_ik
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