AnthropicがチャットAI「Claude」でウェブをリアルタイム検索して最新情報を探し出す新APIをリリース

チャットAIの「Claude」を開発するAnthropicが2025年5月8日、Claudeがウェブ検索を行って最新情報を見つけられるようにする新たなAPIを発表しました。開発者や企業は新たなAPIを導入することで、ウェブ上の最新情報を提供するClaude搭載製品やアプリを構築できるようになります。
Introducing web search on the Anthropic API | Anthropic
https://www.anthropic.com/news/web-search-api

Anthropic rolls out an API for AI-powered web search | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/05/07/anthropic-rolls-out-an-api-for-ai-powered-web-search/
Anthropic launches Claude web search API, betting on the future of post-Google information access | VentureBeat
https://venturebeat.com/ai/anthropic-launches-claude-web-search-api-betting-on-the-future-of-post-google-information-access/
今回Anthropicがリリースした新APIは、最新モデルのClaude 3.7 Sonnet、アップグレードされたClaude 3.5 Sonnet、そして軽量モデルのClaude 3.5 Haikuを搭載したアプリやエージェントで利用可能。APIが有効化されたClaudeは、ユーザーからのリクエストを受け取ると推論機能を用いて「ウェブ検索ツールが有益かどうか」を判断し、有益だと判断した場合にウェブ検索を実行するとのこと。
Claudeはターゲットを絞った検索クエリを生成し、関連するデータを分析して重要な情報を取得し、ソースとなった資料への引用付きで包括的な回答を提供します。これによりユーザーは直接ソースを確認できるため、正確性と説明責任が重要な機密性の高いユースケースでも役に立ちます。また、Claudeは以前の結果を用いて後のクエリを調整することもできます。開発者は「max_uses」パラメーターを調整して、APIの動作を制御可能です。
Anthropicが想定しているウェブ検索APIのユースケースの例が以下。
・金融サービス……リアルタイムの株価や市場動向、規制の更新を分析するAIエージェントの構築が可能。
・法的調査……最新の裁判所の判決や規制の変更、法律ニュースにアクセスするツールを作成可能。
・開発者ツール……最新のAPIドキュメントやGitHubのリリース、技術の更新を参照するツールの構築が可能。
・生産性ツール……最新の企業レポートや競合他社の情報、業界調査を組み込んだエージェントを作成可能。

組織管理者は「ドメイン許可リスト」を設定することでClaudeが情報を取得するソースを限定したり、「ドメインブロックリスト」を指定して特定のソースにClaudeがアクセスできないようにしたりすることもできます。さらに組織管理者は、組織全体でウェブ検索の使用を許可または禁止することができるとのこと。
すでに、Claudeの新たなAPIはQ&Aサイト・QuoraのAIチャットサービスであるPoeに導入されています。Poeの製品責任者を務めるスペンサー・チャン氏は、「PoeプラットフォームへのAnthropicのウェブ検索ツール追加を歓迎します。これは費用対効果に優れ、素晴らしいスピードで検索結果を提供してくれるので、PoeでClaudeモデルを使用している時にリアルタイムの情報にアクセスする必要がある人にとって有益でしょう」とコメントしました。
Claudeのウェブ検索APIはClaude 3.7 Sonnet・Claude 3.5 Sonnet・Claude 3.5 Haikuで、1000回の検索ごとに10ドル(約1430円)と標準トークンのコストで使用可能となっています。開始するにはAPIリクエストでウェブ検索ツールを有効化する必要があるとのことです。

テクノロジー系メディアのVentureBeatは、Anthropicのウェブ検索APIは急速に進化するAI検索市場で競争するためのものだと指摘。Appleのインターネットソフトウェア&サービス担当シニアバイスプレジデントであるエディ・キュー氏は5月7日、Googleの親会社・Alphabetと司法省の裁判で、Safariでの検索が4月に史上初めて減少しており、その原因はウェブ検索にAIを用いる人々の増加だろうと証言しました。
長らくウェブ検索市場ではGoogleが圧倒的な支配力を保ってきましたが、近年はAIに質問を投げかけて、AIにウェブ検索で情報を集めさせるユーザーが増えています。従来の検索では、ユーザーが検索結果に表示される多数のソースをチェックする必要がありましたが、AIに任せれば自動でまとまった情報を教えてくれるため、ユーザーの認知的負荷が少なくて済むとVentureBeatは指摘しています。
Safariの検索数が減少したという事実は、大規模な消費者行動の変化の兆候である可能性があり、このタイミングでAnthropicがウェブ検索APIを発表したことは重要な意味を持ちます。従来のウェブコンテンツは広告ベースのビジネスモデルによって支えられてきましたが、ユーザーがブラウザ検索からAI検索に移行することで、ウェブサイトが得られる広告収入は激減してしまいます。もちろん、AIが生成する回答にソースへのリンクが含まれるケースもありますが、多くのユーザーはわざわざリンクをクリックしてソースまで確認しないため、それだけでコンテンツ制作を支えるほどの収入にはなりません。
つまり、AIは高品質のWebコンテンツに依存して回答を生成するものの、これによりユーザーがウェブサイトを訪問しなくなり、コンテンツ制作を支えるビジネスモデルが弱体化する負のサイクルが起こり得るというわけです。VentureBeatは、「コンテンツ制作者のための新しい補償メカニズムがなければ、情報エコシステムの長期的な健全性が損なわれる可能性があります」と述べました。
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in ソフトウェア, ネットサービス, Posted by log1h_ik
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