英語圏で「—」「–」「-」はどう使い分けられているのか?

英文におけるエムダッシュ「—」と、エンダッシュ「–」と、ハイフン「-」の用法について、辞典の出版社であるMerriam-Websterがまとめました。
How to Use Em Dashes (—), En Dashes (–) , and Hyphens (-) | Merriam-Webster
https://www.merriam-webster.com/grammar/em-dash-en-dash-how-to-use
◆エムダッシュ
エムダッシュはカンマやコロン、あるいは括弧のように機能し、例や説明、補足事項などの区切りに使われます。
・文の構造の突然の変化や中断を示すのに使われるケース
Mabel the Cat was delighted with the assortment of pastries the new bakery featured, but Harry the Dog—he felt otherwise, for the bakery did not offer cheese Danishes at all.
日本語としては少し不自然になりますが、エムダッシュの役割を強調して翻訳すると、「猫のメイベルは、新しいパン屋のペストリーの品揃えに大喜びしましたが犬のハリー、彼はそう感じませんでした。なぜなら、そのパン屋にはチーズデニッシュがまったくなかったからです」となります。太字の読点が、エムダッシュにあたる部分です。

・発言の中断、あるいは話者の混乱やためらいを示すケース
“Of course you have a point,” Mabel murmured. “That is—I suppose it is concerning.”
この例文では、「『もちろん、あなたの言うことはもっともです』とメイベルはつぶやいた。『つまり……それは心配なことだと思います』」と、メイベルが言いよどんでいることの表現にエムダッシュが用いられています。
・カンマや括弧の代わりに使うケース
The bakery's significantly broad hours of operation—6 a.m. to 6 p.m.—certainly showed concern for customers’ manifold circumstances.
この例文では、エムダッシュが括弧として機能しており、翻訳すると「このパン屋の営業時間は長く(午前6時から午後6時まで)、顧客のさまざまな状況への配慮が表れています」となります。
・エムダッシュに続く節が前節をややドラマチックに説明したり、要約したり、補足したりする場合に、コロンやセミコロンの代わりに単発で使われるケース
Harry would never forget the Tuesday that Mabel called him from the bakery, her voice brimming with excitement—the bakery had added cheese Danishes to its selection.
この例文では、「ハリーは、火曜日にパン屋からメイベルが電話してきたことを決して忘れないでしょう。彼女の声は興奮に満ちていました。パン屋がチーズデニッシュを品揃えに加えたのです」という具合に、最後の文章がメイベルの興奮の理由だということを強調するのにエムダッシュが使われています。

・本文の一部ではない引用文の著者名または出典名の前に挿入するケース
“One cannot overestimate the effect that a good bakery can have on a person’s well-being.” —Mabel the Cat, quoted in The Websterburg Reporter
ここでは、ダブルクォーテーションで区切られたフレーズが、猫のメイベルの著書「The Websterburg Reporter」からの引用だということを示すのにエムダッシュが使われています。
・単語内の文字が抜けていることを示すために使用されるケース。エムダッシュが2つ続く場合は、言葉の一部がエムダッシュによって「伏せ字」になっていることを示します。
The butter-stained and crumb-embedded note was attributed to a Ms. M—— of Websterburg.
・エムダッシュが3つ続く場合は単語が省略されているか、または未知の言葉や数字が入ることを示します。
Years later it was revealed that the Websterburg bakers had once had a bakery in ———, a city to the south. But the water quality there was prohibitive to the creating of decent bagels.

◆エンダッシュ
エンダッシュは数字の範囲や日付の期間などを表記するのに使われます。「128~134ページ」という具合に、日本語で波ダッシュが使われるような時に英語ではエンダッシュが使われます。
The exceedingly complex recipe spans pages 128–34.
複合語を作る場合にもエンダッシュが使われることがあります。
the pre–Websterburg Bakery era
基本的に、接頭辞「pre-」を付ける場合はハイフンが使われますが、この接頭辞が「Websterburg」だけに係ると読者を誤解させないために、複数語で複合語を作る場合はエンダッシュを使うことが推奨されています。つまり、「pre-Websterburg(ウェブスターバーグ以前)」ではなく「pre–Websterburg Bakery(ウェブスターバーグ・ベーカリー以前)」であることを示すためにあえてハイフンではなくエンダッシュが使われます。もっとも、実際に読者がこれで混乱する可能性はほとんどないとのこと。

◆ハイフン
ハイフンにはエムダッシュやエンダッシュの役割を含む非常に広い用途があるため、最も頻繁に文中に登場します。
・複合語内の要素を接続するために使用されるケース
a baker-owner
・接頭辞、接尾辞、または中間要素を単語の残りの部分から分離するために使用されるケース
Websterburg’s pre-bakery days
a bread-like scone
jack-o'-lantern sugar cookies
・エンダッシュと同様に数字や日付の範囲を表すケース
pages 128-34
the years 2007-2019
・行末で単語が区切れることを示すケース
Mabel and Harry don’t like to linger on their memories of Webster-
burg’s pre-bakery days.
・どもったり、すすり泣いたり、途切れ途切れに話したりしていることを表現するケース
"M-m-mabel, the cheese Danish is divine!”
この例文では、「メ、メ、メイベル、このチーズデニッシュはすごいよ!」と感激のあまり言葉を詰まらせていることがハイフンで表現されています。

・音の区切れによる強調を表現するために使われるケース
Let’s not even talk about August, when the bakery is c-l-o-s-e-d.
この例文では、「8月の話はしたくもない。だってパン屋が閉・ま・っ・て・い・るでしょ」というようなニュアンスになります。
この記事を話題にしたHacker Newsのスレッドには、「正確とは言えませんが、ハイフンは複合語などをつなぐもの、エンダッシュは物事の範囲を表すもの、エムダッシュは文や考えなどを区切るものと覚えておくと簡単です」とのアドバイスが投稿されていました。
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