昼寝はデメリットがメリットを上回る可能性、上手な昼寝の方法は?

昼寝は集中力を高め、気分を改善し、記憶力を強化する手段として評価されています。一方で、昼寝の取り方によっては夜間の睡眠を妨げるという問題点もあります。昼寝にはメリットとデメリットの両面があり、その効果は昼寝の取り方に大きく依存していると、ウォーリック大学医学部のTalar Moukhtarian教授が解説しています。
Can a daily nap do more harm than good? A sleep researcher explains
https://theconversation.com/can-a-daily-nap-do-more-harm-than-good-a-sleep-researcher-explains-251630
13時から16時頃の昼下がりに自然と眠くなることがありますが、これは昼食だけが原因ではなく、概日リズムにより生じる自然な現象でもある、とMoukhtarian教授。2015年に発表された研究によれば、13時~16時頃に10~20分程度の昼寝を取り、その後明るい光を浴びることで、疲労感の軽減や認知機能の改善が可能であるとされています。

しかし、昼寝が30分を超えると、脳は深い睡眠段階に移行し、目覚めた時に「睡眠慣性」と呼ばれる倦怠感や混乱状態を引き起こすことが明らかになっています。過去の研究では、深い睡眠からの目覚めによる倦怠感が1時間近く続き、意思決定や機械操作などに悪影響を及ぼすことが報告されています。
一方、昼寝が不可欠な状況も存在します。たとえば、シフト勤務者や夜間勤務を行う人々は睡眠が断片化されがちなので、勤務前の昼寝は作業ミスや事故のリスクを低減するために効果的です。また、育児や仕事などのせいで日常的に十分な睡眠が取れない人は、昼寝を通じて睡眠時間を補うことが推奨されています。ただし、慢性的な不眠症の人にとっては、昼寝はむしろ夜間の睡眠意欲を弱める原因となるため、避けることが望ましいとのこと。
さらに、昼寝はパフォーマンス向上の手段として、特定の職業や活動に積極的に利用されています。たとえば、アスリートは昼寝をトレーニングプログラムに取り入れることで、筋肉の回復速度や反応時間、持久力を向上させるケースもあるそうです。また、医療従事者や飛行機のパイロットなど、高い集中力を必要とする職業においても、短時間の戦略的な昼寝が疲労軽減や作業効率向上に役立つことが実証されています。加えて、NASAの研究では、26分間の昼寝により航空スタッフのパフォーマンスが34%、注意力が54%向上したと報告されています。

Moukhtarian教授によると、効果的な昼寝のためにはタイミングと環境が重要だとのこと。理想的な昼寝の時間は14時以前であり、それ以降の昼寝は夜間の睡眠サイクルに悪影響を与える可能性があるそうです。また、昼寝の環境は夜間の睡眠と同様に「涼しく暗く静かな環境」が望ましく、アイマスクやノイズキャンセリングのイヤホンなどを活用するべきだとMoukhtarian教授は述べています。
Moukhtarian教授は「昼寝はメリットがあるにもかかわらず、すべての人に適しているわけではありません。年齢、ライフスタイル、基本的な睡眠パターンはすべて、昼寝が役立つか妨げになるかに影響します。良い昼寝には戦略が重要です。いつ、どのように、そしてそもそも昼寝をすべきかを知ることです。昼寝は賢く行えば貴重なツールになります。しかし、下手に行えば、真夜中に天井を見つめている原因になるかもしれません」と語りました。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk
You can read the machine translated English article The disadvantages of napping may outweig….