サイエンス

「寝だめ」の効果はごく一時的なもの、20分昼寝したほうがまだ効果的との専門家の意見

By Rawpixel

仕事で忙しく毎日寝不足気味の人が、週末に「寝だめ」して睡眠不足を解消しようとするケースは多々あるかと思います。睡眠に関する研究の中には「寝だめは死亡リスクを下げる」というものも存在しており、確かに寝だめには一定の効果があることが判明していますが、睡眠と神経学の専門家は「寝だめよりも20分の昼寝の方が効果的」と指摘しています。

Can You Really Catch Up on Lost Sleep? | Time
http://time.com/5541101/how-to-catch-up-on-sleep/

「人から借りたお金なら返済すれば清算できますが、睡眠負債を取り返そうとなるとそうはいきません。睡眠を取れる時に長めに眠ることには多少の効果はありますが、埋め合わせにはならないのです」とミシガン大学睡眠障害センターで神経学を専門とするキャシー・ゴールドスタイン博士は語っています。科学誌のNatureに掲載された研究結果がゴールドスタイン博士の主張を裏付けており、同研究によると、1時間の睡眠負債でさえ埋め合わせをするためには4日間の十分な睡眠が必要であり、多少長めに眠るだけでは睡眠負債を清算することはできないそうです。一晩徹夜したり、多少早起きしたりしても大したことはないと感じる人もいますが、不規則な睡眠により人の体内時計、すなわち日中の覚醒と夜間の睡眠を促すホルモンレベルを調整するシステムは確実に変調をきたします。

By @Matthew_T_Rader

人の体内時計は21時ごろから睡眠を促すホルモンであるメラトニンを分泌しはじめます。そして、その分泌量は翌日の午前中に降下するまで高い状態を維持します。夜の間にPCやスマートフォンの画面を見ることで多少入眠しづらくなっても、安定した睡眠習慣を維持すれば体内時計に狂いが生じることはありません。しかし、少しでも睡眠習慣が不規則になれば途端に体内時計に影響が現れます。夜更かしを続けると次第に夜になっても眠くならないようになってきますが、それは眠らなくてもよくなったというわけではありません。「眠りにつきにくいと感じるようであれば、体内時計が変化してしまっている兆候です」とゴールドスタイン博士は言います。

By lightzone

不規則な睡眠が健康に与える悪影響は夜間勤務の労働者に顕著で、がんや認知機能の低下、早期の死亡リスクが高くなるという記録があります。しかし、ゴールドスタイン博士は「あらゆる形態のシフト勤務には健康上のリスクがあります」と指摘しています。科学誌Current Biologyに掲載された調査結果によると、10日間連続して十分な睡眠を取った人に比べて、睡眠不足の人はより多く朝食を食べてしまい、代謝も悪化してしまうことが分かっています。また、1時間睡眠不足になると、翌日200kcalも余分にカロリーを摂取してしまうという報告もあります。

ゴールドスタイン博士によると、1度睡眠不足になってしまった場合は寝だめよりも昼寝の方が効果的だとのこと。アメリカの睡眠研究に関する国立非営利団体National Sleep Foundationの発表でも、たった20分の昼寝であってもリフレッシュ効果が認められることが分かっています。また、休日に規則的な睡眠を心がけることで、平日の睡眠の質を改善することもできると期待されています。

By tommyandone

「もっとも、最終的には毎日十分な睡眠を取ることが目標です。そうすることでパフォーマンスが最大限に発揮できれば、結果的に時間を有効活用することができます」とゴールドスタイン博士は語っています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「週末の寝だめは死亡リスクを下げる」という研究結果が発表される - GIGAZINE

睡眠不足は「不安」を招くことが脳の研究から明らかに - GIGAZINE

「睡眠不足は後でたくさん寝れば取り返せる」という説を専門家はどう思っているのか? - GIGAZINE

素早く深い眠りに落ちて睡眠の質を高め「快適な朝」を迎えるための方法 - GIGAZINE

足りない睡眠時間を埋めるにはどうしたらいいのか? - GIGAZINE

睡眠が阻害されるとDNAのダメージが修復されずに死の危険さえあるとする研究結果 - GIGAZINE

in メモ,   サイエンス, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.