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自動運転車の事故率はどれくらいなのか?を8000万kmの走行記録で検証



Googleの自動運転車開発部門が2016年に分社化して誕生したWaymoは、既に人間の運転手なしでのタクシーサービスなどを展開しており、これまでの走行記録を公開しています。AIに明るい記者のティモシー・B・リー氏がWaymoの走行記録を精査し、「人間が運転するよりもはるかに安全」と結論付けています。

Waymo has had dozens of crashes—almost all were a human driver's fault
https://www.understandingai.org/p/human-drivers-keep-crashing-into


Waymoが展開する自動運転タクシーサービス「Waymo One」では、2024年12月に運転手なしの累計走行距離が5000万マイル(約8000万km)を突破しました。もちろん無事故ではなく、これまでに多数の事故が発生しています。2025年1月には「無人のWaymoが赤信号で停止し、後続の車も停止したところに人間が運転するSUVが高速で進入して追突。最終的に6台の車が絡む玉突き事故となり、1人と犬1匹が死亡し、5人がけがを負う」という初の死亡事故が発生。また、2024年10月には「自動運転のWaymoが赤信号で停止したところ、対向車線の車両が中央線を越えて衝突し、1人が重傷を負う」という事故が発生しています。

連邦規則により、Waymoの車両に過失があったかどうかに関わらず、仮に事故発生時にWaymoが動いていなかった場合でもWaymoは事故についての報告義務があります。リー氏がWaymoの事故報告を精査した結果、上記の事故のように「Waymoが交通規則を守っているのに人間がスピード違反や信号無視、車線逸脱などの交通規則に違反する行為をして事故が発生する」といういわゆる「もらい事故」がほとんどであることが明らかになりました。


例えば、2024年7月から2025年2月の期間において、Waymoは負傷もしくはエアバッグの展開が発生した深刻な事故を38件報告していますが、Waymoの責任が明らかなものは1件しかなく、3件が責任を断定できず、その他の34件はもらい事故の可能性が高いとのこと。具体的には、34件のうち16件においてWaymoの車両は停車中であり、8件は追突され、5件は相手の信号無視もしくは一時停止義務違反でした。

Waymoの責任が無さそうな残りの5件の事故のうち、3件は乗客がWaymoを降りようとドアを開けたところに後続の車やバイクが衝突したもので、2件は衝突が記録されなかった事故でした。衝突が記録されなかった事故のうち1件はWaymoが車線変更の準備としてわずかに進行方向を変更したところ、隣を走っていた車の運転手が驚いて急ハンドルを切り、縁石に衝突しました。もう1件はWaymoの前を歩行者が通り過ぎた後、Waymoが発進したところ、歩行者がUターンしてWaymoに近づき、「Waymoとぶつかって軽傷を負った」と主張しました。


一方、明らかにWaymoに責任がある事故の例としてリー氏は2024年12月の事故を取り上げています。この事故ではWaymoがプラスチックの箱に衝突し、隣の車線を走っていたスクーターが飛んできた箱にぶつかって転倒しました。その他、責任を断定できない3件はいずれもいわゆる「右直事故」で、Waymoが直進していたところに別の車両が侵入してきたとのこと。

3件の責任がどちらにあるにせよ、その他多数の重大事故においては事故を引き起こしたのは自動運転のWaymoではなく人間側にあることが分かります。Waymoは走行距離あたりの事故率を人間が運転した場合と比較し、エアバッグが展開される事故が83%減少し、負傷につながる事故は81%減少したと推定しています。


Waymoに責任がある場合に限ると事故はさらに減少し、Waymoと保険会社の共同調査によるとWaymo側に損害賠償が発生する確率は人間と比べて90%減少するとのこと。

「自動運転車の方が人間が運転する車より事故が少なくて安全」という調査データを日本展開を予定するWaymoが発表 - GIGAZINE


また、リー氏は過去のWaymoの事故記録と比較して走行距離当たりの重大事故件数が減少している事に触れ、「自動運転車の安全性は年々向上を続けている」と述べました。

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