2024年は世界54カ国で296件ものインターネット遮断が行われミャンマー・インド・パキスタン・ロシアの4カ国で約70%を占めた

インターネット検閲の調査を行っているデジタル権利の擁護団体・Access Nowが、世界各国のインターネット遮断についてまとめたレポートの2024年版を公開しました。2024年にはインドやロシア、ミャンマーを含む世界54カ国でインターネット遮断が行われたと報告されています。
Lives on hold: internet shutdowns in 2024 - Access Now
https://www.accessnow.org/internet-shutdowns-2024/

KeepItOn-2024-Internet-Shutdowns-Annual-Report.pdf
(PDFファイル)https://www.accessnow.org/wp-content/uploads/2025/02/KeepItOn-2024-Internet-Shutdowns-Annual-Report.pdf
Why 2024 Was The Worst Year for Internet Shutdowns | TechPolicy.Press
https://www.techpolicy.press/why-2024-was-the-worst-year-for-internet-shutdowns/
Global internet shutdowns hit record high in 2024 as governments block access
https://www.axios.com/2025/02/24/global-internet-blackouts
Access Nowは新たなレポートで、2024年には世界54カ国で合計296件のインターネット遮断が確認され、過去最多だった2023年の40カ国を超えて過去最多を記録したと報告しました。インターネット遮断のうち47件は年をまたいで2025年に入っても継続しており、35件は1年以上続いているとのこと。
インターネット遮断の約70%はミャンマー・インド・パキスタン・ロシアの4カ国で発生し、これらの国では合計203件のインターネット遮断が実行されました。最もインターネット遮断が多かったのはミャンマーの85件で、政権主導の少なくとも6つの団体によってインターネットが遮断されたそうです。次に多かったのがインドの84件で、パキスタンの21件、ロシアの19件と続きます。なお、ロシアが行ったインターネット遮断には、ウクライナの占領地域で行われたものが7件含まれています。
2024年に初めてインターネットを遮断した国には、ギニアビサウやコモロ連合、モーリシャス、タイ、マレーシア、エルサルバドル、そしてフランスの7カ国が挙げられています。
フランスがインターネットを遮断したと聞くと意外に思う人もいるかもしれませんが、フランス政府は2024年5月、フランスの海外領土であるニューカレドニアで起きた暴動を抑えるためにTikTokをブロックしました。Access NowはこうしたSNSのブロックも、インターネット遮断の一種として数えています。なお、最も多くブロックされたSNSはX(旧Twitter)で24件、次いでTikTokの10件、そしてSignalの9件と続きます。

インターネット遮断の最も大きな理由となっているのは紛争で、2024年には紛争に関連して11カ国で全103件のインターネット遮断が行われたと報告されています。また、抗議行動に関連した遮断が74件、試験に関連した遮断が16件、選挙関連の遮断が12件となっています。
さらにAccess Nowは、「抗議者の殺害」「民間人を標的にした空爆」「人道支援の阻止」といった重大な人権侵害を隠ぺいするために、17カ国で72件のインターネット遮断が実行されたと主張しています。
インターネットを遮断するのは必ずしも自国政府というわけではなく、ロシアがウクライナで、あるいはイスラエルがガザでインターネットを遮断するなど、国外のインターネットを遮断したケースもあります。Access Nowによると、タイや中国がミャンマーでインターネットを遮断したケースも報告されているとのこと。
インターネット遮断に反対するAccess Nowのキャンペーン・#KeepItOnのマネージャーであるフェリシオ・アントニオ氏は、「当局と紛争当事者は2年連続で、戦争の武器として、また集団的懲罰のツールとして、前例のない数のインターネット遮断を行いました。これにより地域社会がデジタルの闇に追いやられ、重大な人権侵害が隠ぺいされました」と述べました。

Access Nowのレポートでは、当局によるインターネット遮断はジャミングデバイスやケーブルの切断、インフラの破壊、インターネットサービスプロバイダ(ISP)などさまざまな手段を通じて行われたことも報告されています。ミャンマーでは、地球低軌道の人工衛星を利用した衛星インターネットサービスを標的にしたケースもあったそうで、これは調査開始以来初めてだとのこと。
Access Nowの研究リーダーであるザック・ロッソン氏は、「加害者たちが反対意見を封じ込めるための戦術をより巧妙化させるに伴い、市民社会と人権擁護者である私たちの対応もまた、より洗練されたものにせざるを得ません。基本的人権がかかっているため、世界中のインターネット遮断に対する不屈の戦いには、集団的かつ協調的な取り組みが必要です」と述べました。
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in ネットサービス, Posted by log1h_ik
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