デジタル化した現代で登場人物に電話やネットを使わせない方法と重要なポイントとは?

ミステリーやスリラーなどの物語では、謎や恐怖を強めるために登場人物を孤立させることがしばしばあります。しかし、携帯電話の普及やインターネット回線の発達により、現代を舞台にした物語で完全に外界から遮断された状況を作り出すのは難しくなっています。現代の情報社会で登場人物を孤立させるためのアイデアと、その際に抑えておくべき重要なポイントについて、作家兼編集者のローラ・マクラスキー氏が解説しています。
Laura McCluskey ‹ CrimeReads
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何らかの事情で他の場所と行き来できなくなった状態で進む物語のことを、ミステリ用語でクローズド・サークルと呼びます。古いクローズド・サークルの物語では、事件が起きたのに警察と連絡が取れなくなったり、その場所から出ることができないため重要な情報を調べることができなくなったりと、行動が制限されることで緊張感が高まります。
一方で、現代社会で外界から隔離された場所を用意したとしても、ほとんどの人が常にスマートフォンを身に付けています。また、「絶海の孤島」と呼ばれるような島でもよっぽどの無人島でなければインターネットがつながることも多いです。現代を舞台にして現代的な通信手段がある場合、どのように登場人物を孤独にし、どのようにGoogle検索で情報を得させないか工夫する必要があります。
マクラスキー氏は、現代が舞台でもクローズド・サークルに登場人物を配置する方法として、よく使われる方法を以下の3パターンに分けています。
1:登場人物がテクノロジーにアクセスできないよう遮断する
何らかの方法で電話もインターネットも圏外にすることで、古い時代と同じ隔離状況を作ることは可能です。ただし、マクラスキー氏は「国際宇宙ステーションの宇宙飛行士とZoom通話ができる現代で、地球上にいて一切通信手段がないという状況は、作ることはできても読者が受け入れづらい状況です」と指摘しています。
テクノロジーへのアクセスを遮断するためには、物理的に使用不可能にする以外の方法もあります。たとえば、厳重に監視されている状況では、盗み聞きやハッキングで情報が漏れることを恐れて、スマートフォンの使用を避ける可能性があります。また、情報にあふれた社会だからこそ、スマートフォン嫌いの登場人物を出したり、デジタルデトックスのためにスマートフォンを手放している際に事件に遭遇したりといった限定的な状況も考えられます。

2:独自の隔離設定を検討する
「絶海の孤島」や「鍵のかかった建物」などはクローズド・サークルの定番ですが、登場人物を外界から隔離するさらなる方法として、特定の場所ではなく「移動中」があります。クルーズ船や飛行機、潜水艦などでは、通信手段を持っていて助けを呼ぶことはできるかもしれませんが、トラブルが収束するまでに助けがその乗り物に追いつくことが難しくなります。
また、クローズド・サークルとは異なりますが、「狭い空間に閉じ込められる」というのも外界から登場人物を隔離する方法として使われることがあります。監禁状態にある人は、デジタル社会の恩恵を受けることができません。
3:心理的、社会的孤立
構築するのは難しいものの効果的な孤立方法としては、登場人物を心理的および社会的に孤立させるアイデアです。登場人物が周囲の人々のうち誰が味方で誰が敵か迷っている状況では、スマートフォンを所持してインターネットにアクセスできる場所でも、登場人物は明確に孤立します。また、 A・J・フィンの「The Woman in the Window」という作品では、隣の家で殺人を目撃した女性が警察に通報するものの、女性が病気にかかって幻覚を引き起こす可能性がある薬を服薬していたことから、誰も話を聞いてくれないという社会的孤立状態に陥ります。
3種類の孤立方法を総合して、マクラスキー氏は「どんな理由を使おうとも、とにかく意味をなすようにすることが重要です」と語っています。現代において隔離状況を正当化するためには何らかの特別な状況を設定する必要がありますが、ポイントはそれで隔離できるかどうかよりも、読者が受け入れてくれるかどうかです。「この登場人物はスマートフォンが好きではない」という単純な理由でも孤立した状況を正当化することはできますが、現代の若い読者は電話を持っていない時を知らないほどスマートフォンになじんでいるため、受け入れにくい可能性があるとマクラスキー氏は指摘しています。
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