サイエンス

コーヒーを飲むのは「朝」がベストなことが研究で裏付けられる


毎朝コーヒーを飲むことが習慣になっているという人は多いはず。そんな人には朗報なことに、コーヒーの健康へのポジティブな影響は1日のどのタイミングで飲むかによって異なり、特に午前中に飲むと効果的だとの研究結果が報告されました。専門家は、コーヒーをいつ飲むかが健康にどう影響するかが確認されたのはこれが初めてだと述べています。

Coffee drinking timing and mortality in US adults | European Heart Journal | Oxford Academic
https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehae871/7928425

Start your day with a morning coffee! | European Heart Journal | Oxford Academic
https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehae823/7928645

Morning Coffee Timing Linked to Longer Life and Better Heart Health
https://scitechdaily.com/morning-coffee-timing-linked-to-longer-life-and-better-heart-health/

査読付き医学雑誌・European Heart Journalに掲載された2025年1月8日付の論文で、アメリカ・チューレーン大学のルー・チー教授らのチームは、コーヒーを飲むタイミングと健康や死亡リスクの関連性を分析する研究を発表しました。


この研究ではまず、アメリカの保健福祉省が1999~2018年に実施した栄養調査(NHANES)の参加者4万725人のアンケートのデータから、コーヒーを飲む習慣のパターンの特定が行われました。そして、女性看護師と男性看護師を対象とした2つの調査で非常に正確な食事記録を提供した男女1463人のデータを用いて、各パターンの人が実際にいつ、どれくらいのコーヒーを飲んでいるかを検証しました。

その結果、コーヒーを飲むパターンは朝の4時から11時59分までの午前中に集中してコーヒーを消費する「朝型パターン」と、1日を通じて分散されたタイミングでコーヒーを飲む「終日型パターン」の2つに大別できることがわかりました。


具体的には、NHANESの参加者4万725人のうち36%の人が朝型パターン、16%の人が終日型パターンで、残りの48%がコーヒーを飲まない人でした。一方医療関係者にはコーヒー党が多く、各調査に参加した女性772人と男性691人のうちそれぞれ61%と62%が朝型パターンで、19%と18%が終日型パターン、残りの20%がコーヒーを飲まない人でした。

そして、コーヒーの消費パターンと、医療記録から抽出した健康および死亡データの関係を分析した結果、朝型パターンの人はコーヒーを飲まない人に比べてあらゆる死因での死亡リスクが16%低く、特に心血管疾患で死亡するリスクは31%低いことが判明しました。一方、終日型パターンの人は、コーヒーを飲まない人とそれほど変わりませんでした。

朝型パターンの場合、コーヒーを飲む量は適量もしくはやや多めな方が恩恵が多く、1日の平均摂取量と死亡リスクの低下率の関係は「0杯超~1杯以下」で15%、「1杯超~2杯以下」で16%、「2杯超~3杯以下」で28%、「3杯超」で21%という結果でした。統計的には、「1杯超~2杯以下」「2杯超~3杯以下」「3杯超」の結果が有意と評価されています。一方、終日型パターンではコーヒー摂取量と死亡リスクの間に有意な関係は見られませんでした。


以下は、全死因(左)と心血管疾患(右)による死亡リスクを縦軸に、コーヒーの摂取量を横軸にした場合における、朝型パターン(青線)と終日型パターン(赤線)の違いを表したグラフです。朝型パターンの人が多めにコーヒーを飲むと、より大きく健康リスクが低下する傾向があることが視覚的に示されています。


チー氏はこの結果について「これはコーヒーを飲むタイミングや習慣が健康に与える影響を調べた初めての研究です。私たちの研究結果は、コーヒーを飲むかどうか、どれだけ飲むかだけではなく、いつコーヒーを飲むかも重要であることを示しています」と述べました。

朝にコーヒーを飲んだ方が体にいいのは、コーヒーが概日リズムに影響を与えるからではないかと、専門家は考えています。


ロンドンにあるロイヤル・ブロンプトン・アンド・ヘアフィールド病院のトーマス・F・リュッシャー教授は、European Heart Journalに寄稿したこの研究の論説で、昼過ぎや夕方にコーヒーを飲むと交感神経活動の概日リズムが乱れる可能性があると述べました。

事実、一日中コーヒーを飲む人の多くが睡眠障害に悩まされていることはよく知られています。また、コーヒーに含まれるカフェインには睡眠を誘発するホルモンであるメラトニンを抑制する働きがあることも指摘されています。

つまり、コーヒーの摂取は健康にいい影響を与えるものの、1日の遅い時間に飲んで生活リズムが崩れると、せっかくの効果が相殺されてしまう可能性が高いということです。

リュッシャー氏は「コーヒーを飲むのは健康にいいという確固たる証拠がありますが、どうせなら朝に飲むようにしたほうがいいでしょう」と呼びかけました。

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in サイエンス,   , Posted by log1l_ks

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