ネットサービス

わずか9つのYouTubeチャンネルがトランプ政権の誕生に大きく影響を与えていた


2024年11月5日に行われた2024年アメリカ合衆国大統領選挙の結果、第47代アメリカ合衆国大統領としてドナルド・トランプ氏が就任し、2025年1月20日には大統領就任式が行われました。海外メディアのBloombergによる分析で、トランプ大統領の勝利には影響力のあるYouTuberやポッドキャスターによる、右派的な政治動員が大きな役割を果たしていたことが明らかになりました。

How 9 Popular YouTubers Helped Trump Win a Second Term
https://www.bloomberg.com/graphics/2025-youtube-podcast-men-for-trump/


YouTubeは18歳から49歳のアメリカ人の90%が利用しており、ティーンエイジャーの75%が毎日利用しているという一大動画共有プラットフォームです。近年では、ポッドキャスターのジョー・ローガン氏やセオ・ヴォン氏、ローガン・ポール氏を筆頭に、多くのYouTuberやポッドキャスターが若者世代にとって重要な情報源となっています。

Bloombergは、ジョー・ローガン氏、セオ・ヴォン氏、ローガン・ポール氏、アディン・ロス氏、アンドリュー・シュルツ氏、The Nelk Boys氏、レックス・フリードマン氏、パトリック・ベト・デイビット氏、ショーン・ライアン氏のチャンネルに投稿された2000本以上の動画を分析。これにより、ローガン氏らインフルエンサーが発進するメッセージとその影響力を数値化することに成功しました。なお、これらのチャンネルの視聴者は主に男性で、番組のリスナーの約80%を占めています。

調査の結果、分析対象期間中に100万回以上再生された動画の3分の1以上が、投票や選挙について言及しており、多くの場合、インフルエンサーが視聴者に対し、投票を呼びかけるものでした。また、これらのインフルエンサーは「インフレによる物価高、国境を越える移民の流入、第三次世界大戦の始まりによってアメリカは絶望的な状況に陥っている」と主張しているほか、ジェンダー問題や教育、医療機関に対する不信感をあおるメッセージを発信しています。これらのメッセージは、トランプ大統領の就任演説と一致しており、調査を行ったインフルエンサーがトランプ大統領の政治的議題を支持する動きを強めていることが指摘されています。


こうしたインフルエンサーは、スポーツやジェンダー論、インターネット文化、ギャンブルなどの話題を交えながら、政治的な主張を発信しており、これにより、政治に関心の薄い視聴者にも受け入れられやすくなっているとのこと。また、ゲストにはアスリートやミュージシャン、コメディアン、起業家、インターネットのインフルエンサーなどが多く、政治家や政治専門家は一部にすぎませんでした。しかし、大統領選が近づくにつれて、政治家や専門家の出演数が増加し、選挙に関する議論を積極的に行いました。

ポッドキャストにゲストとして登場し、視聴回数が多い人物としては、トランプ大統領のほか、タッカー・カールソン氏、イーロン・マスク氏が上位にランクインしています。これらのゲストとインフルエンサーは、選挙や移民、ジェンダー、戦争、経済などの問題を繰り返し議論し、視聴者に強く共感されるコンテンツを提供しています。

以下は今回調査を行った9人のインフルエンサーが、2022年11月1日から2024年11月21日にかけて自身の動画にゲストとして招いた人物のジャンルを示したグラフです。なお、政治家や政治専門家のゲストの割合は白で示されています。


動画内では、反戦的かつ孤立主義的な立場での戦争に関する議論が行われていたほか、トランスジェンダーの人々を「逸脱した存在」として描き、男女二元論の考え方を強調するトピックも存在しました。ローガン・ポール氏のポッドキャスト番組に登場したトランプ大統領は移民を「テロリスト」と呼んだほか、「もしも当時自分が大統領だったならば、ロシアによるウクライナ侵攻は決して起こらなかったでしょう」と主張しています。

The Donald Trump Interview - IMPAULSIVE EP. 418 - YouTube


これらのインフルエンサーは、「アメリカの男性がこれまでの民主党政権によって力を奪われた被害者」というメッセージを強調しています。Bloombergによると、18歳から23歳の若者世代は、将来に対する悲観的な見方が強いため、こうしたメッセージは彼らに共感と安心感を与えているとのこと。また、一部の視聴者は「ポッドキャストを視聴することは多くの情報を得ることにつながる」と考えており、ポッドキャスト番組で行われるインタビューが、政治家に対する認識を変化させる可能性が指摘されています。Bloombergは「トランプ大統領のポッドキャスト番組への出演は、民主党が描くイメージとは異なる印象を与え、若い視聴者からの支持を大きく集めるきっかけとなりました」と述べています。

トランプ大統領はこれらのインフルエンサーを「代替報道機関」として扱っており、彼らからの支持を得ようとしています。選挙後も、インフルエンサーはトランプ政権との関係を深めており、今後のトランプ大統領の政策決定にもインフルエンサーが大きな役割を果たす可能性があるとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
イーロン・マスクのTwitterにお金を払っているのは一体誰なのか?アダルトパフォーマーや極右インフルエンサーなどその正体が明らかに - GIGAZINE

アメリカ人の21%が「SNS上のインフルエンサーからニュース情報を得ている」と回答、どんな人がインフルエンサーを情報源にしがちなのか? - GIGAZINE

YouTubeでクリエイターがお金を稼ぐための10の機能まとめ - GIGAZINE

9歳で年間30億円超を稼ぐ世界有数のYouTuberが採用する「YouTube以上に稼げる手法」とは? - GIGAZINE

YouTubeがロシアから資金提供を受けていたとされる右翼インフルエンサーのチャンネル4件を閉鎖 - GIGAZINE

カマラ・ハリス陣営がTwitchチャンネルを立ち上げて指名受諾演説をストリーミング - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by log1r_ut

You can read the machine translated English article Just nine YouTube channels had a major i….