ホテルを所有していないマリオット・ヒルトン・ハイアットがホテルでお金を稼ぐ仕組みとは?
マリオット、ヒルトン、ハイアットなどの有名ホテルブランドが、ホテルを所有することも経営することもせずに利益を上げる仕組みを、The Wall Street Journalがわかりやすい解説ムービーにして公開しています。
Why Marriott, Hilton and Hyatt Don’t Actually Own Most of Their Hotels | WSJ The Economics Of - YouTube
マリオットホテルは2000年代以降、規模を3倍以上に拡大させました。
成長のきっかけとなったのは、マリオットホテルが不動産事業から撤退し、ブランド名を商品化する戦略をとったことです。
ヒルトンやハイアットも同様の戦略を採用し、同様に成長しています。
このビジネスモデルでは、各ホテルブランドはホテルを運営せず、それらの建設費用を払うこともありません。あるホテルの支配人の男性は「私たちのような独立系のオーナー兼運営者がホテルを所有し、スタッフを雇っています。多くの人は私たちをマリオットの社員だと思っていますが、実際にはそうではありません」と話します。
こうしたオーナーは身銭を切って不動産を購入し、従業員を雇い、日々ホテルを運営します。そして、業界内で「フラッグ(FLAGS)」と呼ばれる大手ホテルの看板を使用するために、ホテルチェーンに料金を支払っています。
マリオットとヒルトンが所有しているのは全物件の1%未満、ハイアットでも約2%に過ぎません。しかし、この戦略のシフトにより大手ホテルブランドはフランチャイズ料という新しい収入を得ることが可能になりました。
フランチャイズ料は、ホテルが生み出す収益の5~15%に上ることもあります。そのため、ホテルブランド各社は自社ブランドを掲げるに値する価値があることを証明しなければなりません。
ブランドは、ロビーのデザインやアメニティに関するデータだけでなく、各部屋ごとに最適な価格を設定するためのデータも提供しています。例えば、近くで有名歌手のコンサートが開かれると、近隣のホテルの宿泊料は跳ね上がります。
ホテルのオーナーは「例えば火曜日だけ部屋を売ると、水曜日に空室になってしまって損なので、火曜日には非常に高い価格で部屋を売るというケースがあります。私たちが実際に望んでいるのは、月曜日から水曜日までとか、火曜日から木曜日までの宿泊客です」と話しました。
このように価格を流動的に変更することで、収益性の低い日の穴埋めが可能です。なお、オーナーによると、日曜日はビジネスでもレジャーでもほとんど旅行が行われないので非常に客室稼働率が低いとのこと。そのため、日曜日にはただ同然の価格で部屋を提供しているそうです。
ブランドのもうひとつの魅力は、ExpediaやBooking.comなどの予約プラットフォームの手数料が抑えられる点や、ブランドのロイヤリティプログラムを使える点です。マリオットとヒルトンはそれぞれ1億8000万人以上、ハイアットは4000万人以上のユーザーを抱えており、それらのユーザーはポイントを目当てにホテル選びをしてくれます。
アメリカにあるホテルの3分の2がこうした形でブランド化されていますが、フランチャイズモデルが必ずしも有利であるとは限りません。特に、レジャー需要が高い市場などでは、独立運営の方が有利な場合があります。
フランチャイズが展開されるのは、主に比較的ランクが低いホテルです。
場合によってはブランド自身がホテルを運営することがあり、そのようなホテルは主に最高ランクのホテルです。
多くのホテルでは、「素晴らしい客室と簡単な朝食サービスは欲しいけど、宴会場や専門レストラン、スパは要らない」という具合に、ニーズに応じて提供するサービスが限定されています。しかし、最高ランクのホテルではすべてのサービスが求められるので、運営も複雑になります。最高ランクのホテルはブランドが自ら運営を手がけていることが多いのは、これが理由です。
時には、新しいアイデアやデザインを試すために、ホテルブランドがあえて直接ホテルを運営することがあります。また、最初からホテルを売却することを念頭に不動産を購入し、全面改装して価値を高めてから売ることもあります。
The Wall Street Journalは「フランチャイズされたホテルの数は今後さらに増加すると予想されます」と述べました。
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