レビュー

運と戦略でポイントを稼ぎ女王の寵愛を獲得するボードゲーム「クルティザン」レビュー


「廷臣」と呼ばれるカードを使い、女王の食卓に集まった6つの「家」の地位を上げたり下げたりしてポイントを稼ぐゲームが「クルティザン」です。評判の良い家の廷臣を集めればポイントを獲得できますが、ゲームルールに「廷臣を他のプレイヤーに押しつける」というものがあり、評判の悪い廷臣を無理やり集めさせられてポイントが下がってしまうこともあるのが面白さの1つ。そんなクルティザンをホビージャパンから提供してもらったので、実際に遊んでみました。

クルティザン | ANALOG GAME INDEX
https://hobbyjapan.games/courtisans/

これが「クルティザン」のパッケージ。


中にはゲームマットとカード、説明書が入っていました。


カードは大きく分けて「密命カード」と「廷臣カード」の2種類です。以下は「密命カード」で、カードごとにそれぞれ異なる目標が書かれています。目標を1つ達成すれば3ポイントゲット。白と緑の2色があり、プレイヤーごとに各色1枚ずつ、計2枚配られます。


これは「廷臣カード」です。ゲーム中は廷臣カードをお互いにやりとりします。


廷臣カードの中には4隅に特別なシンボルが描かれているものもあり、シンボルが描かれたカードは「役職カード」として扱われます。以下の「×2」と書かれているカードは「貴族」で、常に廷臣カード2枚分として計算されるというものです。


以下がゲームマットで、ゲーム中は「女王の食卓」とも呼ばれます。中央の女王を挟むように座る6人の廷臣は、それぞれ各自の「家」を代表しているという設定で、左から順番にチョウ、カエル、鳥、女王を飛ばしてウサギ、鹿、魚のシンボルが割り当てられています。


早速セットアップを行います。今回は4人でプレイ。まずはプレイヤーの人数に応じてランダムに廷臣カードを取り除く作業です。クルティザンのプレイ人数は2~5人ですが、2人の場合は廷臣カードを30枚、3人なら18枚、4人なら6枚取り除き、箱の中に戻しておきます。5人の場合は何もせず、90枚ある廷臣カードをすべて使用します。


次に、テーブルの中央に女王の食卓を設置。


廷臣カードを裏向きでシャッフルし、各プレイヤーに3枚ずつ配ります。残りの廷臣カードはゲームマットのそばに裏向きで配置し、デッキとして扱います。


最後に白と緑の密命カードを1枚ずつ、各プレーヤーに裏向きで配布します。これでセットアップは完了。各プレイヤーは自分に配られた廷臣カードと密命カードの表側を確認し、スタートプレイヤーを決めてゲームをスタートさせます。


クルティザンのゲームの流れは以下の通りです。
・手番が来たプレイヤーは、3枚の廷臣カードを「女王の食卓」「自分の前」「相手プレイヤー1人の前」という3つのエリアに1枚ずつ置く
・デッキから3枚の廷臣カードを引く
・次のプレイヤーに手番を移す

実際にプレイしてみます。初手プレイヤーがまず行ったのは「女王の食卓に置く」という動き。女王の食卓に廷臣カードを置く場合、基本的には廷臣カードと同じ家の「上側」または「下側」にカードを置く必要があります。


ゲーム終了時、女王の食卓の上側にあるカードの枚数が下側にあるカードの枚数を上回った場合、その家は「寵愛を受けた」という状態になり、反対に下側のカードの枚数の方が多い場合、「不興を買った」という状態になります。

貴族も含めて計算するとゲーム終了時には以下のようになります。一番左の白い「チョウ家」は上が2枚、下が1枚なので寵愛を受けているという判定。左から2番目の赤い「鳥家」は上も下も2枚ですが、下には「貴族」が1枚あるので合計3枚分のカウントになり、不興を買いました。一番右にある上と下が同数の「魚家」は中立です。


次に初手プレイヤーは自分の前に廷臣カードを置きました。自分の前に置いたカードはゲーム終了時にそのままポイントとなり、寵愛を受けた家の廷臣カードなら1枚につきプラス1ポイント、不興を買った家の廷臣カードなら1枚につきマイナス1ポイントという計算になります。つまり、「女王の食卓に置く」フェイズで家の評判を操作しつつ、評判が高くなりそうな家の廷臣カードを自分の前にどんどん並べていくという行動が必要になってくるというわけです。


加えて、最初に配られていた「密命カード」の条件も気にしなければなりません。初手プレイヤーに配られた密命カードの内容は、「左隣プレイヤーが持つ『鹿』の廷臣カードの枚数が自分より多くなるようにする」「マット下側に各家のカードが最低1枚ずつ置かれている状態にする」というものでした。


条件を達成するべく、初手プレイヤーは左隣のプレイヤーの前に「鹿」の廷臣カードを置きました。


廷臣カードを3つのエリアに1枚ずつ置き終わったので、初手プレイヤーはデッキから3枚引いて手番終了です。一連の流れをどんどん繰り返し、デッキが尽きて全プレイヤーが廷臣カードを置き終わった時点でゲーム終了です。


廷臣カードには「貴族」以外にもいろいろあります。以下が「スパイ」で、エリアに置くときは必ず裏向きのままにしなければならないというもの。


女王の食卓に置く場合は中央にある女王の席の上または下に置き、ゲーム終了時に表向きにして、正しい席に置き直します。置き直されるとき、上と下の位置は変わりません。


自分の前に置くときも同様に裏向きのまま。


以下は廷臣カードの1つ、「暗殺者」です。エリアの1つに暗殺者を配置したプレイヤーは、同じエリアにある廷臣カード1枚を選び、抹殺することが可能。抹殺されたカードはゲームから除外されます。


これは「衛士」で、暗殺者により暗殺されないカードです。効果はシンプルですが、廷臣カードの中で唯一除外されないカードなので、女王の食卓の下側において「この家は絶対に不興を買わせる」という意思を示したり、不興を買う可能性が高い家の衛士を他人に押しつけたりできるなど、戦略的に重要なカードの1つです。以上、廷臣カードはノーマルカード、貴族、スパイ、暗殺者、衛士の5種類存在します。


クルティザンでは、全プレイヤーが家の評判を左右しつつ廷臣カードを集めていくわけですが、ゲーム序盤だとどの家の評判が悪くなるのかはとても予想できません。


そんなときはプレイの方向性を固めるための指標として「密命カード」が使えます。初手プレイヤーは「マット下側に各家のカードが最低1枚ずつ置かれている状態にする」という密命カードを引いていたので、とりあえずすべての家の下側に廷臣カードを置くというのを1つの目標としてプレイし、無事3ポイントを獲得しました。


プレイヤーの中には、「スパイ」を女王の食卓に複数枚置いて評判をコントロールしようとする人もいました。スパイが何なのかは最後まで「置いた本人」しかわからないので、スパイを置いた人ほど評判を予想するのが容易なのです。ただ、このプレイヤーは自分の前に他人からスパイを置かれまくっていて、結局のところ最後まで勝負がわからなかったという状態でした。


最終的に、各家の評判は以下の通りになりました。カエル、鳥、魚の3つが「中立」で、寵愛を受けたのはチョウと鹿の2つだけ。黄色いウサギ家は不興を買っています。


プレイヤーの点数は4ポイントから9ポイントまでさまざま。9ポイントを獲得したプレイヤーの1人は、序盤から評判が高かった「鹿家」の廷臣カードを7枚も集めていました。「鹿家」はどのプレイヤーも「高くあるべき」と考えていたのか、不評側にほとんどカードが置かれなかった家の1つ。評判が高くなりそうなことを察知したプレイヤーが廷臣カードを手堅く集めて1位タイです。スパイで場のコントロールを試みたプレイヤーは廷臣カードから3ポイントしか得られませんでしたが、密命カードを2枚ともクリアすることで点数を稼ぎ、同じく9ポイントを獲得しました。


密命カードには「頑張れば自分の力だけでクリアできそう」という絶妙なレベルの内容が書かれているのでぜひともクリアしたいところですが、密命カードだけを突き詰めても6ポイントにしかならないので結局のところ廷臣カードを集めないといけないというジレンマがあります。とはいえ、自分で評判の高い家のカードを集めるにしても「最後の最後に評判が悪くなって自分の手持ちカードが全部マイナスになったらどうしよう」という懸念が常につきまとい、かなり運に左右されるという印象があります。


クルティザンは全体的にルールがかなりシンプルなことが特徴で、1回プレイしたらすぐ理解できます。他人の目的をなかなかつかむことができないもどかしさとカード運が大幅に絡んでくるゲームですが、完全に運に左右されるわけではなく、ある程度の戦略も必要で、「何回も何回もプレイしていろんな戦略を試したい」と思わせるゲームデザインに仕上がっていました。ルールも非常に簡単で理解しやすく、一見すると相手の邪魔をしているように見えても実はそうではない可能性もあるのでストレスも小さめ。さらに持ち運ぶ箱も小さくコンパクト、コンポーネントも全体的に上質で、カードには箔押しもされており、全体の完成度はかなり高いです。

「クルティザン」は、Amazon.co.jpにて税込4000円で販売されています。

Amazon.co.jp: ホビージャパン クルティザン 日本語版 (2-5人用 20分 8才以上向け) ボードゲーム : おもちゃ

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1p_kr

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