レビュー

あの「カタン」に環境汚染などの要素が加わって協力要素がアップした「カタン エネルギー版」で遊んでみた


カタン」は1995年にドイツで発売され、ドイツ年間ゲーム大賞やドイツゲーム大賞など、著名なボードゲームの賞を多数受賞した、人気の定番ボードゲームです。2024年12月13日に「カタン」をベースにして環境汚染などの要素が追加された「カタン エネルギー版」が登場することになり、今回、発売に先駆けてゲームを借りてプレイする機会を得たので、実際に遊んでみました。

カタン エネルギー版
http://www.gp-inc.jp/boardgame_catan_energies.html

「カタン エネルギー版」のパッケージはこんな感じ。初回販売限定には拡張キットが付属します。


対象年齢は12歳以上で、プレイ人数は3~4人、プレイ時間の目安は90分です。


内容物はこんな感じ。海フレームが6枚、地形タイルが19枚、数字チップが18枚、特別勝利点タイルが2枚、倉庫タイルが4枚、環境破壊マーカーが10個、緑のイベントチップが36枚、茶色のイベントチップが43枚です。


プレイヤーが使用するコマは4色に分かれていて、村コマが各色5個の計20個、研究都市コマが各色4個の計16個、道路コマが各色12本の計48本、勝利点マーカーが各色1個の計4個。このほか、緑の発電所コマが36個、茶色の発電所コマが24個、ダイスが2個、エネルギーコマが20個、イベントチップを入れる袋が1枚。


組み立てて使用するコマ入れが4つ、研究カードが20枚、資源カードが95枚、イベントサマリーカードが3枚、開発カードが25枚、個人ボードが4枚と、内容物は多岐にわたります。


カタン島の地形タイルは「森林」「丘陵」「牧草地」「畑」「鉱山」「砂漠」の6種類で、ベースとなったカタンと同じです。


資源カードは「木材」「レンガ」「天然繊維」「食料」「金属」の5種類があり、カードの背景で対応する地形タイルが示されています。ゲーム中は、該当する地形タイルからこれらの資源が産出されます。


開発カードは「1勝利点」「助成金」「道路建設」「性能向上」「環境保護」の5種類。これらをうまく使うことでゲームを有利に進められます。


茶色のイベントチップは「気候会議」「増産」「大気汚染」「豪雨と洪水」「環境災害」の5種類で、これらのイベントが発生するとカタン島の環境汚染につながります。


ゲームを始める前に、茶色のイベントチップを袋に投入。


環境に良い影響を与える緑のイベントチップは「気候会議」「持続可能な生産」「政府援助」の3種類です。


本来のカタンで「都市」「開拓地」「街道」にあたる「研究都市コマ」「村コマ」「道路コマ」が以下。また、「環境調査官コマ」はベースのカタンで「盗賊コマ」に該当するコマです。


2枚の特別勝利点タイルもカタンから健在。「最長交易路」と「環境保護活動賞」の2種類があります。


さっそく「カタン エネルギー版」を4人でプレイしてみます。まずは海フレームを使って、ゲームの舞台となるカタン島の外枠を作ります。


本来は地形タイルや初期の研究都市コマ、村コマをランダムに配置しますが、今回は「初めてプレイする場合」という初期配置が説明書に掲載されていたので、その通りに並べてみました。資源カードと研究カードを種類ごとに分けてカードホルダーに入れ、ボードの横に置いておくほか、特別勝利点タイルやイベントサマリーカード、エネルギーコマ、環境破壊マーカー、サイコロもボードの横に配置します。


各プレイヤーは個人ボードに村コマ、道路コマ、研究都市コマ、茶色の発電所コマ、緑の発電所コマ、倉庫タイルをセット。


緑の発電所コマの下には、裏向きにした緑のイベントチップをそれぞれ1枚ずつ配置します。


準備が完了するとこんな感じ。


ゲームの基本的な進め方は従来のカタンと同じで、プレイヤーは自分の手番に2つのサイコロを振り、得た資源を使って建設を行って自分の街を広げていき、最終的に勝利点が10ポイントになったプレイヤーが勝利となります。一方で従来のカタンとは異なり、イベントチップの袋が空になってカタン島の環境汚染が深刻になってしまったら、勝利点が10に達する前でもその時点でゲーム終了となります。その場合、建設した緑の発電所と茶色の発電所の差が最も大きいプレイヤーの勝利です。

「カタン エネルギー版」ではプレイヤーは各手番で「イベントフェイズ」「収入フェイズ」「アクションフェイズ」の3つのフェイズを順に行います。まずは「イベントフェイズ」で、プレイヤーは環境汚染トラック上の汚染度マーカーの位置によって示された枚数だけ、袋からイベントチップを引きます。


汚染度マーカーの初期位置は「12」なので、最初のプレイヤーはイベントチップを1枚引くことになります。


引いたイベントチップは海フレームにある同じマークのイベントチップ置き場にセット。イベントチップ置き場に指定されたチップがすべて置かれた場合、さまざまなイベントが発生することになります。


続く「収入フェイズ」は従来のカタンと基本的に同じ。サイコロを2つ振って、出目の合計に対応した数字チップが置かれた地形タイルから、資源を獲得することができます。今回のサイコロの目は「3」。そのため、「3」の数字チップが置かれた地形タイルに隣接するように村や研究都市を建設しているプレイヤーは資源を獲得することが可能。


また、出目の地形タイルに隣接した研究都市を置いているプレイヤーは、その地形タイルに対応する資源カードに加え、研究カードを1枚獲得します。研究カードは発電所の建設に役立つため、非常に重要です。


しかし、時にはサイコロの出目の合計が7になることも。


その場合、7を出したプレイヤーは環境調査官コマを好きな位置に動かします。環境調査官コマが置かれた場所は、サイコロで該当する目が出ても資源を生み出すことができません。また、手持ちのカードが8枚以上のプレイヤーはその半分をストックに戻さなければならず、環境調査官によってゲームの流れが一気に乱されます。


さらに、7を出したプレイヤーは環境調査官を置いた地形タイルに隣接する村または研究都市コマを置いている他のプレイヤーのうち1人から、1枚だけランダムにカードを奪うことができます。


「アクションフェイズ」では「手札やエネルギーコマの交換」「勝利点の獲得や資源の増産のための建設」「その他の特典を得るための購入」の3つを可能な限り、何回でも行うことが可能。

村や研究都市、発電所を建設することで、獲得する資源カードを増やしたり、勝利点を得たりすることができます。建設するには、特定の組み合わせの資源カードや研究カードをコストとして支払うことで、対応するコマを個人ボードからゲームボードに配置します。なお、発電所は村や研究都市のいずれかのへこみ部分に配置します。発電所が置かれた地形タイルに該当するサイコロの目が出た場合、資源カードや研究カードに加え、エネルギーコマを獲得することができます。


しかし、村や研究都市、茶色の発電所を建設すると、その分だけ環境汚染が進みます。個人ボードで見えている「+」マーク1つにつき、プレイヤーの環境汚染度が1つ高くなります。各プレイヤーの環境汚染度を合計した数値が環境汚染トラック上の汚染度マーカーの位置となるので、建設しすぎるとイベントフェイズで引くチップの数が多くなり、ゲーム終了が早まってしまいます。


一方、緑の発電所を建設すると、1つにつき環境汚染度を1下げることが可能。また、緑の発電所コマの下に置かれた緑のイベントチップを袋に加えることができるので、ゲームの継続につながります。緑の発電所は茶色の発電所と比べて建設コストは高いものの、環境に貢献することが可能です。


「その他の特典を得るための購入」では、エネルギーコマや資源カードといった指定のコストを支払うことで、バーストしない手札の枚数を10枚にすることができる「倉庫」や好きな資源カードまたは研究カード、開発カードを獲得することが可能。


開発カードは自分の手番中いつでも1ターンにつき1枚だけプレイすることが可能で、中には勝利点に直結するカードも存在します。


ゲームを進めていくと、茶色のイベントチップのうち「環境災害」のチップがすべて空きマスに置かれました。この場合、ただちにイベントが発生します。なお、発生するイベントはイベントサマリーカードに記載されています。


「環境災害」のイベントでは、手番プレイヤーがサイコロを振り、出目に対応した数字チップすべてに環境破壊マーカーを置かなければなりません。環境破壊マーカーが置かれた村や研究都市、数字チップは、そのマーカーが取り除かれるまで資源カードや研究カード、エネルギーコマを獲得することができなくなります。なお、サイコロで該当する目が出て収入が得られなかった場合やアクションフェイズでエネルギーコマを1個使用する場合、開発カードの「環境保護」をプレイする場合のみ環境破壊マーカーを取り除くことが可能です。


ゲームの進行につれて村や研究都市、茶色の発電所が乱立するようになってきました。


環境汚染トラック上の汚染度マーカーも「22」に達し、袋からイベントチップを2枚ずつ引くことが求められるようになった結果、袋の中のイベントチップはみるみるうちに減少。


ゲームの早期終了を危惧するプレイヤーが、プレイヤー同士で資源カードなどを交換し合って緑の発電所を建設するなどして、袋の中のイベントチップが空になることを懸命に阻止し、協力してゲーム継続を目指していきます。従来のカタン同様、「カタン エネルギー版」でも自由な交換が可能なため、時には「金属3枚とレンガカード1枚対研究カード1枚」という大規模なトレードも行われます。


「緑の発電所を建設して緑のイベントチップを袋に加えてなんとか次のターンにつなげる」という綱渡りが続きます。


最終的に、環境に貢献しつつ村や研究都市を建設し、見事勝利点が10ポイントに到達した黄色プレイヤーの勝利に終わりました。


ゲームをプレイした感想としては、従来のカタンと異なり競争一辺倒ではなく環境を保護するために他プレイヤーと協力しあう必要が生まれることが楽しいポイントでした。「チップが空になった場合、建設した緑の発電所と茶色の発電所の差が最も大きいプレイヤーの勝利」といった勝利条件があることから、環境に貢献せずにプレイして早期決着で勝利することは困難なことがポイントです。また、従来のカタンにあった「ダイスの目に大きく左右される」「先を走るプレイヤーに追いつくことや逆転を狙うことが困難」といった欠点を極力廃しており、ルールは複雑であるものの、遊んでみると非常に白熱するゲームに仕上がっていました。

「カタン エネルギー版」は2024年12月18日から発売され、希望小売価格は税込1万3200円です。

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1r_ut

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