「ユナイテッド・ヘルス」CEO射殺事件の実行犯をモチーフにした画像にDMCA削除要請が出されまくっている
2024年12月4日、アメリカの大手健康保険会社「ユナイテッド・ヘルス」のCEOが射殺される事件が発生しました。すでに容疑者は逮捕されて裁判にかけられているのですが、この被告人の姿などがミームとしてTシャツのデザインなどに用いられる状態となっていて、さらに、「ユナイテッド・ヘルス」を名乗る何者かがDMCAを用いた削除の要請を行っていることが明らかになりました。
Copyright Abuse Is Getting Luigi Mangione Merch Removed From the Internet
https://www.404media.co/email/49070e27-ace8-4a7c-a1fe-40957e3115a4/
'United Healthcare' Using DMCA Against Luigi Mangione Images Which Is Bizarre & Wildly Inappropriate - Above the Law
https://abovethelaw.com/2024/12/united-healthcare-using-dmca-against-luigi-mangione-images-which-is-bizarre-wildly-inappropriate/
ユナイテッド・ヘルスの保険部門CEOを務めるブライアン・トンプソン氏は2024年12月4日、親会社の年次会議に出席するためにニューヨークにあるヒルトンミッドタウンホテルを訪れたところ、ホテルの前の路上で銃撃を受けて死亡しました。
警察は現場から逃走したマスク姿の人物の行方を追い、12月9日、ペンシルバニア州のレストランからの通報を受けて、ルイージ・マンジョーネという男を逮捕。12月17日にはマンハッタン地区検察が第一級殺人などで、被告人を起訴しました。
マンジョーネ被告人は、警察による聴取が行われた際、「最近ニューヨークへ行ったか?」との問いに目に見えて震えるような反応を見せたとのことですが、犯行の認否ははっきりしていません。
一方、トンプソンCEOを射殺したという行為については、ユナイテッド・ヘルスを含む健康保険業界が保険料の支払いを渋る問題などがあってアメリカ国民からの評判がよくないため、あまり強く批判する意見は多くないようで、むしろ、「CEOはすぐ死んだのか、それとも銃創治療が保険でカバーされるかどうかを知ってから数カ月後に死んだのかが、唯一気になるところです」のように、皮肉を言う人が見受けられます。
My only question is did the CEO of United Healthcare die quickly or over several months waiting to find out if his insurance would cover his treatment for the fatal gunshot wound?
— Ian MacAllen (@IanMacAllen) December 4, 2024
さらに、マンジョーネ被告人の釈放を求めるハッシュタグ「#FreeLuigi」はXで5万件以上の投稿があったほか、グッズ化も進められています。
アーティストのレイチェル・ケナストン氏は、マンジョーネ被告人の姿をイラストにした「CEO Shooter Tシャツ」を販売しています。
CEO Shooter - Ceo Shooter - T-Shirt | TeePublic
https://www.teepublic.com/t-shirt/69398609-ceo-shooter?store_id=3160298
ところが、ケナストン氏のもとには販売プラットフォームのTeePublicから、「『UnitedHealth Group Inc』から知的財産権の侵害申し立てがあった」というメールが届いたとのこと。ケナストン氏はイラストが自作であり、ユナイテッド・ヘルスに著作権があるはずがないとして異議を申し立てたものの、TeePublicは「正当な権利者から送られてきた有効な削除通知なので、異議を唱えることはできない」と述べたそうです。
同様に、射殺事件で用いられた弾丸の薬莢に書かれていたという「Delay Deny Depose(遅延、拒否、処分)」をもじった「Deny Defend Depose(拒否、防御、処分)」とユナイテッド・ヘルスのロゴをマッシュアップしたようなデザインを用いたグッズを販売している8つのサイトに対しても、サマンサ・モントーヤなる人物からDMCA削除要請が行われています。
Deny Defend Depose
https://deny-defend-depose.com/
さらに、マンジョーネ被告人やその家族の写真を公開したジャーナリストのマリサ・カバス氏は、「クライアントである匿名家族からの依頼を受けた」という弁護士のデジレー・ムーア氏から「写真の使用は著作権者によって認められていない」と、写真の削除を求められたことを明らかにしています。
この一件を報じたニュースサイトの404mediaによると、ユナイテッド・ヘルスおよび販売プラットフォームのTeePublicはコメント要請に応じなかったとのことで、マンジョーネ被告人に関連するアイテムの削除を求めたのが本当にユナイテッド・ヘルスなのかどうかは明らかになっていません。
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