Amazonが倉庫労働者の負傷率の高さについて内部警告を無視していたことが調査報告書で判明、Amazonの反論にジャーナリストが再反論
Amazonの倉庫では、同業他社と比べて労働者の負傷率が高いことが報告されています。この件について、Amazonの安全衛生担当者は改善を推奨したものの、生産性への影響を考慮した上層部によって拒否されていたことが、バーニー・サンダース上院議員らによる調査報告書で明らかになりました。
The “Injury-Productivity Trade-off”:How Amazon’s Obsession with Speed Creates Uniquely Dangerous Warehouses
(PDFファイル)https://www.help.senate.gov/imo/media/doc/amazon_investigation.pdf
Amazon’s Jeff Bezos has more money than could be spent in a million lifetimes.
— Bernie Sanders (@BernieSanders) December 14, 2024
Why then does his company force workers to meet impossible quotas and treat them as disposable when they are injured?
To Amazon, long-term pain and disability is just the cost of doing business. pic.twitter.com/mmkdT4I7yJ
Amazon Disregarded Internal Warnings on Injuries, Senate Investigation Claims - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/12/16/business/economy/amazon-warehouse-injuries.html
Amazon facing strike threats as Senate report details hidden widespread injuries
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/12/bernie-sanders-probe-finds-amazon-hid-worker-injuries-to-prioritize-profits/
Amazonの倉庫で働く人々が厳しい環境に置かれていることは以前からたびたび報じられていて、たとえばイギリスにあるAmazonの倉庫では5年間で1400回以上も救急車が出動する事態になっています。なお、競合他社は年間10件以下だったと報告されています。
Amazonのイギリス倉庫では5年間で1400回以上救急車が呼ばれている - GIGAZINE
サンダース議員らの調査によると、Amazonは自社倉庫での負傷率が他業界の平均と比べて2倍であることを把握しており、安全衛生担当者はノルマ見直しを提言していたものの、業績に影響が出ると懸念した上層部によって提言は退けられたとのこと。
サンダース議員は調査の結果を受けて「160ページの報告書によって明らかになった、Amazonの倉庫での極めて危険な労働条件は容認できるものではありません。Amazonの経営陣は、従業員の健康や安全よりも、利益を優先することを繰り返し、負傷者を減らすための勧告を無視してきました」と指摘しました。
Amazonは、サンダース議員らの提出した調査報告書について「事実誤認があり、時代遅れの情報をもとにしている」と批判。「従業員の安全性は、Amazonで常に最優先事項です」と題した反論記事を公開しています。
Amazon response to Bernie Sanders’ misleading workplace safety report
https://www.aboutamazon.com/news/policy-news-views/amazon-response-to-senator-bernie-sanders-report-on-workplace-safety
なお、Amazonの反論に対して、労働者のために戦っている記者のジェーン・チュン氏は、再反論を行っています。
チュン氏の指摘の1点目は、Amazonが「今回の上院による調査に対して、自発的に誠意のある協力を行った」と説明した点。チュン氏によると、実際にはAmazonは「多くの文書を作ることは時間の浪費だ」と逃げ回り、代わりに的外れな研修資料を調査委員会に送りつけたそうです。
また、Amazonの「労働者に速度を上げるよう働きかけたことで、負傷は減少した」という主張に対して、「負傷率が他社平均の2倍を超えた外れ値の年を基準とした上で『負傷率が低下した』と説明している」と、説明の不透明さを暴いています。
チェン氏によると、Amazonは「社内プロジェクト『Project Elderwand』によって、強制的に休憩を取らせることは負傷者減少につながらないという結果が示された」と主張しているとのことですが、実際に「Project Elderwand」が示したのは、作業の反復回数に上限を設けることで腰痛が防止できるということでした。しかし、上層部は作業に上限を設けるという提案を受け入れなかったとのこと。
チェン氏が指摘したAmazonのウソは13点に上り、最後にチェン氏は報告書により「Amazonは何年にもわたって従業員のケガについてウソをついてきた」「Amazonはケガの原因を特定したにもかかわらず、対応勧告には従わなかった」「Amazonの倉庫は同業他社と比べて2倍危険」という3つの事実が明確になったとまとめています。
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