Amazon倉庫の労働環境が劣悪すぎて同僚が死亡したことを問題にしたら解雇されたという訴え
Amazonが世界各地に構える自社倉庫では、従業員の深刻な負傷の発生率が業界平均の2倍と報告されるなど、劣悪な労働環境が度々指摘されています。ポーランドでは、倉庫の労働環境が原因で同僚が死亡したと従業員が訴えたのですが、Amazonにより解雇される事態となっています。
I Was Illegally Fired by Amazon for Speaking Out About a Coworker’s Death
https://jacobin.com/2023/11/i-was-illegally-fired-by-amazon-for-speaking-out-about-a-coworkers-death/
2021年9月、ポーランドのポズナン近郊にあるAmazon倉庫で働く当時49歳のダリウシュ・ジャムスキ氏が工場内で倒れ、そのまま死亡するという事態が発生しました。同僚だったマグダ・マリノフスカ氏によるとジャムスキ氏には心臓発作の病歴があったにもかかわらず、通常複数人で行う仕事を1人で長時間行うなど、ハードな肉体労働が課せられていました。
当時ジャムスキ氏は過酷な労働環境について、上司などに報告していたものの、Amazon側はこれを黙殺。逆にジャムスキ氏と同じ仕事を行う従業員数を減らし、ジャムスキ氏の労働環境はさらに悪化しました。
死亡する直前、ジャムスキ氏はサッカーコート12面分の倉庫内を一人で歩いて医務室に向かうよう指示を受けていたそうです。
マリノフスカ氏らはジャムスキ氏の生前から、Amazonに対し、労働者のエネルギー消費量や、労働環境について調査を依頼していました。しかし、Amazonは労働者のエネルギー消費量について大まかな推定を行うだけで、適切な調査結果を報告しませんでした。
そこで、マリノフスカ氏らは地元の労働監督局と労働者保護中央研究所(CIOP)の協力を得て、一部の従業員を取り巻く労働環境についての調査を行うことに成功しました。調査対象者の中には、労働基準で許容される2倍ものレベルで働く従業員もいたことが判明しています。
マリノフスカ氏によると、Amazonでは倉庫内の至る所にスキャナーやカメラを配置して、作業プロセスの最適化に取り組んでいる一方で、労働者が自身の持ち場を3分以上離れることを禁止するなど、労働者の体や動きを厳しく制御しているとのこと。そのため、長時間にわたって同じ動きを素早く繰り返すと「体が完全に破壊されてしまう」とマリノフスカ氏は指摘しました。
Amazon倉庫における劣悪な労働環境に関する反対の声を上げたマリノフスカ氏に対し、Amazonは同氏を解雇しました。マリノフスカ氏は「この解雇は不当なものである」として裁判所に訴え、2023年10月に勝訴を勝ち取っています。なお、マリノフスカ氏は海外メディアのJacobinに対し「Amazonに復職するつもりはない」と語っています。
マリノフスカ氏は「今回の裁判結果を受けて、Amazonが方針を変えることはないだろうと思っています。Amazonは何も恐れるものがないかのように振る舞い、可能な限り多くの規則や規制を破ろうとします。それでも、今回の裁判での勝利はAmazonの横暴を止めるための小さな一歩となりました」と述べました。
さらにマリノフスカ氏は、ポーランドとドイツのAmazon倉庫で働く従業員が互いに協力していることを明かし、国境という垣根を越えた労働組合の強化を推進し、Amazonに対する積極的な労働基準の検査や、その結果をもとにした労働条件の改善を行うことを促しています。
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